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2014.10.02

エディンバラ記(その2)

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 ・3日目
 朝6時に目覚めBBCの朝のニュースを見る。トップニュースはスコットランド独立を問う国民投票前のテレビ討論。そのあとエボラ出血熱、ウクライナ情勢と続く。そういえばエディンバラ入りする前、街頭で独立賛成派だったり反対派だったりのポスターとか横断幕とかをたくさん見かけるかと思ったら、どこにもそんなものがなくて拍子抜けしてしまったのだ。

 そしてスポーツニュース。クリケットが出てくるとイギリスであることを実感する。あと女性キャスターのスカートの丈が極端に短い。国営放送のニュースでも服装がカジュアルなのは視聴率対策なのだろうか。
 朝食をとりに階下のレストランへ。きょうも窓際に座る。晴天だ。ソーセージをほおばりながら今日の予定を考える。明日の天気予報は「霧」。天気がよくないのなら今日のうちに出かけたほうが良いだろう。ということですぐに駅に向かい、ディーゼル車に乗って郊外のアバドー(アバーダー)に向かった。田舎をぶらぶらと歩いてみたい、というか「トラベル・アンド・レジャー」誌に「ヨーロッパのとっておきの村25選」という記事でアバドーが紹介されていたので行く、というだけなのですが。

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 アバドー駅を降りてすぐのところに古城跡があるのだが、まだ朝早くて中に入れないので、とりあえず海が見える場所まで歩く。背の低い建物のあいだの小道を抜けると海岸にたどり着く。砂浜の色が黒い。海の青、空の青と好対照だ。風を切る音しかしない。夏だが寒いので泳いだり遊んだりするものは誰もいない。静かな海辺。
 駅まで戻ってから、こんどは古城跡へ向かう。土産物売り場で入場券を買うのだが、そのときスタッフの方から「ガイドブックはいかがですか」「エディンバラ郊外にたくさんある古城を巡ることのできる割引券ありますがいかがですか」とセールストーク攻勢に遭う。「いや結構です」「古城巡りの時間もないですし」と断るも、スタッフがそのあともガイドブック片手に熱心にアバドー城内について説明し続けるので、その熱意にほだされ「ありがとうございます」とガイドブック購入。根負けしてしまった…。

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 入口から土産物売り場のほうを向いて左手側、塀に囲まれた正方形の庭園に入る。真ん中は芝生で、その周りを取り囲むように様々な草花が植えられている。椅子に座ってしばらくぼんやりと過ごす。そのあと古城をぶらぶら。広場の端にぽつんとタケノコのような形の塔が目に入る。近くの看板によると鳩舎なのだそうだ。むかし鳩は食するために飼育されていたらしい。

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 ひととおり巡回したので駅に戻る。アバドー駅のホームは花できれいに飾られていて、待っている時間も飽きない。2両編成の汽車がやってきたので乗り込む。エディンバラまでの各駅停車だが、終点に近づくにつれ車内が人でにぎやかになる。検札のため巡回する車掌さんは切符を確認するだけでなく、お客さんにいろいろと話しかける。あれでちゃんと全員の検札ができるのだろうか、と余計な心配をしてしまいたくなる。車窓は田園風景そのもの。麦のわらをロール状にして畑に放置しておく、というのは絵画ではよく見かけたが、それをリアルに見たのははじめて。

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 終点のウェーバリー駅で降りたあと、天気がいいのでエディンバラ城に行くことにした。建物のあいだの狭い階段を100段以上は登っただろうか。登りきるとロイヤル・マイルと言われる道に出てきた。ここは完全なる観光地。人も多く行き交い、日本でいえば清水寺周辺に似た雰囲気。坂を登って入場券売り場の行列へ。実際に入場券が買えるまで40分ほどかかった。城からの眺望はとても美しい。天気がいいので尚のこと。ただ天気すぎて暑い。
 城を降りて暑い中を歩いていると何か飲みたくなった。禁を破ってブリュワリーに入る。スコットランド発祥のクラフトビールのお店、ブリュードック。カウンターの前で立っているとスタッフが声をかけてくれる。「何かおすすめを」と聞くと同店の名物、パンクIPAを始め4種類のビールを、タップから少しだけコップに注いで試飲させてくれた。4番目のビールの名前がFake Lager(偽ラガー)と聞き思わず「フェイク?」とつぶやくと「いやその逆の意味」とスタッフ。いろいろ飲んで、結局パンクIPAをオーダー。麦芽を普通のビールの数十倍使用と聞いたのでむちゃ濃厚な味かと思ったらその真逆。さわやかな麦の味が舌から伝わる。いいですね。

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食事系も頼もうと思い「ピザの大きさどれくらい?」と聞くと、隣で食べようとしてた人からピザを取り上げて「これくらいです」と。隣の方に「すみませんね」と声を掛けてしまった。結局頼んだのはピザでなくミートパイ。これもうまかった。
 ほろ酔い気分で旧市街を徒歩で縦断してホテルに。そのあと水を買いに近所のスーパーに入る。もう三度目なので馴染みの店の気分。セルフレジにトライしたがうまく決済できず、結局スタッフに手伝ってもらった。

 夕方になりアッシャー・ホールに。きょうはトリノからテアトロ・レージョの引っ越し公演。「ウィリアム・テル」を演奏会形式で。長丁場だ。とりあえず会場で公演プログラムを3ポンドか4ポンドかで購入したが、対訳がしっかりついていたことに感心する。もちろんイタリア語と英語ですが、これだけでも無いより助かる。その代わり字幕はナシ。序曲を聞き、テアトロ・レージョのオケの実力に舌を巻く。古い海賊盤とかで聞くような、何となくノリが良いように聞こえるがモッサリした感じの、「歌劇場のオケ」のイメージが100%覆される。管の輝かしい響きと、引き締まったアンサンブルの弦楽パート。これは完全な現代のコンサート・オーケストラのサウンドだ。これは良い意味でだまされた。劇の本編に入っても、オケの雄弁なサウンドは血なまぐさいエピソードを音楽面で下支えする。これは指揮者のジャナンドレア・ノセダがいい仕事をしていると言えましょう。歌手陣も充実していた。とくにジョン・オズボーン(アルノルド)とアンジェラ・ミード(マティルデ)の正確な技巧に裏打ちされた声の輝きのすばらしさは特筆すべきもの。ハイトーンも随所でバッチリと決めてくれるので、スカッとする。そしてオペラをたくさんとは言えないまでもいろいろと聞いてきて、これほどまで舞台から「音圧」を感じたことはなかった。まさに圧倒。たくさんの音や声が集まると、こんな感覚を味わうことができるんですね。
こうしてビールに酔った昼と、声に酔った夜が過ぎていき、ホテルで就寝。

(Program Note 3)
Edinburgh International Festival - Teatro Regio di Torino
Gioacchino Rossini: Willam Tell (Concert Performance)
Venue: Usher Hall
Date: August 26, 2014

Guglielmo Tell: Dalibor Jenis
Arnoldo Melchtal: John Osborn
Matilde: Angela Meade
Gualtiero: Mirco Palazzi
Melchtal: Fabrizio Beggi
Jemmy: Marina Bucciarelli
Edwige: Anna Maria Chiuri
Gesler: Luca Tittoto
Fisherman: Mikeldi Atxalandabaso
Rodolfo: Luca Casalin
Leutoldo: Paolo Maria Orecchia
Orchestra e Coro del Teatro Regio
Conductor: Gianandrea Noseda

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