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2009.04.18

ユーチューブ交響楽団雑感

 「YouTubeが投稿動画でメンバーを募集してオケを組織する」「カーネギーホールで演奏会を開く」と聞いたとき、「どうせタン・ドゥンの新作と、あと交響曲1曲やってシャンシャンでしょ」と思ってたのですが、今月15日に行われた「YouTube Symphony Orchestra」(以下「ようつべ響」)のライヴは前後半合わせて約2時間半と、クラシックの演奏会としては長尺のものとなりました。そしてライヴ動画は(当然ながら)「YouTube」上にアップロードされています(動画1同2

 ここで当日取り上げられた全曲目のリストを挙げておきます。

(Program List)

1. Brahms: Symphony No.4 - Allegro giocoso (III. Mov.)
2. Lou Harrison: Canticle No.3 (cond. Edwin Outwater)
3. Dvořák: Serenade in D minor Op.44 - Moderato, quasi marcia (I. Mov.) (cond. Edwin Outwater)
4. Giovanni Gabrieri: Canzona Septimi Toni #2
5. Bach: Cello Suite No.1 - Sarabande (Cello solo by Joshua Roman)
6. Villa-Lobos: Bachianas Brasileiras No.9 - Prelude
7. Wagner: Ride of the Valkyries

-----Pause-----

8. Rachmaninoff: Waltz for six hands (pianos by Charlie Liu/Anna Larsen/Derek Wang)
9. Tan Dun: Internet Symphony No.1 "Eroica" (cond. Tan Dun)
10. Prokofiev: Piano Concerto No.2 - Scherzo. Vivace (II. Mov.) (Piano by Yuja Wang)
11. Rimsky-Korsakov: Flight of the Bumble Bee (Piano solo by Yuja Wang)
12. Debussy: Nocturnes - Nuages
13. Mozart: Violin Concerto No.5 in A major KV219 - Rondeau (III. Mov.) (Violin Solo by Gil Shaham)
14.Britten: Suite on English Folk Tunes Op.90 "A time there was..." - Hunt the Squirrel
15. John Cage: Aria with RENGA (Soprano by Measha Brueggergosman)
16. Mason Bates: B-Sides - Preview of Warehouse Medicine (DJ by Mason Bates)
17. Tchaikovsky: Symphony No.4 - Allegro con fuoco (IV. Mov.)
18. (Encore) Berlioz: Rakoczy March

YouTube Symphony Orchestra
(Except the Remark) Conducted by Michael Tilson Thomas

(以上)

 ガブリエリのカンツォーナからジョン・ケージまでという、バラエティに富んだプログラムとなっているのが印象的です。もしかして主催者の頭の中には「多種多様な人たちを世界中から集めたのだから、演奏する音楽も多様性あるものにしたい」という考えがあったのかもしれません。だからこそルネサンス音楽から現代音楽に至るまで、クラシック音楽の持つ様々な一面を一挙に提示したのでしょうが、そこらあたりに「詰め込みすぎ」といった感が無きにしもあらずです。あとカーネギーホールに集められたメンバーですが、管楽器に較べて弦楽セクションのクオリティがいささか劣ることが、1曲目の「ブラ4」で早くも露呈されてしまいます。サンフランシスコ交響楽団のレベルを格段に向上させたマイケル・ティルソン・トーマス(以下「MTT」)の手腕を持ってしても、短い準備期間で弦の質を高めることは難しかったのでしょう。

 …などと「重箱の隅」的発言をするのはこれくらいにして、私は心の底から、4月15日にカーネギーホールで演奏した人たちがうらやましい(笑)。以前わたしが「1000人のチェロコンサート」に奏者の一人として参加したときに感じた「高揚感」、そして「幸福感」を、ようつべ響のメンバーも感じていたに違いないのです。さすがに本番では皆緊張感あふれる面持ちですが、ようつべ響の「裏側」に潜入したジェレミー・デンク氏(本職はピアニストだが、米国ではブロガーとしても知られる)のビデオログ(その1その2)を見ていると、「みんな心の底から楽しんでいるなぁ」といった感じが伝わってきます(特にラフマニノフを弾いた3人組。みんなカワイイ!)。あー行きたかったなぁ。おいら今仕事休めんのですよ(笑)。

 それからこの日のMTT、トークが冴えていた。「カーネギーホールにはどうやったら行けますか?」と尋ねられた人が「練習!練習!練習!」と答える、という有名な小咄があるけど、MTTは演奏前のMCで、Web2.0時代にふさわしい「別回答」を披露していた。「カーネギーに行くにはどうすれば…」「アップロード!アップロード!アップロード!」(笑)。

(※)今から動画を見る方に、お節介な一言。ジョン・ケージの「Aria with RENGA」について、MTT自身が解説した動画がYouTubeにあります。全編英語ですが、日本の連歌にインスパイアされた「RENGA」の持つ「五・七・五・七・七」の構造についても、判りやすく説明しています。「アリア」についてはバリトン歌手・松平敬氏のコメントも参考になるでしょう。
 なお当日は「アリア」と「RENGA」を同時に演奏する、というスタイルだったようです。

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