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2009.03.29

竹澤恭子&小川典子@京都

 先週末、3月28日(土)に京都・北山までおでかけしました。一番の目的は「よもぎあんぱん」ではなく(笑)、竹澤恭子さんと小川典子さんのデュオ(at 京都コンサートホール・小ホール)です。お二人とも世界に名を知られた名手ということで、とても期待して会場入りしたのですが、全般的に「世界水準」の、素晴らしいコンサートだったと思います。

 ただ二人のソリストのうち、どちらがより良い演奏をしたかというと、ピアノの小川典子の方でした。あくまで「敢えて言えば」というレベルなのですが、彼女たちのような世界的レベルの名手になると、些細なミスが気になるのです(その辺り、フィギュアスケートに似てるかも)。この日の演奏会だと、出だしで竹澤さんの調子がイマイチだったというか、弱音部がきれいに響かず、ちょっと音楽がナーバスに聞こえてしまいました。もしかして、繊細なドビュッシーのソナタを1曲目に持ってきたのが影響したのでしょうか。3曲目のサンサーンス「ハバネラ」を最初に演奏した方が良かったかもしれません。地中海に面した港町の青空のようにすがすがしい「ハバネラ」だったもので、尚更そう思っちゃいましたね。もっとも竹澤さんの名誉のために補足すると、アンコールで演奏した「亜麻色の髪の乙女」は素晴らしかったです。ちょっと今まで聞いたことのないようなヴァイオリンの音色がとても新鮮で、独特の色彩がありました。あの演奏だけを切り取って持って帰りたい。そう思いました。

 小川さんのピアノは最初から最後まで、実に安定していました。生で聴いたのは初めてなのですが、CDのイメージと変わらずダイナミックだし、表現の幅も広いし。なかでも一番感心したのはフランクのソナタです。実演でもCDでも何度も聞いてますが、冒頭部があんなにドルチェで弾くピアノを聞いたのは初めてです。この曲になると竹澤さんの調子も上がってきて、それはもう立派な二重奏でした。二人とも弾きっぱなしというのでなく、旋律と内声部とのバランスにも十分配慮が行き届いていましたし、音楽的な造型もしっかりしていました。室内楽というより、もっと大規模な音楽を聞いたような充実感がありました。

(Program Note)
Kyoko Takezawa Violin Recital
Piano: Noriko Ogawa
Date: March 28, 2009
Venue: Kyoto Concert Hall Ensemble Hall Murata

1. Debussy: Violin Sonata
2. Poulenc: Violin Sonata
3. Saint-Saëns: Habanera
4. Messiaen: Fantaisie
5. Franck: Violin Sonata in A major
(Encore)
6. Debussy: La fille aux cheveux de lin
7. Ravel: Piece en forme de habanera

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