METライブビューイング マスネ「タイス」を観る
METライブビューイング鑑賞歴も「サロメ」に続いて2度目、もうすっかり「映画館でオペラ」の雰囲気に慣れてしまった私は、フィッシュ&チップスをホールに持ち込んで、ビール飲みながら観ることにしました。これって絶対、コンサートホールで出来ない芸当ですからね。でもポテトを口にしたとき「アッ、食べ物を噛む音が隣の人の耳に入ったらどうしよう…」と思ってしまうと、もう音が鳴ってるあいだは何も口に出来なくなってしまって…。場面転換のシーンがスクリーンに映し出されてるときに慌てて口にかき込んでました(苦笑)。でも映画館でオペラ鑑賞のときに隣の方が飲食してたら、皆様はどう思われますか?これはぜひ読者のご意見を伺いたいところです。というか主催する松竹の人たちも知りたいと思いますよ。
でオペラ本編ですが…。すいません、主役級の3人の歌唱はみんな素晴らしかったんですけど(特にニシアス役のミヒャエル・シャーデ)、私は今回観た「タイス」というオペラ、あまり感じるものがありませんでした。俗世に染まりきった娼婦タイスが、聖職者アタナエルにたった一度怒られただけでコロッと改心してしまう辺りで冷めちゃったというか、「ちょっとシナリオが弱いな…」と思ってしまいまして…。この歌劇を気に入られた方には「ごめんなさい」というしかありませんけど。
で私はクリスチャン・ラクロワのコスチュームに身を包んだルネ・フレミングを観ているうちに、彼女が「タンホイザー」に出てくるヴェーヌスに見えてきたんです。そういえば信仰に生きる人たちは「タイス」にも登場しますし、この2つのオペラは「聖」と「俗」を描いているという点で共通する部分もあります。ひょっとしてマスネはアナトール・フランスの小説「タイス」をオペラ化するとき、ワーグナーを意識したということは無かったのでしょうか。オペラが初演された1890年代といえば、フランスでもワグネリズムが浸透し、アルフレット・コルトーがバイロイトで助手をしていた時期にもあたりますし。
最後に「METライブビューイング」のこれからの上演予定ですが、ダニエル・ドゥ・ニース出演の「オルフェオとエウリディーチェ」、ネトレプコの「ルチア」にナタリー・デセイ&フアン・ディエゴ・フローレスの「夢遊病の女」などが予定されてます。次回上映の、お騒がせ夫婦によるプッチーニ「つばめ」も気になるところですが、どうしましょうかね。
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Comments
>Battenさま
そういえば最近購入したカタリーナ・ワーグナー演出「マイスタージンガー」のDVDの最後には、盛大なブーイングもしっかりと収録されてましたね…てMETの話をしてたんでしたね(笑)。
Posted by: おかか1968 | 2009.01.13 21:29
”METライブビューイング” って見ると、ぼくには”METライブブーイング”っていつも見えて、「アラ、なんかあったのかな?」って思ってしまいます。これってぼくだけ?
Posted by: Batten | 2009.01.13 20:29