サンフランシスコ市行政執行委員会 サンフランシスコ交響楽団への補助金カットを検討
先頃サンフランシスコ市の行政執行委員会のAaron Peskin委員長は地元紙の取材に対し、市からサンフランシスコ交響楽団に供出している160万ドルの補助金を削減する用意があることを明らかにしました(参照)。理由は自治体の財政難のようです。サンフランシスコ市の補助金は、1930年代に同楽団が破産したとき(…て、そんな時代もあったんだ!)、オーケストラを支援する目的で始まったものです。大恐慌時代の楽団を救った補助金が、金融危機が叫ばれるこの時期に削減されるというのは何とも皮肉なことではあります。もっとも、同楽団の現在の収入は6000万ドルです。補助金は収入全体の約3%ですので、(大阪センチュリー響のように)補助金削減が直ちに楽団の存続に直結するという事態にはならないと思います。
ところでこのニュースを伝えた週刊誌「SF Weekly」のMatt Smith記者は以前、サンフランシスコ響の音楽監督であるマイケル・ティルソン・トーマス(MTT)について「給料を貰いすぎではないか」と書いています。自治体の財政問題に厳しい視線を注ぐのが、アメリカのマスコミです。このような記事が出てくるのも、やむを得ない部分もあるでしょうね。
これらの報道に対し「ロサンゼルス・タイムズ」紙の音楽評論家Mark Swed氏は、サンフランシスコのオケを世界的レベルに押し上げたMTTの実力と功績を高く評価した上で「ヤンキースがサバシアの獲得に使ったお金は、MTTのオケに対する補助金の100倍だぞ」と述べています。世界的指揮者がバトンを振るう右手と、サイ・ヤング賞投手の左腕。「果たしてどちらが値打ちがあるかな」というわけです。
ちなみにデビッド・ベッカムがLAギャラクシーに移籍したときに交わした契約は、「5年間で2億5000万ドル(約300億円)」というものでした。
(関連記事)
MTTとサンフランシスコ響の動向を追いかけている潮博恵さんのサイトでも、この話題を取り上げています(その1、同2)。
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