「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」でディノ・チアーニの名演の数々が聴ける
当ブログのコメント欄でイタリア人ピアニストのディノ・チアーニ(1941-75:写真)について読者の方と語り合っているうちに、彼の演奏が無性に聞きたくなってしまいました。まずDGの6枚組BOXセット(474 418-2)を取り出し、ショパンの夜想曲を聴き始めたのですが、その息を飲むような美しさに改めて魅了されておりました。
さてこのDGのアルバムが現在廃盤なのはとても残念なのですが、その代わり(という表現がふさわしいかどうかはわかりませんが)独立系レーベルから出ているチアーニの録音の相当数が「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」(NML)で聞けるのは嬉しい限りです。Dynamicレーベルの6枚組セットにはバラキレフ「イスラメイ」が収められているのですが、これがなんとも圧倒的な演奏なのです。ゆるぎない技巧、怒濤の推進力、そして迫力。まさに問答無用。ケチをつけるところが全くない、完全なるピアニズムです。あと同じアルバムではシューマン「ピアノソナタ第1番」がすごいですね。他に類を見ないほどの感情の起伏の激しさの中に、作曲者の「魂」の奥底が見えるような、そんな演奏です。
あとNMLにはチアーニのベートーヴェンのピアノソナタ全32曲もリストにあります。今ブログを書きながら「悲愴」「テンペスト」「作品101」「作品109」と、好きな曲を適当に選んで聞いているのですけど、どの曲にもチアーニならでは、チアーニでしか聞けない表現が随所にあって面白いです。チアーニの場合、音楽はスムーズに流れていても、どこかに「ゆらぎ」を感じる瞬間があって、私にはそこが堪らないのです。録音がクリアさに欠けるのと、ミスタッチが散見されるのは残念ですけど、聞いているうちにどうでもよくなってきました。今日は床につくまでにもう少しだけ、彼のベートーヴェンに付き合ってみたいと思います。
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Comments
あまりに膨大すぎて、すべて聞き通す時間が…。でも良かったですよ<チアーニのベートーヴェン。思いがけないところに、とんでもない宝が眠っていましたね。
でも「チャーニ」って何かね…。たむらけんじのギャグみたい(←それは「ちゃ~!」:笑)。
Posted by: おかか1968 | 2008.08.05 22:01
NMLにあるんですか!
どうやら見逃していたようです。
それにしても「チャーニ」表記とは・・・
どうりで見逃すはずですわ。
後ほどがっつり聞いてみようと思います。情報どうもありがとうございます。
それにしてもお笑いネタからちゃんとチアーニに着地して、話を捻じ曲げた張本人としてほっとしております。
Posted by: ジュスマルダホス | 2008.08.05 17:30