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2008.08.09

タモさんの「アドリブ脳」!?

 赤塚不二夫の葬儀タモリの読んだ弔辞が話題になっています。故人との関係の「濃密さ」、故人に対する思いの「深さ」、そして虚心のない「感謝」に満ちた弔辞の内容もさることながら、弔辞を読んでいるあいだ手に持っていた原稿が白紙だった(らしい)ことも、世間を驚かせています。「あんなにすばらしい文章なのに…、ひょっとしてアドリブ!?」「タモさんすごいなぁ」というわけです。

 コトの真偽はともかく、「タモさんがアドリブで弔辞を読んだ」と聞いて、私は彼が「早稲田大学モダンジャズ研究会」の出身だったことを思い出しました。モダン・ジャズといえば、ビバップからモード・ジャズへ、人物でいえばチャーリー・パーカーからマイルス・デイヴィス、果ては秋吉敏子に至るまで、さまざまな様式の変遷はありつつも即興演奏、すなわちアドリブを基調とする音楽なわけで(という理解でよろしいでしょうか!?←ジャズに詳しい読者の皆様)、タモさんが青年期にライヴを通じて、様々な「アドリブ体験」を享受したであろうことは容易に想像できます。もしかして、その体験がタモさんの脳を鍛え、「いざ」という場面でアドリブを難なくこなす「アドリブ脳」を形成することになったのではないか、という「仮説」を立てたくなります。

 そんな私の「仮説」の「拠り所」となるものがあります。アメリカ国立衛生研究所(NIH)のCharles J. Limb氏らが、即興演奏に秀でた演奏家の脳内神経活動を機能的MRI(fMRI)で精査した研究論文を発表しています(→参照)。この研究によると、即興演奏を行っているとき、ある特徴的な変化が脳内で起こっているといいます。具体的には、さまざまな情報の処理を行う「司令塔」的部位である前頭連合野(prefrontal cortex)の活動がほぼ不活化し、その代わり過去の出来事を想起するときに働くとされる内側前頭皮質(medial prefrontal cortex)のニューロンが活性化されるらしいです。そして即興演奏によって引き起こされるこれらの神経活動は、人間がクリエイティブな作業を行うときに認められる活動パターンと、非常に似通っているということです。

 この事実は、あくまで即興演奏の最中に起こる脳活動を捉えたに過ぎません。だが即興演奏というのは誰もが成しえるものでないことを考えると、この脳の変化が「ジャズマンの長年の鍛錬の結果だ」とも考えたくもなります。もしかして2008年8月7日、東京の宝仙寺で、タモさんの脳内は、内側前頭皮質が異常に活性化された状態だったのかもしれません。

(関連記事)
早稲田ウィークリー. 第800号記念 タモリ ロングインタビュー

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