2009年の来日演奏家について、おかか目線で
今月発売の「音楽の友」最新号(→HMV)に、2009年の来日予定演奏家の速報記事が出ていました。去年同様今年もあくまで「おかか目線」で、気になったアーティストだけをピックアップします。ところで去年の今頃も「音楽の友」はバッハ特集を組んでいたんですが、今年も「真夏のバッハ」ですか…。もう音楽之友社的には「夏」イコール「バッハ」なんですね、おそらく。毎年夏になると社屋内ではブランデンブルグ協奏曲がヘビーローテーションで流れてるんでしょうね。そして夜になったらゴルトベルク変奏曲ですよ。いや元々不眠症対策として作られた曲だから、仕事してるときにそんなの流すのはマズいか。でもグールドの(→NML)だったら目がギンギンに冴えるだろうから大丈夫か<ホントか?(笑)。
閑話休題、来年の来日演奏家のご紹介です。
1月
「最高価格4万円」が高いか安いかで話題の、シカゴ響のコンサートがあります。みなとみらいの演奏会は既に発売中ですが、チケットぴあでは売れ残ってますね。果たして4万円は高い買い物となるか、それとも値段以上の至福が味わえるのでしょうか。個人的にはマレク・ヤノフスキとベルリン放送響に注目です。最高価格で1万円というのは、まさにお買い得ではないでしょうか。ソリストではラース・ウルリク・モルテンセン、ヒラリー・ハーン、ソニア・ヴィーダー・アサートンなど。ヒラリー・ハーンはアイヴスを弾くんですね。
2月
すでにネットでも話題となっている新日本フィル「ハイドン・プロジェクト」。フランス・ブリュッヘンの指揮で「天地創造」が、しかも響きの美しいすみだトリフォニーで聞けるのですから、ぜひとも行ってみたいんだけどスケジュール大丈夫かなぁ。というよりチケット取れるかなぁ。あとはスティーブン・オズボーン、ポール・メイエ、そしてナージャ・サレルノ=ソネンバーグが東響定期に登場します。あと音楽とは違いますが、ノイマイヤーのハンブルグ・バレエが来日します。
3月
インバル、スクロヴァチェフスキ、ハーディング、シュナイト、ヤープ・ヴァン・ズヴェーデンらが、日本のオケを振るために来日します。こうやって名前を並べてみると「ここってどこのヨーロッパ!?」という感じですね。そしてザルツブルグ・イースター音楽祭の来日公演「コシ・ファン・トゥッテ」もあります。演出はヘルマン夫妻。誰が歌うのかは判りませんが、マーラー室内管とロビン・ティチアーティがピットに入るのは注目でしょう。ティチアーティは今年の「フィガロの結婚」でも冴えたところを見せていましたからね。鍵盤奏者ではケフェレック女史、ゲルハルト・オピッツ、そしてジョス・ファン・インマゼールが来ます。でも今回インマゼールを招聘するのは「武蔵野文化事業団」ですから、武蔵野でコンサートやってすぐ離日するんでしょうね。もったいない。おいらはアニマ・エテルナで「幻想交響曲」が聞きたいんだよう…。
4月
シュターツカペレ・ドレスデンが来日します。前回の来日が、ついこのあいだのような気がするのですが、いずれにしても頻繁に来日してくれるのは有り難いことです。そしてフランス放送フィルも来日します。指揮は音楽監督のチョン・ミョンフン、ナタリー・デセイとマイスキーとの共演という豪華版です。
そして4月はアブデル・ラーマン・エル=バシャ、イエルク・デームス、マリア・ジョアン・ピリス、エウゲニ・キーシンら、ピアノの巨匠が続々と来日します。
5月
「音楽の友」では一言も触れられていませんけど、5月は「ラ・フォル・ジュルネ」の開催月ですね。実は同誌の来日予定リストの巻末に「時期未定」と書かれた項目があって、そこに梶本の外国人アーティストの名前がずらりと並んでるんですよ。ドミトリー・リスとかプラメナ・マンゴーヴァなどの「いかにも来そうだな」というアーティストだけでなく、フランス系の中堅・巨匠指揮者の名前もちらほら…。彼らの演奏が、もし有楽町で聞けるとしたら嬉しいな、なんて思ったり。
個人的に注目してるのは、西オーストラリア響(ウエスト・オーストラリア交響楽団)の来日です。パースを本拠地とするオケなのですが、ウェブラジオで聞く限り、演奏水準は高そうですし、なかなかあなどれないと思います。あと古楽ヴォーカル・アンサンブルのタリス・スコラーズも来ます。予定が合えば、ぜひとも行ってみたいです。
ピアニストではポリーニにアルゲリッチ、アファナシエフにツィメルマン、さらにはレオンハルトも来ます。それから「武満徹音楽賞」絡みでヘルムート・ラッヘンマンが来日します。
あと名古屋フィルの指揮者としてイラン・ヴォルコフが来るんですね。この若手注目株が何を指揮するのか。凝ったプログラミングで注目の名古屋フィルだから、期待が一層膨らむところです。
そして厳密に言えば「来日演奏家」ではないのですが、この5月に新国立劇場で「ムツェンスク郡のマクベス夫人」の公演があります。これは何としても足を運んでみたいと思っています。
6月
この月は「ピアニストの月」ですね。アレクサンダー・ガブリリュク、アンティ・シーララ、ケマル・ゲキチ、ジャン=フレデリック・ヌーブルジェ、セドリック・ティベルギアン、マルティン・シュタットフェルト、アリス=紗良・オットら、若手注目株が続々と来日します。さらにブルーノ・カニーノも来ます。いったい何を弾くのか、ということも含めて気になります。
ビッグ・ネームでは、ボリショイ・オペラとロシア・ナショナル管が来日するのですが、プレトニョフがナショナル管だけでなく、ボリショイの方も指揮する(「スペードの女王」)というのは驚きです。というか心配です。あの独特な演奏解釈で知られるプレトニョフの棒に、果たしてボリショイの奏者たちはついて行けるのでしょうか…、的な野次馬根性込みで注目です(笑)。そして大植英次がヨーロッパの手兵のひとつ、ハノーファー北ドイツ放送フィルと演奏会を開きます。しかもマーラー「第9番」をやるそうで…。スケジュールが合えば行きます。
7月
ビルバオ交響楽団が来日します。「ラ・フォル・ジュルネ」のときは、ぶっちゃけ雑なアンサンブルでしたが、ウェブラジオなどで聞く限り、地元スペイン(というよりビルバオですからバスク地方ですね)では結構しっかりした音を響かせているようです。ホームで底力を発揮するアスレティック・ビルバオ(サッカー・クラブチーム)と似たところがあったりするのでしょうか。今度は「アウェー」ですが、果たしてどう出るか。
ピアニストではアメリカの若手、ジョナサン・ビスが来日します。最近彼のお母さんがあのミリアム・フリードであると知り、俄然興味が沸いているのですが。
(8月は夏休みなので飛ばします)
9月
ウィーン・フィルが来年も来ます。しかも今年と同じ9月。指揮はズビン・メータです。それよりも来年9月は、ミラノ・スカラ座の来日公演の方が話題になっているかも。演目は2つですが、すでに日本のファンにはおなじみといえるゼッフェレッリ演出「アイーダ」より、ブラウンシュヴァイク演出による「ドン・カルロ」の方に興味が沸きます。ヴァルガスやルネ・パーペも登場するらしいし。
そしてオーギュスタン・デュメイが名古屋フィルと関西フィルの演奏会に登場します。デュメイは関西フィルの首席客演指揮者ですから(よく考えるとスゴイことです)、どんな演奏を聞かせるか、というより関西のクラシック・ファンを楽しませて欲しいですね。
あとマレーシア・フィルが来日しますね。CD演奏ではなかなか高水準の演奏を聞かせていますから、レーピンとの共演も含めて注目しております。
またこの月は、ハイドシェックにバドゥラ=スコダ、フレディ・ケンプにコブリンと、ピアニストの注目公演も目白押しです。
10月
この月は「外国オーケストラ強化月間」ですね。シンシナティ交響楽団、ニューヨーク・フィル、バンベルク交響楽団、リヨン歌劇場管弦楽団、ゲヴァントハウス管弦楽団が次々にやってきます。音楽ファンはスケジュール表と財布を眺めながらの苦しい選択を迫られるかもしれません。
個人的には指揮者のオレグ・カエターニが来日してくれるのが嬉しいです。私的「いま一番来日してほしい指揮者」ナンバー1でしたから(ちなみに第2位はエストニア出身のアルヴォ・ヴォルメル)。でいったいどのオケを振るんだろう。
ピアニストでは内田光子にレオン・フライシャー、そしてミシェル・ダルベルトも来ます。ところで些末なことですが、「音楽の友」誌で「ここ数年来日が途絶えていたミシェル・ダルベルト」とあるのは誤りです。というか私、今年5月にダルベルトを4回も有楽町で聞きましたから。
そしてカザルス四重奏団が来るんですね。彼らのモーツァルトのCDを持っているのですが、いつ聞いても胸が躍ります。来年はハイドン、トゥリーナ、ベートーヴェンなどを演奏するそうです。
11月
「外国オーケストラ強化月間」はさらに続きます。チェコ・フィル、トゥールーズ・キャピトル国立管、バイエルン放送響、マリインスキー歌劇場管らが来日します。そしてマルク・ミンコフスキ&ルーブル宮音楽隊の演奏会もあります。
で私の注目は…、シュトゥットガルト室内管弦楽団です。ミュンヒンガーの手兵としてオールド・ファンには知られた存在ですが、最近はミュンヘン生まれの若手指揮者、ミヒャエル・ホフシュテッターの下で清新なアンサンブルを聞かせ、そのイメージを一新させています。ホフシュテッターが帯同するのかどうかで、私が演奏会に足を運ぶかが決まりそうです。
そして11月は「弦楽四重奏強化月間」でもあります。上海、シュターミツ、ジュリアード、パノハ、パッカンギー(パルカニ)、プラジャーク、ブリュッセルと「ひょっとして弦楽四重奏フェスティバルでもやるのですか!?」と思ってしまうほどの賑やかさです。
そして鍵盤奏者の来日も実に多いのですが、もう多すぎて一々列挙したくありません(笑)。強いて挙げるならピエール・アンタイ(チェンバロ)とブルーノ・リグット(ピアノ)でしょうか。
12月
歳末の押し迫った時期に、アダム・フィッシャー&オーストリア・ハンガリー・ハイドン・フィルが来日します。来年はハイドン没後200周年ということで、アニヴァーサリー・イヤーを締めくくるに相応しい演奏を聞かせてくれそうです。
(なおここで掲載されたものは、あくまでも「予定」ですので、今後都合により来日中止となる可能性もあります)
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Comments
>「ワゴンセールのカラヤン」ことアントン・ナヌートが来る
おおっ!これは見落としておりました。ご教示ありがとうございます。
>ジョナサン・ビスママがミリアム・フリード
http://ja-pianist.seesaa.net/article/79058135.html
↑お母さんのおかげで、生まれるまえに既にカーネギー・ホール・デビューを果たしたそうですよ(笑)。
Posted by: おかか1968 | 2008.08.25 19:41
この号図書館でざっと読んだだけなんですけど、来年もまたいろんな人や団体が来日して興味深いですよね。個人的には「ワゴンセールのカラヤン」ことアントン・ナヌートが来るというのを見てびっくりしたのですが、招聘元は紀尾井ホールだったかと思うのですがどこだったか忘れました。
西オーストラリア響はCDで聞く限りかなり高性能なオケですね。これはいかなければ。
ピアニスト陣も食指をそそる人ばかりでもうどうしようかという感じです。
個人的にはジョナサン・ビスママがミリアム・フリードというのが一番びっくりしました。
Posted by: ジュスマルダホス | 2008.08.24 19:43