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2008.07.26

テレ朝系列「テレメンタリー」の「ラ・フォル・ジュルネ金沢」ドキュメント(Update)

テレメンタリー2008 - 「熱狂の日」がやってきた~2008年7月21日放送~

 この番組、関西以外では既にオンエアされたようで、既にご覧になった方によると、なかなか面白い番組だったそうです。関西では朝日放送(ABC)が今日深夜(1:40~2:10)に放送するようですので、私も録画して後でじっくり見たいと思います。

(追記)ということで私も見ました。評判通りの面白さで、興味深く拝見しました。

 この番組の「主役」はルネ・マルタンでも井上道義でもありません。もちろん両氏も頻繁に映像に登場しますが、北陸朝日放送(HAB)の制作したドキュメンタリーの「最重要人物」は、オーケストラ・アンサンブル金沢のゼネラル・マネージャー(GM)の山田正幸氏です。彼はフランス生まれの音楽祭を金沢でも成功させるために(井上氏をして「気をつけないと脳卒中で倒れます」と言わしめたほどの仕事量で!)非常に尽力されたわけですが、番組では音楽祭当日の「裏方」としての活躍はもちろん(会場に殺到した観客のためにイスの手配に奔走する様子も映っていました)、それ以前の音楽祭の準備段階で、音楽祭の規模やプログラミングなど、「ラ・フォル・ジュルネ金沢」の大枠を決めていく過程で、山田氏の意見が大いに反映されていたことが明らかにされています。

 まず「3億円の予算が必要」と言われた山田氏は「それは到底ムリだ」と率直に述べます。「でも1億5000万なら何とかなるから、その予算内でやっていこう」と代案を示し、音楽祭は実現に向けて動き出します。しかし予算の縮小はアーティスト招聘にとって、明らかに不利に働きます。そこで地元の吹奏楽部で長年指導に携わった実績を持つ山田氏は、一つの提案をします。彼の案は「招聘に費用が掛からない(学校の吹奏楽団を初めとする)アマチュア奏者たちの無料コンサートをふんだんに行う」というものでした。子供たちが演奏すれば、普段から子供たちの活躍を応援している保護者たちも「ラ・フォル・ジュルネ」に足を運ぶだろう、それで集客も図れるのではないか、というのが山田氏の思惑でした。

 しかし山田氏の案は、マルタン氏から強い批判を受けます。「無料公演が多くても、それを眺めた観客が満足してしまい、結局は有料公演のチケットを買ってくれないのではないか」というのが、その理由です。(能楽や箏といった)日本の伝統芸能とベートーヴェンとのコラボ企画の提案も「本物ではない」と否定された山田氏は、ここで「奇策」に打って出ます。すべてマルタン氏に話すと「中止しろ!」と言ってきそうな雰囲気を察した山田氏は、イベントスケジュールの全貌を音楽祭の開催前日まで明かさなかったのです。開幕直前に初めて「コラボ企画やっぱりやりますよ」と聞かされたルネ・マルタンはさすがに驚いたそうですが、山田氏は「心配しないで」「チケット売れてますよ」と耳打ちすることも忘れませんでした。そう聞かされてオッケーを出すところがルネ・マルタンらしいところですが(だから「商業主義的だ」と批判されるんでしょうね)、ともあれ音楽祭は無事オープニングにこぎつけます。

 結果は皆様もご存じの通り、事前の予想を遙かに上回る84,000人が金沢駅周辺を訪れ、「ラ・フォル・ジュルネ金沢」の一年目は大盛況のうちに幕を下ろしました。一部で「東京に続いて北陸にも黒船襲来か」と囁かれた今回の「熱狂の日」金沢音楽祭ですが、音楽祭を大きな成功に導いたのは、地元の音楽情勢を熟知する(そして機転も働く)ひとりの日本人スタッフだったというのが、何とも興味深いところです。

 ところで金沢に昔から伝わる郷土料理に「治部煮」(じぶに)というものがあります。鴨をだし汁で煮込んだ料理で、トロッとした舌触り、そして日本料理としては「濃いめ」の味わいがたまりません。私も大好きなんですけど(笑)、ウィキペディアによると「治部煮の『じぶ』は、フランス料理の『ジビエ』(←こちらも鴨料理)が変化したもの」という説があるそうです。思えば今回の山田氏を始めとする地元スタッフの仕事というのは、フレンチを上手に「日本化」させたようなものかもしれませんね。

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Comments

ばってん様こんにちは。

私が心打たれたのは、外国人大物プロデューサーを相手に堂々と渡り合い、そして信念を貫いた地元スタッフの「心の強さ」です。これはなかなか出来るものではないですよ。

Posted by: おかか1968 | 2008.07.31 07:52

始まる2日前までXXには詳細なプロを
あかさないで、そして観客予想総動員数を
結果的には5,000人upできた、って凄い
ストーリー(ネタばれ)にびっくりしました。
なんか金沢の人々のそして日本人の芸術に
対する探求心に、もっぱら感動したなぁ。
香港じゃ、こんなことできるかな?って
羨ましくなりました。

Posted by: ばってん | 2008.07.31 03:01

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