オンデマンド配信で聞くヒラリー・ハーンとバドゥラ=スコダ
ボストンの放送局「WGBH」が、番組のいくつかをポッドキャストで配信しています。中でも気になったのがコレです↓
▼WGBH - Multimedia - Command Performance
演奏家をスタジオに招いて、トークや生演奏を披露する60分番組のアーカイヴのようですね。
まずはヒラリー・ハーンから。ここで彼女はチャールズ・アイヴスの「ヴァイオリンソナタ第3番」から第2楽章(アレグロ)を演奏しています。曲が始まるのは大体22分を過ぎた辺りです。共演は、以前レディオヘッドのピアノ・アルバムを出したクリストファー・オライリーです。しかしヒラリー・ハーンがアイヴスに手を出すとは…、もしかしてCD録音でもするのでしょうか。そうだとしたら期待大ですね。あのシェーンベルクの協奏曲を聞いた後ですから尚更です。
その次はパウル・バドゥラ=スコダを聞いてみました。シューベルト「即興曲変ト長調」(D899-3)、モーツァルト「幻想曲ハ短調」(K475)、フランク・マルタン「フラメンコのリズムによる幻想曲」のスタジオ演奏の他、ショパン演奏における右手と左手の使い方について、実際に鍵盤に触れて音を出しながら熱心に語ったりしています。
バドゥラ=スコダはなかなか英語も達者で、司会とのトークも結構弾んでいましたが、巨匠指揮者たちとの思い出について話を向けられると、以下のような事を語っていました(私の怪しいヒアリングではありますが、どうかご容赦を…)。
「若い頃に強いインスピレーションを受けた指揮者は…、ウィルヘルム・フルトヴェングラーです。ところでアメリカではどうして彼のことを『フルトヴァングラー』と呼んでしまうのでしょう。その理由は判りかねますが…」「私を含む多くの人々は、彼の演奏からいくつもの『啓示』を受けました」「彼は作曲家が今ここに現れたかのように、音楽を創造することのできる人でした」「フルトヴェングラーは(当時若かった)私に対しても敬意を払い、曲の解釈やテンポなどを尋ねてくれました。一方カラヤンと共演したとき、私は彼のピアノ・レッスンを受けました(笑)」「あとはクナッパーツブッシュですね」「彼と共演した『皇帝』のことは忘れられません。この録音はCDにもなっています」「もう一人、イェジー・セムコフからも大いなる感銘を受けました」「彼はポーランド人指揮者で、私とはアメリカでもポーランドでも共演したことがあります」
フルヴェンやクナ、そして(音楽ファンの期待を裏切らないエピソード付きで)カラヤンの名前を挙げたのはいいとして、ここでセムコフの名前が出てきたのは意外でした。よほど共演時の印象が良かったのでしょうね。この話を聞いて私は、両者の共演を生で聞いてみたくなりましたが、果たしてそのような機会はやって来るのでしょうか。
The comments to this entry are closed.
Comments