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2008.05.31

「第1回クライバーン・ユーチューブ・コンテスト」 優勝者決まる

 当ブログでも先日お伝えした「第1回クライバーン・ユーチューブ・コンテスト」。アマチュア・ピアニストがネット投稿で参加し、その動画を見た視聴者の投票で優勝者が決まるというユニークなコンクールですが、昨日その結果が出ました(参照)。第1位はグラナドス「愛の言葉」を投稿したChristopher Shihさんでした。すでに動画のコメント欄には祝福のメッセージが多数寄せられています。

 なにはともあれ、Shih氏の演奏ぶりをご覧下さい。

 

 すごく上手くないですか!? 第1位も納得の、貫禄すら感じされる演奏です。

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シェリル・ステューダーは今

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(写真)1991年当時の「グラモフォン」誌の広告から

 シェリル・ステューダーという名前を聞いて、読者の皆様はどうお感じになられるでしょうか。もしかしたら「えっ?そのヒト誰?」という方もおられるかもしれません。

 80年代から90年代にかけて、音楽業界は「CDバブル」ともいえる活況を呈していました。この時期には今では考えられないほどの新譜がリリースされ、しかもよく売れました。全世界で1億枚以上を売り上げたマイケル・ジャクソンの「スリラー」がリリースされたのは1982年です。クラシックでは1990年にローマで開催された3大テノールのコンサートのライヴ盤が、1000万枚を超えるメガヒットとなりました。

 メジャー・レーベルが数々のスター・アーティストと専属契約し、膨大なレコーディング・スケジュールを次々にこなしていたこの時代、DG(ドイツ・グラモフォン)を中心に録音活動を行っていたソプラノ歌手のステューダーは、タイトル数の多さで他の歌手たちを圧倒していました。Wikipediaによると、彼女が参加したオペラ全曲盤のセッション録音は41種ありますが、そのほとんどが88年から94年までの6年間に集中しています。それ以外にも歌曲の録音も行い、さらにはコンサートやオペラハウスでも活躍していたわけですから、その仕事量の多さには今更ながら驚かされます。

 まさに「飛ぶ鳥を落とす勢い」だったステューダーですが、90年代後半になるとバタリと新録音が途絶え、やがて声の不調による活動休止などのニュースも聞こえたりするようになります。そのうちにマスコミやファンの間でも話題に上る機会が極端に減ってしまい、目立たない存在のまま現在に至る、といったところが多くの音楽ファンの認識ではないでしょうか。

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2008.05.28

ベルリン・フィル 飛行場で演奏会

 ブログ「ベルリン中央駅」で知ったのですが、先日の火災で使えなくなったベルリン・フィル本拠地Berliner Philharmonieの代替会場として、ベルリンのテンペルホーフ空港が使われることになったそうです。今週開催のコンサートは、同空港の格納庫で行われます。

 それにしても天下のベルリン・フィルが格納庫で演奏会とは…、こんなことは戦時中でも無かったのではないでしょうか。なんか格納庫ってカンカンキンキン響きそうですしね。プログラムはベルリオーズ「幻想交響曲」なのですが、どんな音がするんでしょうね。

(追記)あと「ベルリン中央駅」は、ベルリン・フィルハーモニーの火災についても詳細に報じています(エントリ1同2)。もしかしたら世界で一番詳しいかもしれません。おすすめです。

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2008.05.26

あのピアノメーカーのファツィオリが…

 こんなピアノを製造していたとは…!!!

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 なんか全然ピアノっぽくないんですけど。

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スティーヴ・ライヒ meets 初音ミク

 スティーヴ・ライヒ「ピアノ・フェイズ」の初音ミク版です。「庭は夏の日ざかり」のSonnenfleck様にご教示頂きました。ありがとうございます。

ニコニコ動画 - 初音ミクでミニマル ”Hatsune Phase” for 2 Vocaloids

 来日中のライヒさんも是非。

(※)「ニコニコ動画」非登録の方は、こちらでご覧下さい。

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2008.05.25

水戸室内管弦楽団公演 指揮者が小澤征爾から広上淳一に変更

 水戸芸術館のメルマガに、告知が出ています。

▼水戸芸術館ATM速報2008年5月23日発 水戸室内管弦楽団第72回定期演奏会および第3回ヨーロッパ公演についてのお知らせ

 5月28日から30日にかけて予定されている定期公演の指揮者が、小澤征爾から広上淳一へと変更となりました。小澤氏は今後1ヶ月間、腰椎椎間板ヘルニアの治療に専念するとのことです。
 
 小澤さんといえば、フランス国立管を指揮した「幻想交響曲」(ベルリオーズ)のライヴが先日NHK-FMでオンエアされたばかりです。私はこの演奏にいたく感激してしまいまして、「やっぱり世界のオザワはスゴイな」と感じ入った次第です。腰の病気ということで大変かとは思いますが、今回はじっくり治療していただいて、また元気な姿をファンの前に見せていただきたいです。

 で代役が広上さんですか。こちらもコロンバス交響楽団の経営危機で、もう大変だと思います。これまで経済的にサポートしていた団体が寄付の打ち切りを発表するなど、依然楽団の将来は不透明です。広上さん自身も資金集めのためのゴルフコンペに参加するなど、体を張っています。普通なら仕事に集中できない精神状態でしょう。でも広上さんはコロンバスでも、苦しい状況の中でしっかりと仕事を続けてこられたプロフェッショナルですから、水戸でもきっといい演奏をなさるのではないでしょうか。

 ところで、このニュースを私は毎日新聞の記事で知りました。同館スタッフの矢澤孝樹氏がブログで記事にされてるとはいえ、トップページで指揮者交代について一行も触れていないのは、問題ではないでしょうか。

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2008.05.24

ジークムント・ニッセル(ヴァイオリニスト、アマデウス四重奏団のメンバー) 逝去

 アマデウス四重奏団で第2ヴァイオリンを担当していたジークムント・ニッセルが今月21日、ロンドンの自宅でお亡くなりになられました(参照)。享年86才。心からご冥福をお祈りいたします。

 ニッセルはミュンヘン生まれ。9才でウィーンに移り住むと、ウィーン・フィルの奏者からヴァイオリンの指導を受けます。ユダヤ人の彼はナチス・ドイツがオーストリアを占領するとイギリスへと渡りますが、しばらくの間「敵性外国人」としてマン島で抑留されてしまいます。そこで出会ったのが、ヴィオラ奏者のペーター・シドロフでした。2人は解放後、ノーバート・ブレイニン(シドロフがマン島のキャンプで知り合ったヴァイオリン奏者で、一足先に解放されていた)、チェロのマーティン・ロヴェットらと共に「ブレイニン弦楽四重奏団」という名前で演奏活動を始めます。このクワルテットはその後「アマデウス四重奏団」と改名するのですが、この「改名話」をもちかけたのが、他ならぬジークムント・ニッセルだったといいます。

 アマデウス四重奏団はシドロフの死(1987年)によって、その活動を休止しました。また第1ヴァイオリンのブレイニンは、2005年に亡くなっています。

(参照)
Wikipedia - Amadeus Quartet

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2008.05.23

カルミナSQの新譜

Carmina_tabe_chamber_music カルミナ四重奏団といえば、90年代DENONレーベルからリリースされた数多くの録音で、日本のファンにもおなじみではないでしょうか。その確かな技術に裏打ちされた深い芸術性は、日本のみならず世界中の愛好家を魅了し、シマノフスキのディスクは1992年「グラモフォン賞」(室内楽部門)を受賞しました。同楽団のアルバムの多くは再発&低価格化され、今でも手軽に入手することが出来ます。個人的な「お気に入り」のシェック「ノットゥルノ」(バリトンのオラフ・ベーアと共演)が廃盤なのが惜しまれるところですが。
 そんなカルミナ四重奏団も音楽不況のあおりを受けたのか、一時期新録音がばったりと途絶えてしまいました。ただ時折ウェブラジオで彼らの演奏に接する機会はあったので(クロスオーヴァー的な活動もやってましたね)、それらに耳を傾けながら、「ああ、スイスで元気にやっているみたいだな」と嬉しく思ったりしていました。
 今年に入って「カルミナQが10年ぶりにDENONとセッション録音!」「しかも田部京子と共演!」という吉報が届き、私は「まだか」「まだか」とリリースを心待ちにしておりました。そしてようやく店頭で新譜(写真:アマゾン/HMV)を目にするや、すかさずゲットしたのですがコレは素晴らしい!何という瑞々しさ!音が華やかなアロマを放っています。しかも気品漂う佇まいも感じられ、実に味わい深い雰囲気であります。それにしても元々が外向的な性格のシューベルト「ます」はともかく、シューマンの「ピアノ五重奏曲」をこれほど「華」のある演奏に仕上げるとは…。意外でもあり、興味深くもあり、ともかく見事です。
 「レコード芸術」誌最新号(2008年6月号)によると、カルミナ四重奏団は今後バルトークなどを録音する計画があるそうですので、今後どんな演奏を聞かせてくれるのか、とても楽しみです。

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2008.05.21

ベルリン・フィルハーモニーで火事(Update)

 「クラシックおっかけ日記」で知ったのですが、ベルリン・フィルの本拠地、ベルリン・フィルハーモニーで昨日午後、火災が発生し、屋根の一部が燃えるなどの被害が出ました。当時ホール入口付近では室内楽の無料コンサートが開かれていて、火事のため演奏者たちや観客が避難する騒ぎになりました。負傷者・けが人などは出なかった模様です。

 現地のニュース映像がこちらにあります↓

 火災後の関係者の記者会見の動画もupされています。ドイツ語のヒアリングができる方はどうぞご覧ください。

(追記)「FNNニュース」でも、火災現場となったホールの映像などを見ることができます。
 ただ、この動画でクラウディオ・アバドの元気な姿が見られたのは、個人的には「不幸中の幸い」でした。

(参考)
AFP BB News. ベルリン・フィルの本拠地で火災. (May 21, 2008)
読売新聞. ベルリン・フィル本拠地で火災、聴衆・楽団員ら千人が避難. (May 21, 2008)
Yahoo! News. Fire breaks out at Berlin Philharmonic. (May 20, 2008)
↑写真には、火災の様子を見つめるマンフレート・プライス氏(クラリネット)の姿が映っています。


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2008.05.20

プレトニョフの「田園」 そして「ヘンな演奏」について

 巷で「ヘンだ」「ヘンだ」と評判のプレトニョフ指揮のベートーヴェンを、私もようやく聴くことができました。といってもCD演奏ではなくて、今年4月にパリのサル・プレイエルで行われたライヴから交響曲第6番「田園」をウェブラジオで聞いたのですが、「んんっ!?思ったよりもちゃんとしてるかも…」というのが第1印象でした。
 確かにあの二段ロケット的展開の第1楽章冒頭部、第4楽章の嵐の場面でのコントラバスのしゃかりき具合、第5楽章突入直前の間延びしたクラリネットとホルンのソロ(一瞬マーラーが始まったかとオモタ)など、「大笑」ポイントは散見されたものの、やや気まぐれなプレトニョフの棒に、きちんと合わせてくるロシア・ナショナル管の合奏能力の高さには素直に驚かされました。ソロパートなどでは各奏者の技量も高さもうかがえますし、かなりポテンシャルの高いオケだと思います。そしてオケが上手いと、いくら局所的にエキセントリックであっても、音楽に妙な説得力が出てくるのが不思議なところです。第二ロケット噴射(爆)後の第1楽章の爽快さ、第2楽章の川の流れのような流麗さは聞きものでしたし、明朗なフィナーレも悪くなかったです。

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グッドオールの1968年サドラーズ・ウェルズ・オペラ「マイスタージンガー」がCD化

 されるそうです。シャンドス公式サイトに告知が出てました。BBCのアーカイヴからのCD化です。英語での上演ですので題名は「ザ・マスターシンガーズ」になってます。
 これは当時不遇をかこっていた指揮者サー・レジナルド・グッドオール(1901-1990;→Wikipedia)が、一躍脚光を浴びるきっかけとなった公演ですね。買わなければ。

(参照)
On An Overgrown Path. Priceless Wagner rescued from BBC archives.

(関連商品)
山崎浩太郎著「クライバーが讃え、ショルティが恐れた男 指揮者グッドオールの生涯」

(当ブログ内関連記事)
「トリスタンとイゾルデ」を堪能(グッドオール指揮「トリスタン」の感想)

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2008.05.19

2台のピアノのための作品を一人で弾くピアニスト

 東京オペラシティで開催される「コンポージアム2008」に合わせて来日するスティーヴ・ライヒ。そんな彼の比較的初期の作品に「ピアノ・フェイズ」という曲があります。2台のピアノが奏でる反復音型のタイミングが少しずつズレていき、そこで生まれる響きの「妙」を楽しむ作品なのですが、2人の奏者の息がピッタリと合わないと格好が付かないという難曲でもあります。
 その「ピアノ・フェイズ」をたった一人で弾きこなすという「特技」を持つ、Peter Aiduなるピアニストの動画がYouTubeにありましたのでどうぞ↓

(参照)
Sequenza21/. Everything Gets Easier.

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2008.05.18

極私的・気になる新譜(CD&DVD)情報

 HMVの輸入盤新譜情報を見ながら、個人的に気になったアイテムをだらだらと列挙するコーナーです。

●「ブリテン=ピアーズDVDコレクション」(英Decca)
 「ビリー・バッド」「冬の旅」「ピーター・グライムズ」「イドメネオ」の4タイトルがリリースされます。BBCのアーカイヴからのDVD化だそうです。「冬の旅」は以前CSで見たことがありますが、後は映像の存在すら知りませんでした。ということでイギリス音楽ファンは是非。

●「スラヴァ賛!~ロストロポーヴィチ記念コンサート(独Profil)
 昨年10月にドイツ・クロンベルクで行われたライヴをCD4枚組にまとめたもの。登場アーティストはチェリストだけでもダヴィート・ゲリンガス、ナターリア・グートマン、ユリウス・ベルガー、リン・ハレル、ゲーリー・ホフマン、ミッシャ・マイスキー、ミクローシュ・ペレーニ、アルト・ノラス…。「うそ~!」て思うでしょ?(笑)。そしてネーメ・ヤルヴィ指揮バイエルン放送響、ギドン・クレーメルとクレメラータ・バルティカも登場します。チェロ好きはもちろん、20世紀音楽もたくさん収録されてますから、現代音楽ファンも是非。

ニルソン、レオンタイン・プライス、ディ・ステファノ、そしてモリナーリ=プラデッリ指揮の「トゥーランドット」ライヴ(独Orfeo)
 1961年のウィーン国立歌劇場のライヴで音声はモノラルですが、これはどうなのでしょう。海賊盤とかでリリースされたことはあるのでしょうか。いずれにしても聞いてみたいです。

●ユーロアーツ「CLASSIC ARCHIVE」シリーズ
 ミケランジェリの1981年ルガーノ・ライヴリヒテルの晩年のロンドンでのリサイタルニコラーエワのショスタコーヴィチ「24の前奏曲とフーガ」(全曲)ワイセンベルクのブラームス「ピアノ協奏曲第2番」など、魅力的なラインアップです。

●ムーティ指揮シカゴ響のスクリャービンなど (CSO Resound)
 先日「リッカルド・ムーティがシカゴ交響楽団の音楽監督に就任」というニュースが発表されたばかりですが、そんな両者の演奏を収めたアルバムが、シカゴ響の自主レーベルから早速リリースされます。CDSACDハイブリッドの同時発売で、曲目はスクリャービン「法悦の詩」、プロコフィエフ「交響曲第3番」、そしてラヴェル「ボレロ」です。

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「音楽を聞きながらワインを飲むと味が変わる」という実験結果が

Jochum_carmina 出たそうです。ヘリオット・ワット大学(英エディンバラ)の心理学者エイドリアン・ノース教授と、チリのワイン醸造家アウレリオ・モンテス氏らの研究チームが250人の学生にワインを試飲させてデータを収集した結果、「カルミナ・ブラーナ」(左の写真はヨッフム指揮のCD)のように音が大きくて重々しい音楽を聞きながらカベルネ・ソーヴィニヨンを飲むと、ワインの味がより力強くヘヴィーに感じられるということが判りました。一方チャイコフスキーの「花のワルツ」のような静かな音楽を聞きながら飲むと、ワインがよりすっきりとして洗練された味わいに感じられるということです。またさわやかな音楽(研究者によるとNouvelle Vagueの「Just Can't Get Enough」がそれにあたるそうです)は、シャルドネのような白ワインの爽快さを際だたせるそうです。この結果について研究者は「脳がさまざまな部位の神経細胞を刺激し、しかもその箇所が音楽のタイプによって異なっているので、味の感じ方も違ってくるのだろう」と推察しています。

 このニュースを伝えるAFPの記事には、研究結果を踏まえてモンテス氏が作成した「ワインがおいしくなる音楽のリスト」もありますので、興味のある方はご参考まで。


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2008.05.15

ホンダのロボットASIMO オーケストラを指揮

 1990年代の登場以来、どんどん進化を続けるホンダの二足歩行ロボット「ASIMO」が、ついにここまで来ました。今月13日のデトロイト交響楽団の演奏会に登場したASIMOが、オーケストラを指揮したのです。ホールに詰めかけた大勢の観客の前でASIMOは「見果てぬ夢」(「ラ・マンチャの男」より)を演奏しました。その腕前はどんなものだったのでしょう。リハーサルと本番の一部が収められた動画をご覧下さい↓

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2008.05.14

TVで見たイエス・キリスト教会

Karajan_jesus_christ_church 先日「題名のない音楽会」を見ていたら、新司会者の佐渡裕氏が「新録音の仕事の下見」と称してベルリンのイエス・キリスト教会を訪れていました。私はTVに映し出される教会内部の映像を見て「おおっ!カラヤンのレコードで見たのと一緒じゃん!」と心の中で叫んでしまいました。そう思ったのは私だけでなかったようで、佐渡さんもステンドグラスに目をやると「カラヤンがジャケット写真に使ったのはこのアングルから撮ったやつじゃないかな」みたいなことを話しながら、カラヤンの立ち姿を真似たりしていました。
 イエス・キリスト教会といえば、かつてレコード各社がセッション録音に好んで用いた場所として、中年以上のクラシック音楽ファンにはおなじみではないでしょうか。レコード音楽産業華やかなりし頃は(同教会のように)録音に重用される建築物が、欧州各都市に存在していました。ドレスデンの聖ルカ教会、ウィーンのゾフィエンザール、ロンドンのキングスウェイ・ホールといった名前は、ジャケ裏などで随分と目にしたものです。現在ゾフィエンザールは火災で焼け落ちた後廃墟となっているそうですし、キングスウェイ・ホールは解体されて、今は同じ場所に同じ名前を冠したホテルが建っています。低調な現代のレコード業界を象徴するような、寂しい話であります。

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2008.05.13

「BBCヤング・ミュージシャン・オブ・ザ・イヤー」 優勝したのは12歳の少年

 昨日(5/12)はBBCの「Young Musician of the Year」の放送日でした。このコンテストは1978年以来隔年で開かれているコンテストで、過去の受賞者リストを見ると、エマ・ジョンソン(クラリネット)、デイヴィッド・パイヤット(ホルン)、フレディ・ケンプ(ピアノ)、ナタリー・クライン(チェロ)と、なかなかの顔ぶれが揃ってます。前回の優勝者は当ブログの読者ならお馴染み!ニコラ・ベネデッティでした。
 さて今年の「ミュージシャン・オブ・ザ・イヤー」ですが…、正直言ってあまり関心無かったもので、今日結果をネットで知りびっくりしました。栄えある栄冠に輝いたのは、若干12歳のトロンボーン奏者、ペーター・ムーアくんでした(参照)。
 「どれだけうまいのやら…」ということで彼の演奏場面をネットで探してみたら…、予想通りアソコに落ちてました(もっともいつまで見れるか判りませんが)↓

 正直これだけでピーター少年の技術が如何ほどかを判断するのは困難ではあります。それよりここで彼が演奏してるアンリ・トマジの協奏曲、なかなか格好よくていい曲ですね。ちなみにバックのオケはBBCウェールズ響、指揮はティエリー・フィッシャーです。このフル・バージョンは「BBC Radio 3」のオンデマンド配信でも聞くことができます(今度の日曜日までの期間限定ですが)。「BBC iPlayer」の時間表示で「10:58:00」あたりからがピーターくんの演奏なのですが、インタビューの声聞いてたらまだ声変わりしてない!なんか新鮮な驚きです。

 ただ気になるのはピーターくんが「若すぎる」ことです。「若すぎる」ということは格好の宣伝材料になるわけです。もしかして今回の受賞の背景には何らかの「スター・システム」が働いていて、数週間後には「あの少年がCDデビュー!」みたいなことになってるんじゃないかなぁ、なんて想像までしてしまいます。ピーターくんには第2のシャルロット・チャーチにはなって欲しくありませんので、これからも地道に音楽の道に精進してもらいたいところです。というか若いんだし、音楽以外の道に進んでも全然かまいません。

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ベルリン・フィル「ヨーロッパ・コンサート2008」がウェブで見られます

 先日当ブログでもお伝えしたベルリン・フィルの「ヨーロッパ・コンサート2008」ですが、以下のサイトでライブ映像を見ることができます↓

http://www.medici.tv/

 6月末日までの期間限定だそうです。このコンサート、私はウェブラジオから録音してCD-Rに焼いて、もう毎日車の中で聞きまくっているのですが、動画でも見ることができて感激です。皆様もぜひご覧下さい。

 ご教示いただいた「ワディム・レーピン・ファンサイト」のAK様、本当にありがとうございました。

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2008.05.12

「ヴァン・クライバーン・ユーチューブ・コンテスト」 只今投票受付中

 私が有楽町で浮かれてるあいだに、「第1回クライバーン・ユーチューブ・コンテスト」(Cliburn YouTube Contest)の参加ピアニストの動画が、すでにネット上にupされていました。このコンテストは参加希望者(アマチュア限定)が動画をネット投稿し、それを見た視聴者が投票で勝者を決めるという、まさに「Web2.0」的発想のネット参加型コンクールです。投票受付は今月1日から公式サイトですでに始まっています。今月15日に投票受付が締め切られ、勝者は今月30日にYouTube上で発表されます。興味のある方はこちらで参加者たちの演奏ぶりをご覧になった上で(「再生リスト」のあたりをクリックすれば演奏が始まります)、投票してみてはいかがでしょうか。
 それにしても「35歳以上のアマチュアならだれでもオッケー」という参加条件のせいか、本当に老若男女、幅広い層のアマチュア・ピアニストたちが集まりましたね。私も参加者たちの動画を一通り眺めてみましたが、バリバリ弾きまくってる人たちもいいのですが、比較的年老いた参加者が丁寧に弾いている姿に、どこか心惹かれるものがありました。これは意外でした。

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2008.05.09

コロンバス交響楽団 活動休止か

 かねてから財政危機が伝えられていたコロンバス交響楽団が、活動を休止する可能性が出てきました。地元紙の報道によると「財政難のため楽団事務局は夏のポップス・コンサートの中止を決断」「来期の定期演奏会を開催する見通しすら立たない状況」だとのことです(参照1同2)。今回の発表の背景には、膨れあがる赤字のほかに、楽団員の大規模リストラなどが盛り込まれた労使協定案を巡る交渉が不調に終わったことも影響したようです。

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ウィーン国立歌劇場に女性コンマス

 今日「フォルカーの部屋」を見て知りましたが、ウィーン国立歌劇場は昨日「ブルガリア出身のAlbena Danailova氏がオーケストラのコンサートマスターに就任する」と発表しました。彼女はロンドン・フィルのコンマスを務めるほか、すでにウィーン国立歌劇場での演奏歴もあるそうです。今年9月から2年間の試用期間を経て、正式採用の運びとなります。2009/10シーズンを最後に同歌劇場のポストを辞任するイアン・ホーレンダー監督は「私はキャリアの最後を、女性コンサートマスターと共に過ごすことになるだろう」とコメントしています(参照)。同楽団にとって女性コンマスは「史上初」ということになります。

 ウィーン国立歌劇場、そして同オペラハウスの楽団員で構成されるウィーン・フィルが昔のままでいて欲しいと願うファンにとっては、ショッキングなニュースかもしれません。しかし私はウィーン国立歌劇場の今回の決定を強く支持します。

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2008.05.05

アン、ドゥ、トロワ、カトル、シューベルト!(その3)

 さっきホテルのTVで「ちりとてちん」総集編見てました。喜代美が入門を許されるシーン、今見ても感動的ですね。私朝からウルっときちゃいました。
 あっ、申し遅れました。わたし、グルメレポーターのおかか麻呂です。昨日は「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」で賑わう東京国際フォーラムの「ネオ屋台村」に行ってきましたよ!10台以上の屋台が並ぶ様はまさに圧巻!それぞれのお店が良いニオイを放っていて、「こっちの屋台はうまいよ~」「こっちもおいしいよ~」と私たちを誘惑します。

 この日先ず訪れた屋台はこちら↓

Lfj2008_08

 ベトナムフォー!(←ちょい懐かしい芸人さんのポーズで)


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「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」の追加公演情報

 今ごろになって、なんともサプライズな「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」追加公演情報が出ました。公式サイトによると、追加公演(#536)の日時は5/6(火・祝)18:45-19:30。アンヌ・ケフェレック、シャニ・ディリュカ、児玉桃、イド・バル=シャイ、トリオ・ヴァンダラーらが出演予定です。「最初っからやるつもりだったんじゃ…」と思わないでもないですが、ともかく嬉しいお知らせなのは間違いないでしょう。チケットは会場内特設チケット売場で、6日の朝8時15分から発売されます。

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2008.05.04

アン、ドゥ、トロワ、カトル、シューベルト!(その2)

 皆さんおはようございます、おかかです。昨日は午前中からあいにくのお天気でしたね。そのせいか広場の混雑もいつもほどではなく、おかげで屋台のご飯にもスムーズにありつくことができました(笑)。ロコモコうまかったです。今日は昼から晴れるそうですから、きっと昨日以上に屋台村周辺が賑わいそうですね。そして今日はどんな屋台が並ぶのでしょうか。昨日はおにぎり屋さんと焼き鳥屋さんがおいしそうでしたが、結局そこでは買わなかったんですよ。今日も出店してたら嬉しいんですけどね。

 食べてばっかりじゃないですよ。もちろんコンサートにも行きましたよ(笑)。昨日は小ホールでのピアノ演奏を中心に回ったのですが、「これはスゴイ!」という演奏に幾つも出会いました。クリスティアン・イヴァルディとジャン・クロード・ペヌティエのピアノ連弾(#254)は、これぞまさに「ピアノ連弾の鑑」といいたくなるほど、二人のベテラン奏者の音楽的意図が見事にシンクロしていました。大曲にして傑作の「グラン・デュオ」(D812/作品140)では、豊かな詩情を保ちながら、シンフォニックで堂々とした風格も感じられ、まさに偉大な曲の偉大な演奏でした。フランク・ブラレイ(#256)の「ピアノソナタ第20番」(D959)も、颯爽としていて実にさわやかな演奏でした。私この曲の最終楽章が大好きなんです。鼻歌で軽く歌えそうなシンプルな旋律から、どんどん音楽がダイナミックに進化・発展していくところが「シューベルトらしいなぁ」「面白いなぁ」と、聞くたびにいつも思うのですが、この日のブラレイも、そんな曲の面白さを存分に引き出していました。そしてアブデル・ラーマン・エル=バシャ(#257)。その音の存在感は圧倒的。まるで城壁の石垣のようにどっしりとした質感。まさに「巨匠の風格」といったところでしょうか。

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2008.05.03

アン、ドゥ、トロワ、カトル、シューベルト!(その1)

 というわけで東京国際フォーラム近くにある「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」提携ホテルからカキコしています。といってもT国ホテルでもPレスホテルでもないんですけどね。しかも翌日には別の安宿へと移動し、そこをベースキャンプにする予定です。まあ今年は有楽町に長居するので、できるだけ安く上げないとね。ちなみに今日の晩ご飯はY野屋でした。やったねパパ!明日はグレートで未完成なホームランだ!(意味不明)。
 夜も更けてまいりましたので、今日は会場の写真だけうpしておきますね。

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ベルリン・フィル「ヨーロッパ・コンサート2008」をウェブラジオで聴く

 今月1日にモスクワ音楽院大ホールで行われたベルリン・フィルの「ヨーロッパ・コンサート」をウェブラジオで聴きましたが素晴らしかった!ラトルとベルリン・フィルのコンビで、これほど音楽的に充実した演奏を初めて聴きましたよ!私はコレを待ってたんですよ!
 ラトルがベルリンに来てからというもの、なかなかピンとくる演奏に巡り会えず、ずいぶんとイライラさせられたものです。最近では「ラトルがベルリン・フィルから三行半を突きつけられるのではないか」などといったネガティブな報道もあったりして、ファンとして気を揉む日々が続いたのは事実です。そんな曇天のような状況で行われた「ヨーロッパ・コンサート」で、晴天のごとく清々しいベートーヴェン「交響曲第7番」が聴けて、とても嬉しい気分です。ベト7らしい怒濤のリズムと、ラトルらしい明朗で歯切れ良い解釈もさることながら、なにより私が魅了されたのは、個々の奏者たちの「個性」がはっきりと聞き取れる演奏でありながら、オーケストラ「全体」の響きが一つにまとまっていたことです。これほど「個」と「集団」のバランスが絶妙なオケ・サウンドは、滅多に聞けるものではありません。DVD化するなりCD化するなり、ともかくきちんとしたパッケージで改めて聞いてみたい演奏です。

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2008.05.02

ヴェルナー・テーリヒェン(ティンパニ奏者・作曲家・指揮者) 逝去

 ブログ「Timpani Bar」の記事で知ったのですが、1948年から84年までベルリン・フィルのティンパニ奏者として活躍した打楽器奏者のヴェルナー・テーリヒェンが、先月24日に亡くなっていたことが明らかになりました(参照)。享年86歳。心からご冥福をお祈りいたします。

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