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2008.04.27

京都でフォルテピアノによるベートーヴェン・ツィクルス 始まる

 大井浩明氏(→公式ブログ)の「Beethovenfries」がいよいよ始まりました。今月から1年がかりで、ベートーヴェンのピアノソナタ(全32曲)とリストが編曲したバージョンの交響曲全9曲を、作曲順にフォルテピアノで演奏します。さらにはベートーヴェンのピアノソナタを作曲した時期と同年齢の作曲家たちの新作初演もやってのける(しかもフォルテピアノで)ということで「これは是非とも行かねば!」と思っていたところ、大井氏ご本人から招待券を頂きました。どうもありがとうございました。

 会場は京都・三条通に面した「京都文化博物館・別館」。東京駅で有名な辰野金吾氏の設計で、元々は日銀の京都支店として使われていました。赤レンガが印象的で、それこそ東京駅のミニチュア版みたいな建物です。中も茶色基調のシックな内装で、実に落ち着いた雰囲気です。あと肝心の音響ですが、これがいいんです。ヨーロッパの大聖堂ほどではありませんが、実によく響きます。フォルテピアノの響きを引き出すには、実に好都合ではないでしょうか。連続演奏会の会場として、まさにグッドチョイスだと思います。
 さて私が先日訪れた第一回公演(4/24)ではベートーヴェンのソナタ第1番~第4番と、小出雅子氏の新作「ヒソップ」が演奏されました。ちなみに「ヒソップ」とはハーブの一種。休憩時間には、このハーブのお茶がサービスとして振る舞われました。なにやら効能として「抗菌・鎮静作用」がある、ということのようで、風邪気味で最近喉の調子がよろしくない私には好都合でした(笑)。
 演奏の方ですが、前半の大井氏はシュタイン製フォルテピアノの具合を探りながら楽器のベストを引きだそうと努力している、というか試行錯誤している感がありました。しかしクロマティック(半音階的)でありながらコンソナント(協和音的)な響きを持つユニークな小品「ヒソップ」から吹っ切れたように調子が上向きになり、後半のソナタ2曲ではタッチも安定し、フォルテピアノの美しい響きに浸ることができました。
 演奏会終了後に大井氏とお話する機会に恵まれたのですが、そのとき「コンサートの前後半で奏法を変えてみた」と仰っていました。いろいろとお話を聞いてみると、古楽器でベートーヴェンを演奏するのって、かなり大変みたいです。しかも「Beethovenfries」では、合計8種類のフォルテピアノを使い分ける(※)ということで、コンディションの異なる楽器と次々に相対する、という苦労が大井氏には待ち受けているわけです。一般的に器楽奏者は、同じ楽器を何年も使うものです。お気に入りの楽器と共に世界中を移動するピアニストもいます。いつも万全の状態で演奏するには、楽器はコロコロ変えない方が良いに決まっています。実際、大井氏よりさかのぼること14年前、1994年に日本でフォルテピアノを用いてベートーヴェンの全曲演奏を行ったメルヴィン・タンは、ワルター(第1番~第18番)とグラーフ(第19番~第32番)の2種類のフォルテピアノだけで弾ききりました。大井氏は敢えてそれを排し、自ら困難な道を進んで選んだわけです。実に挑戦的ですね。私はそんなチャレンジャーを応援します。
 第二回公演は4月30日(水)に行われます。曲目はピアノソナタ第5番~第8番と、川上統氏の新作「閻魔斑猫」(「エンマハンミョウ」と読みます)の5曲です。京都近辺にお住まいの方、連休で時間に余裕のある方はいかがでしょうか。

(※)ココで今書いていいかどうかよく判らないのですが(というか書いちゃうけど)、「ハンマークラヴィーア」では楽章別に楽器を2つ(しかもシュタインとブロードウッド!)を使い分けるそうです。

(Program Note)

Hiroaki Ooi Beethovenfries
16 Dec 1770 - 26 Mar 1827, #1
Date: April 24, 2008
Venue: The Museum of Kyoto

1.Beethoven: Piano Sonata No.1 in F minor Op.2-1
2.Beethoven: Piano Sonata No.2 in A major Op.2-2
3.Noriko Koide: "Hyssop" for Hammerfluegel (2008, world premiere)
4.Beethoven: Piano Sonata No.3 in C major Op.2-3
5.Beethoven: Piano Sonata No.4 in E flat major Op.7
6.(Encore) Noriko Koide: "Hyssop"

Instrument: Johann Andreas Stein (from Yamamoto Collection)

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