ダニエル・ドゥ・ニース 最新インタビュー
昨日付の「インディペンデント」紙に、オーストラリア出身のソプラノ歌手、ダニエル・ドゥ・ニース(またはダニエラ・デ・ニース)のインタビューが掲載されています(参照1)。ドゥ・ニースは今年5月のグラインドボーン音楽祭「ポッペアの戴冠」(演出:ロバート・カーセン、指揮:エマニュエル・アイム)でタイトルロールを歌うということで、同公演のプロモーションも兼ねているのでしょうが、ここで彼女は自らの生い立ちや家族のこと、さらには(ファンには気になる)恋愛についても大いに語っています。
ところで、この記事には「別バージョン」が存在します。今回ドゥ・ニースを取材したJessica Duchen氏が、「インディペンデント」紙では公開しなかった部分も含めて、自らのブログでインタビュー内容を公開しています(参照2)。この「完全版」でドゥ・ニースは、ポッペア役をどう解釈しているかを詳細に、そして情熱的に語っているのですが、どうして同紙がこれをカットしたのか首をかしげたくなるほど、興味深い内容です。
英語とはいえ他所様のブログですので、勝手な引用は避けたいのですけど、大まかに訳すと「ポッペアを突き動したのは愛?それとも野望?」と問われた彼女は「それは両方です」「彼女が純粋に愛した男性が、たまたま自らの願望をかなえてくれる人物だったというだけ」と答えています。
そして「ポッペアは氷のように冷たいキャラだと捉えられがち」「でもモンテヴェルディが書いたポッペアの音楽は信じられないほど素晴らしい」「その結果、ポッペア役には『温かみ』と『誠実さ』が明確に感じられる」。さらには愛のない結婚をした男(ネロ)とポッペアが恋に落ちるというあらすじについて「いつの時代でもあること」「ポッペアの行動は、現代と結びついている永遠のテーマ」「すなわちそれは人間の本質なのです」などと語っています。
どうしてこのようなアーティスティックな言説をマスコミはカットし、「私は彼と一緒に居るのがとても楽しいです」「2004年にグラインドボーンで最初に彼と出会いました」「彼とは2005年から仕事を共にするようになりましたが、一緒になったのはそれから2年後です」といったネタばかり取り上げるのでしょうか。ちなみにそのお相手の方ですが…。別に知らなくてもいいですよね(笑)(インタビューに名前がハッキリ書いてあります)。
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