ティク・トク・ショックでヒップ・ホップ・ショック
アレクサンドル・タローの演奏するクープラン「ティク・トク・ショック(ショク)」に合わせて踊るヒップ・ホップ・ダンサー。なかなか洗練された映像だけど、雰囲気がちょっとマックのCMっぽいかも。
アレクサンドル・タローの演奏するクープラン「ティク・トク・ショック(ショク)」に合わせて踊るヒップ・ホップ・ダンサー。なかなか洗練された映像だけど、雰囲気がちょっとマックのCMっぽいかも。
先日来日したノセダ指揮BBCフィルハーモニックの来日公演、というよりヒラリー・ハーンのシベリウス「ヴァイオリン協奏曲」でネットでも話題沸騰となったコンサートが、明日深夜に早くもオンエアされます。といっても「BBC Radio 3」によるウェブラジオ放送で、NHKではありません。本国日本で最初にオンエアされないのってどういうことですか!「ちりとてちん」も終わったことだし、4月から受信料払うのどうしましょう(笑)。まあ新ドラマ「瞳」(というより榮倉奈々)の出来具合を見て決めましょうか。ということでがんばれ新ドラマ「瞳」、というより榮倉奈々(笑)。
(途中から内容が違う方に行ってしまいましたが気にしないでくださいね)
4/1 (Tue) 3:00-4:45 (現地時間 19:00-20:45)
BBC Radio 3 (Real 64kbps)
1.ストラヴィンスキー:ディヴェルティメント
2.シベリウス:ヴァイオリン協奏曲ニ短調 Op.47
3.チャイコフスキー:交響曲第6番ロ短調 Op.74「悲愴」
演奏:ヒラリー・ハーン(ヴァイオリン)ジャナンドレア・ノセダ指揮BBCフィルハーモニック
(2008.3.13 サントリーホールにて収録)
「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2008」のキッズ・プログラムのスケジュールが発表されました。公式サイトにタイムテーブルなどが掲載されています。
もうキッズ・プログラムは、有料コンサートと並ぶラ・フォル・ジュルネのメイン・イベントといっていいでしょう。子供も大人も楽しめそうな企画が今年も並んでいますが、私は「不思議な楽器ストリングラフィー -絹糸が奏でるシューベルト-」が気になります。会場中に張り巡らされた絹の糸で、一体どんな音楽が聞けるのか。これがキッズ・プログラムだけでしか聞けないのって、ちょっと勿体無いですね。会場のどこかでパフォーマンスしてくれないものでしょうか。
昨日は広島交響楽団を聴きに、すみだトリフォニーに行ってきました。コンサート前に近くの公園にふらりと立ち寄ったのですが、桜は満開で、木々の下では「今から酒を飲みますよ~」的にスタンバイしておられる方が大勢おられました。私もつかの間の花見を楽しませてもらい、コンサートに臨んだわけですが、こちらも見事な満開でしたね。あの、「たいへんよくできました」ていう桜の花びらをモチーフにしたハンコがあるじゃないですか。あれを(僭越ですが)昨日の広島響の演奏に進呈したいです。まあ音楽はグリーグにシンディングにスヴェンセンと「北欧づくし」で桜とは縁遠いのですけど(笑)、ともかく良かったです。秋山和慶のタクトの下、広島響のアンサンブルも実にまとまっていましたし、曲のもつ良さを存分に味わうことができました。あれだけ北欧モノをきちんと音楽として提示できるオケって、なかなか稀有な存在ではないでしょうか。わざわざノルウェーまで行かなくても北欧気分が味わえましたよ。これからも「北欧モノといえば広響」という路線で突き進んで頂きたいものです。
ロシアのピアニスト、ヴァレリー・アファナシエフがタワー・レコードのフリーペーパー「intoxicate」に寄稿したコラム「死と愉しみ」が、ネット上でも公開されています。
http://blog.intoxicate.jp/content/2008/03/1_5e5d.html
↑第1回
http://blog.intoxicate.jp/content/2008/03/post.html
↑第2回
http://blog.intoxicate.jp/content/2008/03/3_9f31.html
↑第3回
第1回のコラムで、アファナシエフが近所の住民から「ピアノの音がうるさい」と苦情を受けたというエピソードが出てきます。それを読んで私は、去年彼のライヴを聴いたとき「人並み外れて大きい音を出すピアニストだなぁ」と感心したことを思い出しました。
今週も海外ウェブラジオで聴ける、気になるコンサートライブ放送をリストアップしますね。今週も日本人演奏家のでの活躍ぶりが聴けるのですけど、特に内田光子とテツラフ、そしてブーレーズ&アンサンブル・アンテルコンタンポランのベルク「室内交響曲」は楽しみですね。内田さんが以前クリーブランドでこの曲を演奏したときは、こんなことになっちゃいましたけど、今度は大丈夫でしょう、多分。
あと今週は、名教師として知られるヨルマ・パヌラが指揮台に立った最新ライヴもオンエアされます。アントワープでの「SIBELIUS HAPPENING」と題されたコンサートから「大気の精」「タピオラ」が聴けます。また同郷の指揮者セーゲルスタムが指揮する「トリスタン」(ウィーン国立歌劇場)も気になるところです。
この数年、希少なヴァイオリンの名器が次々とオークションにかけられ、高値で取引されています。当ブログでは以前、竹澤恭子さんがコンサートで使用したことのあるストラディバリウス「ハンメル」が354万ドルという、楽器としては史上最高額で落札されたことを取り上げましたが、現在この「ハンメル」は世界一高いヴァイオリンではありません。今年2月、かつてアンリ・ヴュータンも愛用したというガルネリ・デル・ジェスが390万ドル(約3億8800万円)で落札され、最高落札価格の記録を更新したからです。
さて、このガルネリのお披露目コンサートが先週末モスクワで開かれました(参照)。160人の招待客の前で演奏されたのはバッハ「ヴァイオリン協奏曲イ短調(BWV1041)」、モーツァルト「同第5番イ長調(K219)」、そしてブルッフ「同第1番ト短調(作品25)」の3曲という、豪華コンチェルト3本立て。楽器を演奏したのはピンカス・ズーカーマン(59)でした。ズーカーマン自身、自前のガルネリ「Dushkin」を所持しているのですが、彼は「世界一高価な楽器」にホンの数秒触っただけで「自分の楽器と感触が似ている」と悟ったそうです。実は2つのヴァイオリンは同じ時期に製作され、使われた木材も同じだということです。さすがプロですね。
片山杜秀氏の近著「音盤考現学」(アルテスパブリッシング/アマゾン)をようやく購入しました。「レコード芸術」誌で2000年に始まった連載を再編したものということで、実はそんなに期待せず読み始めたのですけど、2008年の今改めて読み直すと、彼の慧眼ぶりには驚かされることしきりです。ミレニアムの年に片山氏はすでにヨー・ヨー・マがアジアにベクトルを向けたことに気付き、タン・ドゥンの音楽に潜む「中華思想」に警鐘を鳴らし、細川俊夫は「二代目武満徹を襲名」したと高らかに宣言しています。そしてこれらの「予言」の数々は、気味が悪いほど当たっています。現在ヨー・ヨー・マはシルクロード・アンサンブルを主な活動の場とし、タン・ドゥンは「グリーン・デスティニー」「HERO」などの映画音楽で世界を征服し、細川俊夫の作品は欧米のコンサートホールで頻繁に演奏されているのですから。
動物愛護団体による抗議活動といえば、最近では日本の調査捕鯨を妨害するシーシェパードのニュースがありましたが、今度は抗議の矛先がオペラに向けられたというニュースです。南アフリカ・ヨハネスブルグで今月上演されたヴェルディの歌劇「アイーダ」で、演出の一環としてライオンとチーターを舞台に登場させたところ、地元の動物愛護団体である「The National Council of Societies for the Prevention of Cruelty to Animals」(NCSPCA)が「動物を舞台に上げるな!」と異議を唱えました。連日動物園から護衛警官に守られ公道を移動し、上演中は大音量のオーケストラのサウンドの中で照明にさらされる動物たち。動物保護団体は、それら一連の行為が「動物にとってストレスとなる」、よって「動物虐待に当たる」と主張しているようです。一方主催者側は、動物たちはきちんと法律に則って管理されているとし、「今回の演出は虐待には当たらない」という立場を取っています。
(参照)
The Independent. Chorus of disapproval over opera's use of wild animals. (March 21, 2008)
Johannesburg Civic Theatre. Opera Africa - Aida
1972年に旧ソ連で製作されたアニメに「蝶々」という作品があります。監督はアンドレイ・フルジャノーフスキー。音楽はアルフレット・シュニトケが担当しています。アニメの前半部がYouTubeにありましたのでどうぞ。
蝶々がひらひらと舞う場面(2'00"過ぎあたり)でシュニトケが付けた、可憐で愛らしい音楽は、なかなかに印象的です。
この「蝶々」の音楽を、シュニトケは後の作品で大々的に引用しています。彼の作品中最も有名なものの一つ、「合奏協奏曲第1番」(1977)です。
南極大陸の基地内でイギリス隊のメンバーたちが奏でる音楽。もしロバート・スコット、そしてレイフ・ヴォーン・ウィリアムズがこれを見たら、どう思うだろうか。
(参照)
WIRED VISION. 南極基地内部の様々な物で作られた美しい音楽:動画. (March 18, 2008)
インターネットを活用した画期的なピアノ・コンクールがアメリカで開催されます。「第1回クライバーン・ユーチューブ・コンテスト」(Cliburn YouTube Contest)では、「35歳以上」の「アマチュア」であれば誰でも、ピアノ演奏の動画を公式サイトの指示どおりにYouTubeの画面から投稿するだけで参加できます。ただし投稿にはYouTubeアカウントが必須となりますのでご注意ください。応募締切は4月30日です。
コンクール勝者が(審査員ではなく)視聴者によるオンライン投票で決まるという点でもユニークなこのコンテスト、腕に覚えのあるアマチュア・ピアニストは、「腕試し」のつもりで参加されてはいかがでしょうか。
(参照)
Baltimore Sun. Cliburn Competition welcomes amateur YouTubers. (March 5, 2008)
今日3月16日は、キリスト教では「棕梠の主日(枝の主日)」にあたります。そして3/23は復活祭(イースター)です。ウェブラジオでは復活祭に合わせて、実に多くの宗教作品がオンエアされます。その中でも重要と思われるライヴ演奏を以下に列挙したいと思います。なお記事は順次upする予定です。
今日付の「タイムズ」紙によると、ロンドン・キングス・カレッジの研究家が、これまで知られていなかったモーツァルトの肖像画2枚を発見したそうです。1枚は1793年に書かれたもので、彼の横顔を捉えたもの。もう一つはモーツァルトがまだ幼い1764年頃に描かれたもので、彼の横には姉ナンネルも書かれているそうです。前者は「タイムズ」紙の記事で見ることができますが、物憂い気な表情が少し気になるところです。ちょうどこの時期はウィーンへの転居、公開演奏会の企画と新曲の準備、そしてコンスタンツェとの結婚と、モーツァルトにとってまさに「激動の年」でした。その時期の疲労が、このポートレートに刻まれてしまったのでしょうか。
天下のベルリン・フィルが、ついにゲームを始めたようです。
「THE BERLINER PHILHARMONIKER PRESENTS: CELLO CHALLENGE」
モニタ上のチェリストの弓の動きに合わせて、マウスを動かしていく仕組みのゲームです。うまく左右に動かさないと、ガリガリノイズが出ます(笑)。私も早速やってみましたが、「えっ!そこでそんなボウイング!?」とか思ったり。結果はこの通りです。アマチュアながらチェロを弾いてきた経験が、ようやくココで生きました(笑)。「白鳥」だけではちょっとナンなので、次は難易度高めのヤツをお願いします。コダーイの無伴奏とか(と暴語:笑)。
最後にはベルリン・フィルの室内楽コンサートのチケットが当たるという、懸賞の告知が出たりしますので、読者のみなさま、特にベルリンにお住まいの方は一度お試しあれ。
まずは下↓のリンク先をご覧下さい。アメリカ人には「カルミナ・ブラーナ」が、こんな風に聞こえるらしい(?)です。
http://carmina.ytmnd.com/
(クリックしてからFlashムービーが出るまで、少し時間がかかります)
冒頭の「O Fortuna/velut luna」(おお運命よ!/月のように…)ならぬ、「Oh, four tuna/Bring more tuna」(おお4つのツナ缶よ!/もっとマグロを持ってこい!」)で、いきなり腰が砕けてしまいます。その後も見事なまでの「空耳」の連続技が(最後まで!)続きます。実は日本語空耳バージョンもネットには存在するのですが、こっちの方が面白いし、「空耳」度も高いです(つまり「字幕のとおり聞こえる」)。お見事。今日からはもう、カルミナを耳にしたら市場に横たわるマグロを思い浮かばずにはいられません(笑)。原詩、そして日本語訳を見ながら聞くと、味わい深さ倍増ですよ。
(ここから先の記述には若干の性的表現がありますので、読者の方はご注意下さい)
韓国を演奏旅行中のロンドン・フィルが昨日、多忙なスケジュールの合間を縫って地元韓国のソウル・フィルのメンバーたちを相手にサッカーの親善試合を行いました。結果はロンドン・フィルが「サッカーの母国」の意地を見せ、3-2で勝利を収めました。ロンドン・フィルは、トランペット奏者のPaul Benistonが2得点の活躍で、今回の勝利に大きく貢献しました。
ちなみにこの試合のレフェリーを務めた金義洙(Kim Eui-soo)氏は、韓国サッカー協会所属のれっきとした審判で、今年1月30日の「日本対ボスニア・ヘルツェゴビナ」戦でも笛を吹いておられました。へぇ。
(参照)
Yonhap News. Performance on pitch boosts performance in concerts. (March 10, 2008)
Jessica Duchen's classical music blog. 'ere we go... (March 11, 2008)
東亜日報, ロンドンフィル対ソウル市響「サッカーハーモニー」 (March 11, 2008)
ブログ「てくてくハイデルベルグ」の3月6日付のエントリに、興味深いことが書いてありました。このブログの管理人は、ドイツのとある管弦楽団でヴァイオリン奏者として活躍しておられるのですが、その方がリハーサル中にうっかり携帯電話を鳴らしてしまい、あとで団員から罰金を徴収されてしまったそうです。コメント欄には「罰金は5ユーロ(約790円)でした」「本番は30ユーロ(約4700円)」などといった管理人の「告白」に交じり、「友人は100ユーロ(約15800円)取られたといっていました」という訪問者からの「証言」もあったりします。
この記事を読んで「もしコンサート本番中に客席から携帯着信音が鳴ったら、そのケータイを持ってる観客から罰金を取ったらいいのでは…」などと、心の奥に潜むクラヲタ悪魔がささやいたのは内緒です。
(当ブログ内の、携帯電話関連のエントリ)
「ケータイの着信音で演奏会をやり直し」(Dec. 2, 2004)
「続・ケータイの着信音問題」(Dec. 3, 2004)
「スティーヴ・ライヒのケータイ着信音は彼のオリジナル作品」(Mar. 19, 2006)
「携帯電話と管弦楽のためのコンチェルティーノ 初演のレポート」(Oct. 4, 2006)
「コンサートで演奏中ケータイを鳴らしたのはナント…」(Sep. 26, 2007)
↑このチェリストさん、いったい何ユーロ請求されたのかな?(笑)。
昨日(3/10:月)からNHK-FM「ベストオブクラシック」では、「注目の若手指揮者たち」と題して20代から30代の指揮者による演奏をオンエアしています。昨日放送されたのはアヌ・タリの「悲愴」でしたが、とても丁寧かつ細やかな音楽作りで、実に好感が持てました。
さて以前当ブログで「熱気とスピード感」「そしてアンサンブルの一体感と緊張感の持続」「まさに手に汗にぎるような演奏」と評した、グスターボ・ドゥダメルとチェコ・フィルによるプロコフィエフ「交響曲第5番」が、この「ベストオブクラシック」枠で3/14(金)にオンエアされます。これは聴きものですよ皆様。個人的にも、この演奏がNHKでもう一度聴けるというのは実にありがたいですし、素直に嬉しいですね。
【Program Note】
山下洋輔、燃えるピアノに新たに挑戦「ピアノ炎上2008」
Date: 2008年3月8日
Venue: 能登リゾートエリア増穂浦
演奏:山下洋輔(ピアノ)
このコンサートは、現在金沢21世紀美術館で開催中の「荒野のグラフィズム:粟津潔展」の関連企画として行われた。そんな主催者側の趣旨を汲むためには「先ず美術館で展示物を拝見し、それから現地へと出向く」というのが理想的な行程だ、というのは判ってはいたのだけど、不誠実にも私は美術館には立ち寄らず、代わりに千里浜の砂の上をクルマで走ったり、世界一長いベンチを見学したりと能登路を堪能しつつ現地に到着。
始まるまでの空き時間にベンチに腰を下ろす。澄んだ青空を眺めていたら、杖をついたおじいさんがやってきて「今日なんかコンサートでもあるんか?」と話しかけてきた。地元の方のようだ。「そうですよ」「結構人が集まっとるな。あんたはどっから来た?」「福井の方。今日はあったかいね」「もう春や」などと雑談を交わす。砂浜では子供達が貝を探しているのが見える。ここは桜貝が採れる名所らしい。
午後5時。開演予定時刻。銀色のほろが取られ、ピアノが姿を現す。砂浜の上に置かれたピアノ。ジェーン・カンピオン監督の映画「ピアノ・レッスン」を思い起こさせる。西の空から夕日を浴び、白い砂の上に伸びた長い影。それを周囲に張られた規制線の向こうから眺める。主催者からのアナウンスが拡声器から流される。ギャラリーは静かにその時を待つ。
しばらくして、消防服を着た人物がこちらに向かって歩いてくるのが見えた。山下洋輔だ。それを察した観客から自然と拍手が起こる。ゆっくりと時間をかけて歩みを進めたピアニストが、ピアノの前に腰を下ろす。普段見につけない消防服がやはり慣れないのか、何度も裾に手を伸ばし、座り具合を確かめていた。
静まりかえる砂浜に波音が響く。やがてその波音に乗せるようにピアノの音が聞こえてきた。中低音による物悲しくメランコリックな旋律。しかしこの日の夕空のように美しい。「もう少し聴いていたい…」と目を閉じて耳を澄ませていたら、ため息とも喚声ともつかない声がギャラリーから漏れる。目をピアノにやるとすでに胴体から火の手が上がっていた。
波の音とピアノの音。それに「パチ」「パチ」という焚き木のような音と、「バンッ」という鈍い音が交じる。熱でネジが飛んで弦がはじけているのだろう。ピアノの音は中音部から低音部へと、徐々にホンキー・トンクに、そしてプリペアド・ピアノのようなメタリックな響きへと変化する。ピアニストは88個の鍵盤を舐め回すように、ときには肘打ちも駆使しながら演奏を続ける。ピアノが燃え続けているという状況で、その瞬間その瞬間でのピアノの「ベスト・サウンド」を探し、その音を拾い集めて必死で音楽を続けようとしているように映る。
ピアノが燃え始めてから5分以上経過。山下は最高音部の1オクターブ分で必死の打鍵を試みるが、もはやかすれ声のような音しか発することが出来ない。そんなピアノの「最期」を察したのだろうか、ピアニストが席を立つ。彼はピアノから離れると、規制線の手前あたりから燃えるピアノを眺める。それからまもなく響板がバタンと音を立てて崩れ落ちた。再び上がる喚声。
ピアニストは席を立ったが、パフォーマンスは続く。胴体からハラリ、ハラリと木の葉のような小片がいくつも落ちていく。ハンマーだろうか。ますます火は勢いを増し、白煙がこちらの方にも迫ってくる。炎を眺めていると、まるで左義長(どんと焼き)みたいにピアノの「霊」を送り出す儀式に立ち会ってるような気分にもなってくる。
(ここから先には、楽器を愛する方にとってショッキングな画像があります。読者の方は、その点にご留意の上でご覧下さい)
5月の連休に東京国際フォーラムで開催される「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」。「熱狂の日」フレンズ限定のチケット先行販売はすでに終了しました。争奪戦の「戦果」の報告をネット各所でずいぶんと目にしましたが、「買おうとしてもなかなか繋がらなかった…」「あのチケットが取れなかった…」「スタートダッシュに乗り遅れた~」という嘆きの声も中にはありました。
さて3/15の一般発売に先駆けて、3/8(土)からイープラス(e+)、ローソンチケット、CNプレイガイドの各プレイガイドで先行予約販売が始まります。フレンズ先行でお目当ての公演を取り逃した方は、この機会に再チャレンジはいかがでしょうか。
もはや日本人演奏家がヨーロッパでコンサートを開くのは三度のメシのように当たり前になってるわけですけど、それにしても今週末の海外ウェブラジオは、日本人の出演するコンサートが目白押しです。余りにも「立て続け」なので、ここで紹介したいと思います。
いや別に大上段から偉そうな物言いをしようというわけでなく、単にブログ見出しの常套句を使いたかっただけですので。
少し時間が出来たので、ようやく例のピョンヤン・ライヴを最初から最後まで聞くことができました。私が聞いたのはNYフィル公式サイトに3/14までの期間限定でうpされている音楽ファイルです。サイトにある「Listen now」をクリックすると聴くことができますが、高音質なので演奏の様子をはっきりと聞き取ることができます。私はとりあえず適当かつ何となく「新世界」の途中から聞いてみたのですが、数秒聞いて「これは最初から襟を正して聞かないといけない」と悟りました。
イタリア・シチリア島出身のオペラ歌手、ジュゼッペ・ディ・ステファノが昨日、ミラノの自宅で亡くなりました。2004年11月に(別荘を構えていた)ケニアで何者かに襲われて頭に傷を負って以来、彼は長い闘病生活を続けていました。享年86歳。心からご冥福をお祈りいたします(参照)。