北朝鮮のオケ 英国でコンサート開催か
ニューヨーク・フィルがアジア・ツアーの一環として平壌でコンサートを開く、というニュースが日本でも関心を呼んでいますが、今度は北朝鮮のオーケストラが「西側」で演奏会を開くのではないか、というニュースです。「ガーディアン」紙を始めとする複数のメディアによると、北朝鮮の国立オケ(正式名称:朝鮮民主主義人民共和国国立交響楽団)が今年9月に英国で複数回のコンサートを行う、と関係者が明らかにしたそうです。
この国立オーケストラはかつて、ユン・イサン(尹伊桑)による大作「わが国土、わが民族よ!」を演奏し、日本でもその模様はCDで紹介されてます(→amazon)。その演奏を聞く限り、あなどれない実力の持ち主であるだろうと想像できるのですが、今回イギリスで同楽団が演奏する曲目の中に、あの金正日総書記(国防委員会委員長、人民軍最高司令官を兼務)の作曲した(と言われている)楽曲が含まれる、と聞いて私は一気に萎えました。「これってプロパガンダじゃんか…」。
ところでこの奇妙なイギリス・ツアーでは、ロンドン以外に(意外にも)ミドルスブラでの演奏会が設定されています。このイングランド北東部の都市で演奏会が開かれる背景には、あるイギリス人歌手の存在があります。同地出身のオペラ歌手であるスザンナ・クラーク(Suzannah Clarke:写真)は、2003年に北朝鮮で歌ったことがあるのですが、そのとき彼女が提案したのが北朝鮮と外国オケの「相互訪問」だったのです。その念願は今年になって叶ったわけですが、ミドルスブラと北朝鮮との「歴史的因縁」はもう一つあります。1966年にイングランドで開催されたサッカーW杯のとき、北朝鮮代表チームは直前キャンプをミドルスブラで行ったのです。その縁で北朝鮮サポーターとなった同地の人々は、リヴァプールで行われた準々決勝(対ポルトガル戦)に大挙して押しかけたそうです。その試合では一時北朝鮮が3-0でリードするも「モザンビークの黒豹」エウゼビオの4得点に沈められたのは、皆様もご存知のことかと思います。
(参照)
Guardian. North Korean state orchestra to play two dates on British tour. (January 26, 2008)
New York Times. North Korean Orchestra to Visit England.(January 28, 2008)
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