ウィーン国立歌劇場「ワルキューレ」で歌手が途中降板
昨日のウィーン国立歌劇場「ワルキューレ」公演は、オーストリア放送協会のウェブラジオを通じて世界中にライヴ・オンエアされていたので、日本でもお聴きになられた方がおられるかと思います。私も「ちょっと録音してみようかな…」と思ったのですが、長丁場なのと「なんかメンツも豪華だしNHK-FMでオンエアしてくれるかな…」と何の根拠も無い期待をしてしまったため、結局パスしてしまったのです。しかし「Ganze Lieben, Ganze Freuden」によると、当日会場では大変なコトが起こっていたそうで…。ヴォータン役のユハ・ウーシタロが、風邪のため第2幕途中で声が出なくなってしまい、途中降板してしまったのです。第3幕の前には、同歌劇場のホーレンダー総裁が登場し「お詫び」スピーチをしたそうです。そのとき総裁は「歌手も人間なのです…」と語ったといいますが、ここで会場の何人かは「ヴォータンは神様でしょうが!」とツッコミを入れたに違いありません(苦笑)。そのあと代役歌手が登場したものの、代役は舞台の脇で歌い、舞台上ではウーシタロがそのまま演技だけしてた(つまり「口パク」)、というのにもビックリです。「ヴォータンの別れ」のシーンは、ちゃんと格好がついたんでしょうか。
そういえば、昨日はバンコクでもやってたんですよね、「ワルキューレ」。そう、あの「バンコク・オペラ」です。演出は当然、ソムトウ・スチャリトクルです。このブログにある舞台写真を見てますと、まあいつもながらの「バンコク・クオリティ」なのです。ただ今回の演出は、第2次大戦中に日本軍が進駐していた時代のタイに舞台を置き換えているということで、なかなかの問題作でもあります。しかしジークムントがハチマキしてたり鎧兜姿で日本刀振り回しているというのは、どうなんでしょう。微妙に歴史がズレてるような…。
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Comments
どうも、今晩はSt.Ivesです。
控えが演技までは出来ないのでしょうかねえ。代替歌手の方が良い歌手が出てくる例もありますし。
因みに、今回のドレスデンの来日公演でも降板が幾つかありましたが、代わりの歌手が立派に演じ、歌っていました。
それでは、今後ともよろしくお願いします。
Posted by: St.Ives | 2007.12.04 22:02
St.Ivesさまこんばんは。貴重なコメントありがとうございます。
つまりはオペラハウスで「代役が舞台脇で歌う」というのは、「非常事態」の対応策として「常套的」な手法である、という認識でよろしいのですね。
しかしマッキンタイヤー&ターフェルによる「二人羽織」的ヴォータン、さぞかし見物だったのでしょうね。
Posted by: おかか1968 | 2007.12.04 00:39
どうも、今晩はSt.Ivesです。
別人が舞台で演技して、他の歌手が脇で歌うというのは4回ほど見たことがあります。
1回はギーレンの振るベルリン州立歌劇場でのシュレーカーの「遥かな響き」で、準主役級のマックス役の歌手が出演できず、演出家のムスバッハが演技をして代替歌手が脇で歌っていました。
もう1回は、ハンブルク州立歌劇場での「ティートの慈悲」。確かセストの恋人役でしたが、最初はコンビチュニー演出家と思っていました。
もう2回はいずれも「ラインの黄金」で、一人は雷神役(誰だったかは忘れました)だったのですが、もう一つは今回と同じヴォータン役でした。歌うはずだったのは、ブリン・ターフェルで彼が舞台で演技をし、ピットで歌ったのは、急遽ドイツから呼び寄せたブーレーズ&シェローでのヴォータン役ドナルド・マッキンタイアー、場所はコヴェント・ガーデンです。その日は最終公演日でした。
因みに、人づてに聞くところでは、ターフェルは、続く「ワルキューレ」の最終公演日も降板したそうで、この時は別の歌手、これまたレヴァインのメトロポリタンのDVDに出てくるヴォータン役、ジェームズ・モリスが歌ったそうです。
では、また。
Posted by: St.Ives | 2007.12.03 23:25