最近聴いたCDなど
慌ただしい師走の最中、仕事の合間に好んで聞いている音盤などをご紹介します。
以前当ブログで触れたスウェーデンのアカペラ・ヴォーカル・グループ「ザ・リアル・グループ」と北欧合唱界の重鎮、エリック・エリクソンとのコラボレーション・アルバム「スタムニング」ですが、先月日本盤(→amazon.co.jp)がリリースされました。解説文を音楽評論家の諸石幸生氏が担当しているというのは、クラシック音楽ファン向けの配慮でしょうか。
このアルバムに収められているアルヴェーン、ペッテション=ベリエル、ヴィカンデルらの合唱曲は、北欧の合唱団が好んで取り上げているものです。ザ・リアル・グループの5人による演奏は、大人数のコーラスと比べ迫力こそ欠けるものの、繊細かつ適切な音楽表現は好感を抱かせます。これこそエリクソンの指導の賜物ではないでしょうか。単なる「クロスオーバー・アルバム」として片付けることのできない佳作です。
アリーヌ・ヴァン・バレンツェン(Aline van Barentsen:1897-1981)はCDのブックレットによると「ジャック・ルヴィエ、シプリアン・カツァリスの師としてその名を知られている程度」とありますが、私はその事実すら知りませんでした。ともかく私は彼女の華麗かつ完璧なテクニックと、その奥に潜む「典雅」な音楽性に魅了されました。かつてこの世に、このようなベートーヴェンを演奏する人がいたこと、そしてそれがレコードに記録されていたことに感謝せねばならない。そう心の底から思える、そんなアルバムです(→@TOWER.JP)。
次にご紹介するのは、CDではありません。フィルハーモニア管弦楽団のサイト内にある音楽配信サービス「Philharmonia Orchestra Online Shop」にあったメンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲」のライヴ音源(mp3 320kbps:有料)です。ソリストはロシア出身の若手アリーナ・イブラギモヴァ、管弦楽の指揮はサー・チャールズ・マッケラスです。イブラギモヴァの瑞々しくて実に健康的なヴァイオリンの響きも素晴らしいですが、バックのオケも実に安定した演奏ぶりです。合奏部の分厚い低音から弦のピツィカート、そして木管のハーモニーに至るまで、全く以て手抜き無しです。さすがマッケラス、いい仕事してます。
最後はこの季節にふさわしく、クリスマス・アルバムです。フランスはヴェズレーにあるサント・マリー・マドレーヌ大聖堂(→Wikipedia)のパイプオルガンが奏でるノエルやクリスマス・キャロルを収録した「もうひとつのクリスマス」です。パイプオルガンを演奏するダミアン原田修道士は、聖チェチーリア音楽院でオルガンを学んだ後、日本でTV・ラジオ番組の音楽などを書いていましたが、1990年代にフランスに渡り、異国の地で修道士となられた方です。
原田修道士のオルガン演奏には、教会の窓から差す陽光のような暖かみを感じます。それが心にじんわりと染み渡ります。もしこれを実際にヴェズレーのお御堂で聞いたとしたら、確実に私は泣いてしまうでしょう。
このアルバムはアマゾンやタワレコでも扱っているようですが、私は女子パウロ会オンライン・ショップ「ショップ・パウリーネ」で入手しました。
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