回顧・ざ・くらしっく2007(4)- 2007年 このCDが良かった!
読者の皆様おはようございます。おかかです。今ホテルに居ます。窓からは新幹線が見えます。さっきまでネットラジオでショーソンのコンセール聞いてました。それにしてもこの曲、いつ聞いても、どこで聞いてもイイですね。
さて2007年もあと1日です。大晦日です。もう今年はCDを買わないと思います(たぶん…)。ということで例年やってる「マイ・ベスト10」のご紹介です。一応「順不同」ですので、よろしくお願いします。
【クラシック・新譜部門】
●ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第1番&第3番/プレトニョフ(写真左上:DG)
モダン・ピアノとモダン楽器のオーケストラ(しかもロシアのオケ)、それに指揮者は殆ど初顔ときてる。どんな音がするのか正直聞くまで怖かった。しかしプレトニョフの演奏から感じられる、「軽妙」かつ「上品な軽さ」は、ベートーヴェン演奏としてはこれまでに類を見ないものだ。「ベートーヴェンをこんな風に料理することも出来るんだ」と驚嘆した。ベートーヴェン演奏に新たな可能性を開いた、といっても過言ではない。あとロシア・ナショナル管の洗練されたサウンドも印象的だ。ロシアは、少なくとも音楽に関していえば西欧に確実に近づいている。[amazon/HMV/TOWER]
●スーク&ドヴォルザーク/マーツァル(写真中上:EXTON)
ドヴォルザーク「チェコ組曲」が収録されている。「のだめ」繋がりのレコーディングではないかと推察されるのだが、その「チェコ組曲」が良い。この曲は、解釈によっては幾らでもダイナミックで壮大な作品に仕上がってしまうのだが、マーツァルはあえてその道を取らず、素朴で簡潔な表現にこだわっている。派手さはないが、変にカッコつけていないところが却って好ましい。すっぴんで頬の赤い田舎の女の子のような、そんな愛らしさのある演奏だ。[amazon/HMV/TOWER]
●バッハ:無伴奏チェロ組曲/ケラス(写真右上:Harmonia Mundi France)
カザルスやシュタルケルのバッハを「剛」とするなら、ケラスのは「柔」。余分な力がなくてしなやか。ジーグやメヌエットでの躍動も実に爽快だ。あと特筆すべきは楽器の響きの美しさ。開放弦の音もきれいだ。この音結構好きかも。[amazon/HMV/TOWER]
●ブラームス&ベートーヴェン:交響曲第1番/ヴァント(写真左下:Profil)
ヴァントの「ブラ1」。第1楽章ではヴァントらしく、実直で几帳面な演奏解釈を展開しているが。石橋を叩いて渡るような慎重さがあるので、聞いていてちょっと息苦しさを感じてしまう程だ。しかしフィナーレに入ると一転して感情の起伏の激しい演奏となる。そのあたりの「落差」も楽しめる演奏かと。併録のベートーヴェンは「これぞヴァント」としかいいようのない、気の緩みのない演奏。[amazon/HMV]
●Musica Mexicana/バティス(写真中下:Brilliant Classics)
今年も廉価BOXセットには随分お世話になったが、一番楽しめたのがコレ。メキシコの知られざるクラシック作品ばかりを収めたCD7枚組セット。どの曲も面白いのだが、私はとりわけマヌエル・ポンセの作品に魅了された。独特の個性があって叙情的で、しかもクラシック音楽としての「本格感」を感じさせるポンセの曲は、もっと聴かれてもよいように思える。まあヴァイオリン協奏曲でソリストを務めるのがシェリングだったから、尚更すばらしく感じたのかもしれないけど。指揮者のバティスはマニアからは「爆演系」とカテゴライズされているようだが、実際聞いてみると、取り乱した感じはあまりなくて、むしろ曲想に合わせ、的確に感情をコントロールしているような印象を受けた。彼は決してただの荒くれ者ではなく、指揮者としての仕事をきちんとこなす「職人気質」の持ち主のようにも感じられたのだが。[HMV/TOWER]
【クラシック・ヒストリカル部門】
●チェルカスキー・スタジオ・ライヴ/チェルカスキー(写真左:Orfeo)
私は晩年のチェルカスキーを好んで聞いていた。とても楽しい演奏をするからなのだけど、一方で彼の演奏にはミスタッチが付き物だった。どこか綱渡りをしているような、そんな危なっかしさも感じないでもなかった。でもこの壮年期の演奏は違う。これほど技巧が安定しているチェルカスキーを初めて聞いた(苦笑)。そして演奏は晩年同様、ロマンティックな様式で貫かれているのだ。悪かろう筈がない。モノラルだけど録音の状態も良い。[HMV/TOWER]
●ルービンシュタイン:ワルシャワ・ライヴ/ルービンシュタイン(写真右:Altara)
余裕と風格、そして味わい深さ。決して録音状態は良くないが、ルービンシュタインの音楽の魅力は十分に伝わってくる。感情過多にならず、じっくりと落ち着いて聞かせる旋律の歌わせ方がすばらしいのだ。ショパンとブラームスのどちらも良いが、特に印象的だったのがブラームス。ここまで語り口で聞き手を魅了するブラームス演奏をするピアニストは、今の音楽界には皆無だろう。だからこそ聴く値打ちがあるのだろうけど。[HMV/TOWER]
【非クラシック部門】
●Queen Rock Montreal/クイーン(写真左:Parlophone)
当時リリースされUSAで大ヒットとなったアルバム「The Game」の楽曲を中心に、「キラー・クイーン」「ラヴ・オブ・マイ・ライフ」「ボヘミアン・ラプソディ」「ウィ・ウィル・ロック・ユー」「伝説のチャンピオン」「Flash!(フラッシュゴードンのテーマ)」など、おなじみのヒット・チューンも収められている。やっぱりいいですわクイーン。聴くと自然と体が熱くなるというもの。フレディの声のコンディションも良く、高いキーまで声が出ているのも嬉しい。[amazon/HMV/TOWER]
●ワルツを踊れ/くるり(写真中:ビクターエンタテインメント)
7/12に1号店で言及しています。ところで岸田繁もウィーン・フィルのニューイヤーコンサートをお家で見たりするのかな。[amazon/HMV/TOWER]
●Maa/Rajaton(写真右:Plastinka)
(11/26日付の当ブログで言及しています。なおこのアルバムを国内通販サイトで取り扱っているところが現在のところ見当たりません。ラヤトンの公式サイトや独アマゾンで購入するのが良いでしょう。
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