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2007.09.07

「ルーシー・ショウ」に幕

 ルチアーノ・パヴァロッティが亡くなりました。最近は病院での闘病生活が続いていましたが、一時は改善が伝えられ、安堵したのもつかの間、突然の訃報に接することとなってしまいました。
 それにしても、彼の死を悼むブログの数の多さはどうでしょう。このことこそが、彼の成し遂げたことを物語ってるような気がします。マリア・カラス以降、彼が世界中で一番有名なオペラ歌手として君臨していたことを、今改めて実感します。
 ギリシャ人プリマドンナ同様、モデナ出身のスーパースターも後年はスキャンダルの発信源としての活躍の方が目立っていました。やれ痩せただの太っただの、浮気しただの離婚しただの再婚しただの、その結婚式にはボノが駆けつけただの(思えば彼は「パヴァロッティズ・フレンズ」の一人でしたね)、随分と賑やかな私生活と反比例するかのように、彼の声からは輝きが失われ、オペラハウスの舞台に上がることも無くなりました。だからトリノ五輪開会式で彼が登場したときは、驚くと同時に「大丈夫かな…」という一抹の不安もよぎりました。それゆえに彼が「誰も寝てはならぬ」を堂々と歌いきったあとは、素直に感動したのですが。
 彼の訃報に接して、改めて思うのは、オペラ歌手って「はかない」職業だなぁ、ということです。全盛期がどんなに輝かしいものでも、声の衰えは歌手たちに平等にやって来ます。指揮者と違い、歌手にとって「老い」は味方にできない敵なのです。そして晩年は舞台上で幾度かの辛い経験をした後、若者たちに譲る事を余儀なくされるのです。
 だからこそ、音盤やビデオに記録されたパヴァロッティの「黄金時代」の声の輝きは貴重で、かけがえのないものなのでしょう。彼の歌唱で個人的に印象深いのは「リゴレット」(→amazon.co.jp)のマントヴァ公爵です。まさに享楽的で奔放な貴族そのものの声。その輝きゆえにリゴレットとの「光」と「陰」の対照が実に鮮やかなのですが、私はパーソナリティ上どうしても娘を自分の意に沿わない男に奪われたリゴレットの方に感情移入してしまい、まさに「羽のように」軽やかに歌うパヴァロッティに向かって「悪魔め!鬼め!このスケベ野郎!」と突っ込みを入れつつビデオを眺めたりしていました。
 享年71歳。死因は腎不全でした。心よりご冥福をお祈りいたします。

(関連記事)
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La Scena Musicale. He made the world smile. (September 6, 2007)
↑音楽評論家、ノーマン・レブレヒト氏の追悼コラム

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Tracked on 2007.09.08 at 10:32

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