オリバー・サックスのiPodプレイリスト
アメリカ出身の神経学者で、「レナードの朝」「妻を帽子とまちがえた男」などの著作で知られる神経学者のオリバー・サックス(74)が、自らのiPodプレイリストを米「WIRED」で公開しました(→参照)。「iTunes」でリストを見たい方はこちらをクリックすれば見れます。
リストをざっと一瞥してみますと、結構オールド・ファッションドといいますか、日本のクラシック音楽ファンの嗜好と似ているといいますか、まあ要はクラシック尽くしなんですけど、彼は「WIRED」上で、クラシック音楽への「愛」を存分に語っています。「究極の10曲(もしくは『ベスト20』)を選ぶだなんて私には酷過ぎます。私はクラシック音楽の「乱聴家」なんですよ。私は特定の作品を集中して聞き込んだり、一人の作曲家に絞って聴いていく習性があります。その行為は1ヶ月続くこともありますし、一年続くこともあります。そうしているうちにまた別の曲、別の作曲家に興味が移ったりするんです。1979年はモーツァルトの「レクイエム」と「ミサ曲ハ短調」をとっかえひっかえ聴いて過ごしました」「最近は現代音楽を楽しく聴いています。たとえばコリリアーノだったり、トビアス・ピッカーだったり、マイケル・トーキーだったり。ヒルデガルド・フォン・ビンゲンからヤナーチェクまで、何でも聴いています」「私の好きな音楽は、若い頃の経験に大いに左右されています。'30年代から'40年代にかけての成長期に、私はクラシック音楽に感化されたのです。その頃はポップスだったり、他の文化に触れる機会はあまり無かったですから」
実生活でサックス氏はiPodを持っていませんが、「このリストは『もし持ってたら』という仮定で作成した」とも述べています。
サックス氏は元来、音楽に対する造詣の深い人物として知られています。自著「妻を帽子とまちがえた男」(→amazon.co.jp)の中で彼は、バッハのオラトリオやオペラを瞬時に暗記してしまう人物を紹介したりしていますし、ヒルデガルド・フォン・ビンゲンの幻視体験についても、専門家的な視点から考察を加えています。
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●ナイマン:歌劇「妻を帽子とまちがえた男」
マイケル・ナイマン(指揮)サラ・レナード(ソプラノ)エミール・ベルクール(テノール)フレデリック・ウェスコット(バリトン)アレクサンダー・バラネスク、ジョナサン・カーニー(ヴァイオリン)ケイト・マスカー(ヴィオラ)モレイ・ウェルシュ、アンソニー・ヒニガン(チェロ)
(CBS Masterworks: MK44669、現在廃盤)
↑サックス氏の著作に出てくる、「妻を帽子と間違える」患者のエピソードに基づいて作られた創作オペラ。作曲は「ピアノ・レッスン」でサウンド・トラックを担当したマイケル・ナイマン。
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