これだけ安けりゃ、つい手が出ちゃうわこりゃ
「Works of Igor Stravinsky」(ストラヴィンスキー・エディション:22CD-BOX, Sony Classical, →HMV/@TOWER.JP/amazon.co.jp)です。米CBS原盤によるストラヴィンスキー自作自演音盤が、132mm×132mm×58mmの箱にギッシリと収められています。店頭での購入価格は6200円。一枚あたり約280円です。二昔前に私がゲットしたストラヴィンスキー指揮の「春の祭典」海賊盤が1枚1000円だったわけですから、これこそまさに「正規軍による海賊征伐」ですね(笑)。
22枚あるので普通なら「どれから聴こうかなぁ…」と迷える子羊状態になるところですが、私は迷わず「結婚」(Disc 3)から聴き始めました。「ラ・フォル・ジュルネ」で強烈なインパクトを受けた後、ウェブラジオでゲルギエフ&ロンドン響を聴き、そして猛暑の中で耳にする今年3度目の「結婚」。何度聴いてもオモロイ曲ですねコレ。
さてこのストラヴィンスキーBOXの「結婚」、ピアノパートを(第一奏者から順に)ルーカス・フォス、アーロン・コープランド、サミュエル・バーバー、ロジャー・セッションズが務めていて、思わずその豪華さに目を見張るのですけど、このラインアップには理由があります。「結婚」が1926年に「ロシア・バレエ団」によりロンドンで上演されたとき、ピアノを演奏したのがヴィットリオ・リエティ、ジョルジュ・オーリック、フランシス・プーランク、そしてヴラジーミル・ドゥケーリスキー(「ヴァーノン・デューク」名義で「Autumn in New York」を作詞・作曲したことで知られる)という、4人の作曲家たちだったのです。そのことを鮮明に憶えていたストラヴィンスキーが「そのときみたいに作曲家4人を揃えて『結婚』をレコーディングしようよ!」と言い出したので、このようなゴージャスな陣容になったということです。
この話には後日談があります。1966年、ニューヨークで「兵士の物語」の演奏会が開催されました。作曲者自身が指揮したこのコンサートで語りを務めたのはコープランド。そして悪魔役はジョン・ケージで、兵士はエリオット・カーターが演じました。このキャスティングでの録音は残っておらず、当然CD-BOXにも入ってないのですけど、一度聞いてみたかったですね。
(8/4追記)記事の一部に誤りがありました。リエティ、オーリック、プーランク、デュークらによる「結婚」の上演は1926年、ロンドンでの出来事でした。お詫びと共に訂正いたします。
(8/4追記2)今年春ザルツブルグで開かれたストラヴィンスキーの写真展を、「Opera Chic」の管理人様がレポートしています。ギャラリーにある僅かな写真を見ているだけでも、会場の雰囲気が伝わってきます。
(参照)
On An Overgrown Path. Complete Stravinsky at a crazy price. (July 30, 2007)
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Comments
>ケージの悪魔!
ホントにハマりすぎですね。この配役でレコーディングが行われなかったのが残念です。
Posted by: おかか1968 | 2007.08.04 04:46
ケージの悪魔! 何だかはまり過ぎのような気が。。。
Posted by: ガーター亭亭主 | 2007.08.03 22:58