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2007.08.10

ラッセル・ジョンソン(音響設計家)逝去

 アメリカ出身の建築家で、建築音響の専門家として数々のコンサートホールを手がけたことでも知られるラッセル・ジョンソン氏(Russell Johnson)が今月7日、マンハッタンの自宅で死去しました。享年83歳でした。
 彼が音響設計を担当した建築物には、以下のものがあります。

ルツェルン文化会議センター(ルツェルン、スイス)
モートン・H・マイヤーソン・シンフォニー・センター(ダラス、米国)
シベリウス・ホール(ラハティ、フィンランド)
バーミンガム・シンフォニーホール(英国)
キンメル・センター(フィラデルフィア、米国)
エスプラネード・シアターズ・オン・ザ・ベイ(シンガポール)
芸術宮殿(ブダペスト、ハンガリー)

 ラッセル・ジョンソンは「良い響き」のホール作りのため、ウィーンのムジークフェライン大ホール、アムステルダムのコンセルトヘボウなどの歴史的ホールを研究しました。その結果「残響時間2秒」「収容人数2000人以下」「シューボックス型」など、今や「音の良いホール」を作る上での「定説」となっている諸原則をホール設計に取り入れました。またジョンソンは、楽器編成や演奏形態に応じて反響板やカーテンなどを動かし、ホールの響きをコントロールする技術を実用化しました。そしてホールの新築だけでなく、世界中の「響かないホール」の音響改善にも積極的に取り組みました。その分野での代表的な仕事は、ニューヨークのエイブリー・フィッシャー・ホール(1992)、そしてパリのサル・プレイエル(2006)への音響コンサルティングでした。

(参考)
Dallas Morning News. Russell Johnson: His Meyerson design revolutionized concert hall acoustics. (August 8, 2007)
OCRegister.com. Russell Johnson, who designed the sound of Segerstrom Concert Hall, dies at 83.(August 8, 2007)
New York Times. Russell Johnson, Who Transformed the Sound in Concert Halls, Dies at 83. (August 10, 2007)
philly.com. Acoustician changed the sounds of music.(August 10, 2007)
andante. Complex Balancing Act Shaped 'Sound Space' of Philadelphia Orchestra's New Verizon Hall.(December 12, 2001)
↑「キンメル・センター」竣工を伝える過去記事。一つ上のリンク先もそうだが、このホールに関しては、音響面に課題が残っていることが記されている。
ARTEC. Russell Johnson - Chairman.
↑ジョンソン氏が1970年に興した会社「ARTEC」の公式サイトから。

(8/11追記)新たに「プレイビル」からも追悼記事が出ました。そこでサル・プレイエルの改修工事についても触れていたので、当ダイアリーの内容にもそのことを追記いたしました。

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