真夏の夜のノクターン(1)
帰省ラッシュですか…。そういえば家の近所の国道が、普段では考えられないほど車で混雑していました。まさに数珠繋ぎ状態。猛暑の中、本当にご苦労様です。私はというと、実家も近いし、割としょっちゅう両親と顔を合わせていますから、お盆のときに帰ったとしても「帰省」という言葉を使ってよいか迷うところです。
今日は朝から日光浴がてら高校サッカー観戦をしに出かけました。体中から噴出す汗をタオルでぬぐい、木陰を探して腰を下ろします。そしてボーッと試合を眺めているのですが、休日でも容赦なく職場からは電話がチョコチョコ掛かってきます。神様は私をなかなか休ませてくれないようです。
汗をかいて夕刻に自宅に戻るとシャワーを浴びて、アイスコーヒーでほっと一息つきます。日は落ちて来ましたが、夜はこれからです。今日は時間もたっぷりあるので、CD三昧といきますか。
まず棚の奥から取り出したのはコルトーのショパン「ワルツ集&バラード集」。カタログ番号は「TOCE-7818」。1992年に発売された「GR on CD」シリーズの一枚です。EMIによるSPのリマスターにはいつも泣かされっぱなしですが、このCDに関しては実に自然なサウンドで、何の気兼ねもなく素直に音楽を楽しむことができます。久しぶりにステレオで聴いてみると、B&Wのスピーカーから流れる音が(1930年代の録音なのに)結構リアルで、そこにコルトーが居るかのような臨場感すら感じさせるほどです。
コルトーの演奏のどこが魅力的なのか。私のような輩が書くのも何ですが、彼のピアノって、音がスムーズに流れていくんですよ。右手も左手もサラサラ流れていくようで、まるで岩の上から滑り落ちていく沢水のようです。その自然な音の流れが心地いいんです。コルトーはよくルバートがどうだとか、崩し方がどうだとか言われますが、その文言から想像される「ぎくしゃく感」が全く感じられない。そこが素晴らしいと思います。こういうピアノ演奏を「至芸」と言うのでしょう。
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