クラシック音楽とビールとパスタがあれば
どんなに苦しくても、そしてアジアカップでカタールに引き分けても生きていける私ですが(ホントUAEにも勝てなかったら承知しないですわよ:笑)、新潮社発行の季刊誌「考える人」の最新号(写真;→amazon.co.jp
)が「続・クラシック音楽と本さえあれば」というタイトルだったもので(というより表紙がアンナー・ビルスマだったので)ついついゲットしてしまいました。ところで新潮社といえば昔、「グラモフォン・ジャパン」というクラシック音楽専門誌を出してましたね。「ジャジャーン!」と華々しくデビューしながら、いつのまにか休刊してしまい、今ではファンの話題に上がることもありませんけど、正直英「グラモフォン」誌が醸し出すブリティッシュ・テイストを直輸入してしまったがために、万事「ドイツ・ドイツ・ドイツ」な日本の音楽ファンから敬遠されたのではないでしょうか。私は好きだったんですけどね。出るのが5年早すぎましたね。あっすみません。今は「考える人」の話でしたね(笑)。
でその「考える人」最新号の目玉記事が、吉田秀和とアンナー・ビルスマの「2大インタビュー」だったのですが、前者はインタビュアーが堀江敏幸氏ということで、これは先日オンエアされて話題になったNHK教育「ETV特集」と同じ顔合わせですね。「ならテレビと同じ内容かな…」と思ったらさにあらず、雑誌の方がより「批評家・吉田秀和」の本質に迫っていたように感じました。例えば「ETV特集」では「日本でグレン・グールドを最初に評価したのは吉田秀和」ということを殊更強調していましたが、「考える人」ではもっと「深い」ところまでハナシが及んでいます。同誌によると、グールドのような「優等生でない人」を積極的に評価する姿勢は「シューマンから教わった」といいます。「いいものばかり拾うのではなくて、そうでないものに対しても、もっと開かれた批評でありたい」という彼の姿勢は、私も以前から吉田氏の文章から感じ取っていたことでありまして、「やっぱりそうだったか!」と合点がいった次第です。少なくとも私は吉田氏が、生前「B級カルト指揮者」「指揮の仕方がまるでアマチュア」と揶揄されていたジュゼッペ・シノーポリの演奏を評価していたことを忘れていません。
ビルスマのインタビューは、それ以上の「必見もの」でしょう。単なるインタビュー記事に見えて、ビルスマならではの知見が随所に散りばめられています。「(妻の)アンナ・マグダレーナの筆写譜は、バッハの自筆譜とよく似て」いて「結婚してしばらくすると筆跡もどんどん似ていった」という話は、「無伴奏チェロ組曲は実はマグダレーナ作だ」と最近某学者が主張したこと(参照:※)を思い起こさせてくれましたし、「アップボウは『?』で、ダウンボウは『!』」というのは実に上手い比喩で、私はビルスマに座布団1000枚あげたいです(笑)。
(※)この件に関しては、「ongei::blog」のコメント欄でもホンの少し取り上げられています。
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Posted by: Aubrac | 2014.03.23 03:44