結局ブッシュもブレアも表舞台に
ミラノ・スカラ座での「キャンディード」上演を巡るゴタゴタ劇については、当ダイアリーでも何度かお伝えしましたが、今月20日、その「キャンディード」がついにスカラ座で上演されました。当初改変が懸念された「5カ国首脳が水着でご登場」のシーンは、今回のミラノ公演ではカットを免れたようです。ただベルルスコーニ役の下着が、シャトレ座では露出度の高い競泳用水着だったのが、ミラノでは若干「おとなしくなる」など、微妙な改変はあったようです。その代わりといっては何ですが、ローマ・カトリックを風刺する場面(キャンディードが南アフリカで司祭たちに出会うシーン。今回の公演では場所が「サンタ・フェ」に変えられた<えっ!?)はミラノでは丸々カットされました。
さて当ダイアリーではこれまで、このシーンのことしか話題にしていませんでしたが、レトロなテレビを模した舞台装置、マリリン・モンローを彷彿とさせるクネゴンデの衣装、舞台背後にズラリと並ぶKKK団的な方々といったロバート・カーセンの「1950年代アメーリカン」な演出は現地で話題となりましたし、オリジナルには無いヴォルテール役に映画俳優のランベール・ウィルソン、オールドレディ役に「あの」キム・クリスウェルを配したキャスト陣も興味深いところであります。
スカラ座のプレミエは幕が下りたあと拍手が10分間続き、イタリアの一般誌もこぞって高評価だそうです。中身の是非はともかく、上演して良かったんじゃないでしょうか<スカラ座総裁様。
(参考)
PlaybillArts. Controversial Staging of Candide, Canceled and Reinstated by La Scala, Opens in Milan. (June 21, 2007)
(※)スカラ座との一騒動も記憶に新しいブログ「Opera Chic」の管理人様が、ミラノでのプレミエにかけつけ、ブログで詳細なレビューをupしています。彼はカーセンの演出に反戦のメッセージが残されていることは評価しつつも、刺激的な演出によって「バーンスタイン的」な要素が陰に追いやられたことを問題視しています。
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