【演奏会レポ】ダニエル・ミュラー=ショット@西宮北口
いやもう、フルコースのディナーを堪能した気分でしたよ。「前菜」のベートーヴェンのソナタのあと、「1皿目」のシューマン「ソナタイ短調 作品105」(ヴァイオリンソナタ第1番の編曲版)、そして「2皿目」のプロコフィエフと、次々と見事なチェロの腕前を披露してくれるので、聞いているこちらは楽しくてしょうがなかったです。「デザート」といえるアンコールでも、彼の華やかなテクニック、そして表現力の「幅」をこれでもかと見せつけられて、けっこうお腹に来ました(やや違)。
破綻の無い確かな技巧のシューマンも良かったですが、この日はそれ以上にプロコフィエフ「チェロ・ソナタ」が素晴らしかったです。この曲は楽想が局面局面で目まぐるしく変わるせいか、どこかバタバタした印象をもってしまうのですが、彼は数ある難所を鮮やかに(そして余裕をもって)クリアしていくことで、おのずと曲の持つ「ストーリー性」というか、「流れ」といったものが、スムーズに表現されていたと思います。
そしてリサイタルでは、ミュラー=ショット自身も曲によってチェロの「音」を変えていたのが印象的でした。ベートーヴェンのときはやや軽め、そしてプロコフィエフでは低重心の朗々としたサウンドを響かせていました。そのあたりも含めて、彼のオールラウンドなチェリストとしての能力が遺憾なく発揮されたコンサートだったと思います。
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(Program Note)
1.Beethoven: Cello Sonata No.3 in A major Op.69
2.Schumann/Müller-Schott: Sonata in A minor Op.105
3.Prokofiev: Cello Sonata in C major Op.119
(Encore)
4.Ravel: Piece en orme de Habanera
5.Schumann: Adagio & Allegro Op.70 - Allegro
6.Schumann: Adagio & Allegro Op.70 - Adagio
Daniel Müller-Schott(Cello)
Robert Kulek(Piano)
Venue: Hyogo Performing Arts Center Grand Hall
Date: June 17, 2007
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