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2007.06.28

ドゥダメルってやっぱり…

Dudamel_01 先日私はウェブラジオで、ベネズエラ出身の指揮者グスターボ・ドゥダメル(写真上)がチェコ・フィルを振ったライブ演奏を聴いていました。そこでのチェコ・フィルは、明らかにいつものチェコ・フィルとは違いました。普段ならボヘミアの美しい森を散策しているような気分にさせてくれる筈が、この日ばかりはまるでジャングルの山火事のように燃え盛っていました。それほどメインで演奏されたプロコフィエフ「交響曲第5番」の印象は鮮烈なもので、まさに(ハイドンじゃないけど)「シュトゥルム・ウント・ドラング」。熱気とスピード感。そしてアンサンブルの一体感と緊張感の持続。まさに手に汗にぎるような演奏でした。
 それにしてもドゥダメルが世界有数の名門オケをこれほどまで自在に操縦するとは…。なにしろチェコ・フィルは「自分たちのサウンド」に強いこだわりを持ち、実際それを長年に渡り守ってきた、気位の高いオーケストラです。だからこそ今回のような事態は、私は予測できませんでしたし、今でもそれが信じられないほどです。ドゥダメルがチェコ・フィルのサウンドを一変させたことの良し悪しは別として、彼が大人数の(しかも一筋縄ではいかない)オケを従わせるだけの統率力を持っていることは、どうやら認めざるを得ないようです。

Benedict_xiv_dudamel02_1 ラトルやハーディングを擁する音楽事務所が「次の矢」として放ったドゥダメルのことを、私はどちらかといえば「醒めた目」で見ていました。しかし今回のチェコ・フィルとの演奏を聴くにつれ「彼が『百年に一人の逸材』といわれるのも宜なるかな」と思い始めたりしています。もっとも(彼に完全に心を許したわけではないにしても)彼に対する私の印象が、最近良い方向へと変化していたのは事実です。デビュー盤のベートーヴェンは「じゃじゃ馬」っぽく聞こえて正直感心しませんでしたが(苦笑)、先日リリースされたローマ法王の御前コンサート(写真下:→HMV.co.jp)での「新世界」は実に統制が取れた演奏でしたし、第2楽章でのリリカルな表現にも見るべきものがありました。
 何より今のドゥダメルには「勢い」があります。この「飛ぶ鳥を落とす」ような感覚といえば、80年代前半シノーポリが登場した時がそうでしたし、それ以前なら若かりし頃のメータもこんな感じだったのではないでしょうか。しかし(ドゥダメルに夢中の方には本当に申し訳ないのですが)この「勢い」がいつまでも続くとは思えません。それはシノーポリとメータの「その後」を見れば、何となく想像できます。でも、それだからこそなお一層、その「勢い」がいつまで続くのかが気になるのです。彼の演奏はこれからも注目していこうと思います。

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