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2007.06.25

指揮マネ病に悩む方へ

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 60歳代男性。少年時代からの癖が、ただいまピンチになり困り果てています。

 若いころに指揮者小沢征爾さんのライブを見て、躍動感あふれる姿が脳裏に焼き付きました。以来数十年、音楽を耳にすると、条件反射的に体を揺すりくねらせ、タクトを振るまねごとをします。

 恥ずかしいので人前ではしませんが、一人暮らしのアパートの部屋にいるとパフォーマンスに陶酔している自分がいます。音量には気をつけ、跳んだりはねたりはしないので、世間様には迷惑をかけていないと思い込んでいました。

 先日、階下の新住人が来て「天井がきしみ電灯がゆれる。何をしている」とすごまれました。とにかく謝り、事なきを得ましたが、落ち込んでいます。そういえば、階下は人の入れ替わりが多いようです。

 今は我慢していますが、ラジオから音楽が流れると体がむずむずしてきます。私の“宿痾(しゅくあ)(持病)”である「指揮マネ病」とどう向き合えばいいのでしょうか。(埼玉・R男)

読売新聞 人生案内-心身 2007年6月12日付

 こんな質問が大新聞に掲載されていたことを、今日「庭は夏の日ざかり」で知りました。新聞に投書するくらいですから、きっと「R男」さんは真剣に悩んでおられるのでしょう。同好の士として看過できませんので、お節介とは思いつつも「R男」さんに私からもお返事差し上げたいと思います。

(回答)

 うむ。「宿痾指揮マネ病」ですか。意外に思われるかもしれませんが、これは珍しい悩みではありません。クラシック音楽が好きな方なら誰でも罹る、ごくありふれた病気ですから。むしろ罹らないほうが珍しいかもしれません。マニアの自宅を訪れるとベートーヴェンの胸像、崇拝する指揮者のポスター、アーティストのサイン色紙などと並んで、指揮棒が置いてあるものです。そしてシンフォニーがスピーカーから悠然と鳴り響けば、自然と指揮棒に手が伸びて…。気分はもうマエストロ!

「クラヲタならアタリマエ~」ですよ。
(↑アルシンド風イントネーション推奨

 でもオザワに感化されたんですよね。だったら指揮しながら「ウウ~~ンッ!」と唸ってるんでしょうね。お宅の防音対策は大丈夫ですか?個人的にはむしろそっちの方が心配になりましたが、どうやら今回のトラブルの原因は「振動」だったようですね。ともあれ今回は謝罪をすることで納得してもらい、本当に良かったですね。ただ貴方がもし、

バーンスタインの真似をしてたらどうなってたか…。

オザワでまだ良かった、としか言いようがありません。

 動きが比較的おとなしい指揮者のモノマネをする、というのもテかもしれません。でもソレってやってて面白いでしょうか?音楽に合わせて激しく右手、左手、そして全身を動かすることで自然と気分も高揚し、カタルシスを得る…。それこそが「指揮マネ」の醍醐味だと思うので。と言いますか、どうせだったら派手な動きの指揮者のモノマネをしてみたいですよね!ところで申し遅れましたが、貴方は指揮マネしている間に、周囲に置いてある家具などに手をぶつけたことありませんでしたか?私はあります。あれは高校生の頃だったでしょうか。曲は何か忘れましたが、ともかく曲を聴いているうちに指揮マネし始めた私が無意識に両手を「ブンッ!」と高く振り上げたその時、左手の甲を蛍光灯の笠に「ガツッ!」とぶつけてしまいまして…。

リアルで「血がほとばしる」熱い指揮をしちゃいましたよ。

今でもその時の傷跡が、左手にはハッキリと残っています。その傷をふと目にすると「あのときは若かったなぁ」と感慨に耽ったりしています。

 つい口が滑って実体験をカミングアウトしてしまいました(笑)。ここでは貴方の質問に具体的な答えを出さないといけないのですね。そうですねぇ、「座ったまま」で指揮マネしてはどうでしょうか。その方が立ったままよりも振動が階下に伝わりにくいのではないでしょうか。座っての指揮といえば、晩年のベームがそうでしたし、ヨッフムも最後の来日公演では座ってましたね。今度そのコンサートの模様を収録したDVDが発売されますので、ヨッフムの「座ったまま」の指揮ぶりをぜひとも参考になさって下さい。

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Jochum_bruckner_7

●ブルックナー:交響曲第7番
オイゲン・ヨッフム指揮コンセルトヘボウ管
(Altus, ALTDVD008; →HMV.co.jp

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