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2007.06.08

「男の隠れ家」最新号を読む

Opera_classic  「エスクァイア」でクラシック音楽特集が組まれてから、一般誌でクラシックを取り上げる機会が増えたような気がしますが、今度は「男の隠れ家」なる雑誌がクラシック音楽を取り上げてくれました(→amazon.co.jp)。私はこの雑誌の存在を今回初めて知ったのですが、普段は旅行や文芸ものなど、「男の趣味」なら何でも記事にする雑誌みたいです。
 さてこの「男の隠れ家」ですが、サブタイトルには「大人のためのクラシック」とあります。「わざわざ『大人のための』と付けた意味はどこにあるのかな」と思って中身を読み進めてみると、意外にも(と言っては失礼ですが)浮ついたところのない堅実な内容で、「確かに『大人のための』ガイドだなぁ」と思いました。まず「のだめ」の「の」の字も無いところが「大人」ですし、ライター陣も三枝成彰、青島広志、堀内修、吉井亜彦、諸石幸生、吉松隆、渡辺和彦、そして宇野功芳(以上敬称略)と実に豪華な布陣で、このあたりも「大人」の匂いがぷんぷんします。

 ただ個人的には「この豪華布陣なら、もっとやれた筈だ」という「消化不良」も感じさせるところもあり、そこが残念でもあります。例えば宇野氏が在りし日のウィーン・フィルについて触れた一項があるのですけど(pp.96-97)、あれを読んで「よし!今からヒストリカルのCDを買いに行こう!」と思う読者がどれだけいるのかなぁ、と余計な心配をしてしまうほど、文章のインパクトは「弱い」と感じました。もっと具体的に言うと、やや文章が散漫というか、フォーカスが定まらないところがあるなぁ、と思ったのです。アレだったら宇野氏にブルーノ・ワルターとの心温まる文通のエピソード(当ダイアリーの読者の皆さんならご存知ですよね)を語らせた方が、ビギナーの方々に「訴える」内容に仕上がったと思うのですが。
 一方ポジティヴな面では、「私が選ぶ音の良い全国コンサートホール」という記事が面白かったです。ここでは田部京子、宇野功芳、堀内修、木之下晃の4名が「マイ・フェイバリット」なホールの名前を挙げているのですが、各氏の好みがけっこうバラけていて、そこら辺りが面白く感じられました。
 4氏が高く評価したホールを列挙しますと…;

<田部京子氏>
いずみホール
浜離宮朝日ホール
紀尾井ホール
東京オペラシティコンサートホール
札幌コンサートホール Kitara
(以上順不同)

<宇野功芳氏>
第一位:府中の森芸術劇場
第二位:川口総合文化センター リリア音楽ホール
第三位:いずみホール

<堀内修氏>
第一位:東京文化会館
第二位:サントリーホール
第三位:東京オペラシティコンサートホール
第四位:紀尾井ホール
第五位:横浜みなとみらいホール

<木之下晃氏>
第一位:札幌コンサートホール Kitara
第二位:東京文化会館
第三位:ザ・シンフォニーホール
第四位:津田ホール

 このリストを見ると、「音楽の価値観には『絶対』というのは無いんだな」と思います。以前から「クラシック音楽の愛好家は決して『一枚岩』ではなくて、各人の嗜好には物凄く差があるな」と感じていたのですが、今回このリストを見て、改めてそのことを強く感じます。それから私が高く評価している「すみだトリフォニーホール」と「びわこホール」の名前を誰も挙げなかったのが気になりますが、それも却って興味深いところではあります。

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