弘法も筆の誤り
コンサートの最中に、何らかのアクシデントで演奏が突然中断してしまい曲を最初から演奏し直す、ということが時としてあります。私も先日「ラ・フォル・ジュルネ」音楽祭のとき、ソリストのヴァイオリンの糸巻き(ペグ)が緩んでしまい演奏中断、という現場を目撃したばかりです。
さて今月24日、クリーブランド管弦楽団の定期演奏会の観客は、かなりレアで、貴重な体験をしました。同じ曲目で演奏が二度も立往生してしまい、二度演奏をやり直したからです。
この日の一曲目、アルバン・ベルクの「室内協奏曲」の演奏中に事件は起こりました。ソリストの内田光子(写真左)を初めとする15人の演奏が、突然中断したのです。そのとき指揮者のフランツ・ウェルザー=メスト(同右)は(自責の念に駆られたのか)とっさに「ごめん!」と叫んだと言います。そして「室内協奏曲」の演奏は最初からやり直しとなりましたが、(恐ろしいことに)彼らはもう一度ミスを犯してしまったのです。二度目の演奏中断のあと、メスト氏は指揮台の上から「これで、この作品の難しさがご理解頂けたでしょう」とアメリカン・ジョークを飛ばし、場を和ませました。
「弘法も筆の誤り」を地でいくニュースですが、楽団の公式サイトによると26日と27日にも、24日と全く同じプログラム(「室内協奏曲」と「ブラ2」)を演奏しています。昨日は大丈夫だったのでしょうか。そして今日はバッチリ合わせられるのでしょうか。
(参考)
Beacon Journal. Conductor halts musicians twice as piece falls apart. (May 25, 2007)
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