【演奏会レポ】カルミニョーラ@西宮北口
(曲目)
1.モーツァルト:ヴァイオリンソナタ第36番変ホ長調 K.380
2.ベートーヴェン:同第4番イ短調 Op.23
3.モーツァルト:同第28番ホ短調 K.304
4.ベートーヴェン:同第5番へ長調 Op.24「春」
(以下アンコール)
5.モーツァルト:同変ロ長調 K.378から ロンド
6.ベートーヴェン:同第8番ト長調から 第3楽章
7.モーツァルト:同24番ハ長調 K.296から 第2楽章
8.同:同24番ハ長調 K.296から 第1楽章
(演奏)
ジュリアーノ・カルミニョーラ(ヴァイオリン)矢野泰世(フォルテピアノ)
(2007.1.28 兵庫県立芸術文化センター・小ホール)
実は前半は正直眠くて眠くて…。仕事疲れもまだ残ってたし、自宅から会場までの長時間ドライブの影響もあったでしょう。でも私の眠気を吹き飛ばすほどのインパクトが前半の演奏に無かったのも確かです。音はすれども響かないヴァイオリン演奏を聞きながら「これがあのカルミニョーラなのか!?」と思いながらコックリ。「ホントなのか、どうなんだ!?」と自問自答しながらコックリ。「それにしてもカルミニョーラって誰かに顔が似てるな…、でも誰だろう…、名前が浮かばない…」といけない雑念が浮かんではコックリ、といった前半でした。
でも休憩後の私はコックリさんでは無くなりました(笑)。それはカルミニョーラが本来の調子を取り戻したからです。モーツァルトの「ソナタホ短調」(K.304)では、弦の響きに「艶」が感じられるようになり、シンプルな旋律の持つ純粋な美しさを引き出していましたし、「スプリング・ソナタ」では、力みかえったところの無いスムーズでナチュラルなヴァイオリン・サウンドが好印象でした。そして透き通った響きを持つフォルテピアノとヴァイオリンとが見事に溶け合い、一体感のあるアンサンブルを生み出していました。
プログラムの後半でエンジンが掛かり始めたカルミニョーラですが、ここからさらにフルスロットルで飛ばします。興に乗った彼はアンコールを4曲も披露したのですが、1曲ごとに演奏はどんどんキレを増し、そして語り口もより絶妙になっていくのが、本当に手に取るようにわかりました。彼が次々と華麗な技を繰り出す様は、まるで勢いづいて手が付けられなくなったストライカーのようで、まさに圧巻でした。
終演後サインを待つ間「何語で話そうか」「何を話そうか」と考えながらも、結局大した事も思いつかず「Bellissimo! Grazie!」と声を掛けるのがやっとのバカな日本人に対し、カルミニョーラはサッと右手を差し出してくれました。そのときの満面の笑みを見て私の頭で「ハッ」と何かが閃き、コンサート前半に浮かんだ問題の、その解答が出ました。
「そうだ!ロベルト・バッジョだ!」
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(Concert Program)
1.Mozart:Sonata in E flat major K.380
2.Beethoven:Sonata No.4 in A minor Op.23
3.Mozart:Sonata in E minor K.304
4.Beethoven:Sonata No.5 in F major Op.24 "Spring"
(Encore)
5.Mozart:Sonata in K.378 - Rondo
6.Beethoven:Sonata No.8 in G major Op.30-3 - Allegro vivace
7.Mozart:Sonata in C major K.296 - Andante sostenuto
8.Mozart:Sonata in C major K.296 - Allegro vivace
Giuliano Carmignola(Violin)Yasuyo Yano(Fortepiano)
Venue:Hyogo Performing Arts Center Recital Hall
Date:January 28, 2007
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