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2007.02.27

Ich habe genug

 「ジョイス・ハットー事件」に新展開です。ハットーの夫で、彼女の録音を世に送り出したWilliam Barrington-Coupe氏が、「アノ」BISレーベルのロベルト・フォン・バール氏宛てに書簡を送っていたことが明らかになりました(参照)。この手紙の中でBarrington-Coupe氏は、「ジョイス・ハットー」名義のCDに彼女以外の演奏家の録音が用いられていることを認めています。

Tristan_furtwangler この手紙によると、当初Barrington-Coupe氏はカセットテープに録り溜めておいたハットーの演奏のCD化を試みたそうです。しかしそれが技術的に困難と判断した彼は新たに録音し直すことにします。しかし既に病魔に冒されていた彼女のピアノ演奏は、そのまま世に送り出すには問題が多すぎました。そこでBarrington-Coupe氏は先例に倣うことにしました。彼はフルトヴェングラーがEMIに録音した「トリスタンとイゾルデ」(全曲盤)でフラグスタートの声をシュワルツコップの歌唱で置き換えたことを思い出し、妻の演奏の「キズ」を彼女のスタイルに近いピアニストの録音で修正し、マスターテープを完成させました。やがてBarrington-Coupe氏は録音を引き伸ばしたりすることで「剽窃」をごまかす「テクニック」も身に着け、彼のプレイヴェート・レーベル「Concert Artist/Fidelio Recordings」を通じて100以上ものアルバムを世に送り出していきます。
 Barrington-Coupe氏は自らの行為について「深く反省している」と手紙に記しているようです。彼の弁明をどこまで信用していいものか正直わかりませんが、個人的には彼自身がハットー名義の録音を「100%ハットーのものではない」と認めた時点で、今回の件に関してはもう十分です。

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Joyce Hatto (September 5, 1928 – June 30, 2006)

(参考)Daily Mail. Revenge of the fraudster pianist. (February 24, 2007)

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Comments

roi ubu様こんにちは。情報ありがとうございます。
>ショップではハットーのCDの販売停止
そうでしたか。この処置はやむを得ないところですね。ところで返品についてですが、Prestoのコメントだと「If you have purchased Joyce Hatto recordings from us over the past few months you are welcome to return them...」とあります。これは「最近数ヶ月のあいだに購入したものに限り返品に応じる」という意味でしょうか。
もっとも私は、手許にあるゴドフスキーのCDを「記念品」として取っておくつもりですが。

Posted by: おかか1968 | 2007.03.20 at 13:30

Presto Classicalを覗いてみたら、こんな記事がありました。
http://www.prestoclassical.co.uk/concertartist.php
情報そのものに目新しいものはありませんが、同ショップではハットーのCDの販売停止は勿論、購入者への返金も行うとのことです。

Posted by: roi ubu | 2007.03.19 at 22:28

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