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2007.01.22

昨日の「トップランナー」はホントに面白かった

 小菅優さんが登場した昨日のNHK教育「トップランナー」ですが、50分弱という短い時間帯であったにもかかわらず、インタビューの端々から彼女のパーソナリティがにじみ出ていて、実に興味深い内容でした。
 特に感心したのは、彼女の作品に対する理解力の「的確さ」です。彼女いわく、モーツァルトは「プレイボーイ」だけど、作品の中に「天才の孤独を感じる」作曲家、一方ベートーヴェンは「世界を変えたいと思っている人」「『Nein』(ドイツ語で「ノー」)といえる人」「こだわりがすごくある人」だといいます。23歳にしてこの深い洞察力!恐れいりました…。

 それから番組内ではスタジオで小品を3曲演奏していました。リスト(「超絶技巧練習曲集」から第10番・ヘ短調)もショパン(夜想曲嬰ハ短調「遺作」)も良かったのですが、一番出来が良かったのはモーツァルト(「ピアノソナタハ長調(K330)」の第1楽章)です。最近の若手で、これほど堂々たるモーツァルト演奏をするピアニストは聴いたことがありません。なにより彼女の演奏にはだれかのモノマネではない、確信に満ちた表現が随所に感じられます。その代表的な例が、冒頭部(楽譜)での装飾音の処理の仕方です。

Mozart_k330_satz01

 普通「装飾音」として軽く処理される2小節目と4小節目の「tr」(トリル)を小菅さんは他の楽音同様、一音づつ明瞭に、そしてボリュームある音量で演奏します。ここで一瞬「えっ!」と思うのですが、冒頭の4小節の各音を分け隔てなく強い「f」(フォルテ)で演奏することによって、5小節目に現われる「p」(ピアノ)がものすごく生きてきます。さらには5小節目以降の「p」と「f」のコントラストが鮮やかとなり、音楽がより立体的に感じ取れるようになるのです。この曲ではヘブラー(※1)もグルダ(※2)も、こんな方法を採っていません。もっとも「使ってる楽譜が違うんじゃないの?」と言われてしまうとそれまでですが(苦笑)、でも小菅さんの解釈が2人の巨匠に負けない、実に説得力のある音楽に感じられたのは確かです。そういえば「音楽の友」最新号(2007年2月号)で渡辺和彦氏が彼女のモーツァルト演奏を激賞していましたね。

(※1)Philips. 456 132-2. Disc 3/Track 4
(※2)Deutsche Grammophon 477 613-0 Disc 1/Track 1

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