あのイギリスの作曲家が同性結婚でトラブル
イギリスを代表する作曲家で「MASTER OF THE QUEEN'S MUSIC」の立場にあるサー・ピーター・マックスウェル・デイヴィス(72)がパートナーの男性と結婚できず困っている、とイギリスの新聞メディアが報じています。
37年前からスコットランド北東沖、オークニー諸島の一つであるサンデー島に居を構えるサー・ピーターは、6年間連れ添ったパートナーのコリン・パーキンソン氏(52)と結婚式を挙げることにしました。イギリスでは2004年に制定されたシビル・パートナーシップ法により、同性結婚が認められています。同法成立後にド派手な結婚式を挙げたサー・エルトン・ジョンを意識したかどうかは定かではありませんが、「女王の作曲家」もなかなか大掛かりな結婚式の準備を進めていました。計画ではサー・ピーターとパートナーは地元のミニチュア鉄道「Sanday Light Railway」に乗って挙式会場に現れる予定でした。彼はそのときのBGMとして付随音楽「Sanday Railway」をわざわざ書き下ろして用意していました。そして賑々しく登場した二人はティールームへと移動し、ドミトリ・アシュケナージ(クラリネット奏者)やキャスリン・ティッケル(スモール・パイプ&フィドル奏者)ら50人の友人らの前で挙式を行ったあと、パブで地元住民を交えてパーティを行うことにしていました。
さてこの挙式を行うにあたり、サンデー島の結婚登記官でミニチュア鉄道の管理人でもあるCharlie Ridley氏がオークニー諸島の自治体に問い合わせたところ、自治体からは「同性結婚の場合、サンデー島では挙式を挙げることが出来ない」という返事が返ってきました。「オークニー諸島では、メーンランド島・カークウォール市の戸籍登記官だけが同性婚の結婚証明書を発行することが出来る」というのがその理由です。当初の計画どおりに挙式を行いたいサー・ピーターは困惑を隠しきれません。彼はインタビューで「この件については法律の専門家に相談しています。私自身は地元の登記官でも結婚証明書を発行することができると考えています」「全てのイギリス国民は居住地で結婚できるのに、私だけがそれが叶わないというわけです。シビル・パートナーシップ法ができて、ついに私たちにも結婚するチャンスが訪れた、そしてささやかな宴を催すことが出来ると思っていたのですが」と述べています。一方オークニー諸島の自治体側は「現在の法律ではサンデー島の登記官は同性婚を扱うことが出来ないことになっている」という立場を崩していません。
さてイギリスで法律上認められている結婚式は以下の3つだそうです。
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①教会での挙式
②各自治体にある登記所で結婚登記官の立会いの下に行う挙式
③予め戸籍登記所の許可を受けた施設(ホテル、レストラン、集会所など。屋外は不可)で行う挙式
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役人の立会いが必要だったり、挙式会場に自治体の許可が必要だったりと、イギリスでの結婚式はただでさえ面倒なことが多そうですね。なにはともあれ役人が「結婚してヨシ」と言ってくれなければサー・ピーターは結婚できない状況なわけで、彼は所を替えてロンドンで式を挙げることも検討しているそうです。さらにはRidley氏には自治体からミニチュア鉄道の許諾費(年間5000ポンド=約114万円)を請求されてしまい、その結果財政的に苦しい「Sanday Light Railway」が廃業に追い込まれるという「オマケ」も付き、サー・ピーターと周囲の人々にとっては穏やかでない2007年の始まりとなりました。
(関連エントリ)
●「白鳥をテリーヌにする男」● (当ダイアリー;2005年3月21日付の記事)
↑道端で死んていた白鳥を拾い上げ、その肉をテリーヌにして頂こうとしたサー・ピーターだったが…。詳しくは記事をご覧頂くとして(笑)、その後も彼は作曲活動を続け、最近も「ナクソス四重奏曲第9番」などを発表していました。
(参考)
Scotsman. Island branded 'anti-gay' in row over ban on composer's civil partnership.(January 6, 2007)
Times Online. Gay marriage of a royal master hits the buffers.(January 6, 2007)
Wikipedia - 同性結婚
"anglo-bites" **イギリスつまみ食い** - イギリスで結婚をする
Sanday Light Railway Company Official Site
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