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2006.12.07

【演奏会レポ】堀米、堤、小山トリオ

「小山実稚恵 ピアノ・トリオ 夢の響演」
(曲目)
1.ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲第7番変ロ長調 Op.97「大公」
2.チャイコフスキー:同イ短調 Op.50「偉大なる芸術家の思い出に」
(演奏)
堀米ゆず子(ヴァイオリン)堤剛(チェロ)小山実稚恵(ピアノ)
(2006.12.3 彩の国さいたま芸術劇場 音楽ホール)

 この日は室内楽の醍醐味を十二分に堪能いたしました。「室内楽の醍醐味」といっても大きく分けて二種類あると思うのですけど、一つは奏者全員が完全に一つの意思を持って演奏することによって得られる快楽、そしてもう一つは各奏者の個性を存分に味わう快楽。この日は2つの「快楽」を同時に味わうことができました。

 前者の「アンサンブルの快楽」はプログラム前半の「大公トリオ」で特に顕著でした。三人の日本を代表する名手たちは完全に一つの方向を向いて堅実な音楽を生み出していました。一方長いソロのプレーが多いチャイコフスキーでは、一転して各人の個性がより前面に出てきて、それが表現をより劇的なものにしていました。小山さんのピアノはソロ同様実にダイナミックでしたし、堤さんの嫌味なところの無い「音楽的」なチェロ演奏は以前聴いたときとそのままでした。堀米さんのヴァイオリンを生で聴くのは初めてだったのですが、この日は表現力の高さに目を見張りました。特に第1楽章の再現部に入る箇所や、第2楽章に出てくる弱音部などで、堀米さんが寒々とした音色で旋律を奏でると、その場の空気まで凍りついたような、そんな気分にさせられました。
 そんな三人による集中度の高い演奏を聞いていると、曲のしめくくりに突如として(しかも、いかにもチャイコフスキー的な仰々しさで)現れる冒頭のテーマが全然唐突に感じられないから不思議です。ほんとにこの曲の第2楽章は「曲者」です。明るい楽想が続くうちにだんだん盛り上がり、シューマン的な輝かしさのうちに終わるのかと思ったら突如暗転、みたいな感じで冒頭のテーマがやってくるのですから。その「作りすぎ」な展開が少々鼻についてしまうのですけど、三人の演奏家が本当にチャイコフスキーの音楽に没入していたからこそ、この「仕掛け」が田舎芝居に終わらず、真の「悲劇」として胸に直接響いて来たのだと思います。

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●Program Note●

Michie Koyama Piano Trio
Venue:Saitama Art Theater Music Hall
Date:December 3. 2006

1.Beethoven:Piano Trio No.7 in B flat major Op.97
2.Tchaikovsky:Piano Trio No.1 in A minor Op.50

Yuzuko Horigome(Violin)Tsuyoshi Tsutsumi(Cello)Michie Koyama(Piano)

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