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2006.12.12

【不定期連載】全く役に立たないロシアピアニズム・ガイド④ オレグ・マイセンベルク

Maisenberg 本当に忘れた頃にやってくる、ロシア出身のピアニストを紹介する、「役に立たない」シリーズです。今回はオレグ・マイセンベルク(写真上)です。
 私がマイセンベルクをソロピアニストとして強く意識するようになったのは、一昔前にラジオから流れる彼のシューベルト「ピアノソナタ第21番」の演奏を聴いた時でした。ゆったりとした音の流れの中に、どの楽音もあいまいにすることなく確実に、しかも各音を「音」としてではなく、「音楽」として意味あるものに仕上げて描出する、その技術力の高さに驚かされました。

Maisenberg_liszt_lp  そのちょっと後くらいに、大阪の某中古店で「何かエエのあらへんかな」とゴソゴソ棚を漁ってたところ、偶然彼のリスト「ピアノソナタ」のLP(写真中:※1)を見つけました。まだシューベルトの演奏のイメージが頭に残っていたので「どれどれ」と期待を込めてレジでお金を払い、針を落としてみたところ、これまた期待を裏切らない内容でした。リストのソナタは技巧的にも極めて高いものが要求される、まさにエベレスト級の作品ですが、技術的な難所を軽くクリアしつつ、「ソナタ」としての音楽的秩序もしっかりと具現化した彼の演奏ぶりは見事なものでした。

Maisenberg_wien_live01 また丁度その時期、彼のウィーンでのライブ録音集もCD化(写真下:※2)されました。英「グラモフォン」誌で「この演奏はおすすめ」みたいなことが書かれていたのを読んだ私は迷うことなく購入しました。この5枚組セットに収録された演奏も実に素晴らしいものです。この原稿を書くにあたり「改めて聴きなおしてみよう」ということで、ネットサーフィンのBGMとしてショパンの「幻想曲」をかけてみたら、その余りのシリアスさに吃驚し、思わずキーボード入力する手を止めて聴き入ってしまいました。
 楽譜に込められた音符を表現することにかけて、マイセンベルクの右に出るものはいないかもしれません。ピアニストは2本の腕しか持っていないことは改めて説明するまでもありませんが、彼のピアノ演奏は多声的で、時として連弾を聴いているような印象すら与えます。彼は旋律や低音部に隠れて見落とされがちな中声部の表現に見るべきものがあり、その入念な表情付けによって音楽はよりポリフォニックで豊かなものになります。
 そしてマイセンベルクは、構築性の表現にも秀でたものがあります。特に古典派ソナタや、それに類したソナタ形式の作品でその傾向が顕著に現れます。これらの音楽での彼の表現は一層知的かつ緻密になり、それが交響曲のような重厚さと威厳をを生み出すのです。
(※1)Cat.#;Orfeo S 022821 A
(※2)Cat.#;Glissando 779 027-2

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Comments

J.D.さまこんにちは。
拙文に対して身に余るお言葉を頂き、誠にありがとうございます。あとはマイセンベルクの演奏がJ.D.様のお気に召せばよいのですが。
実は大フィル定期は平日公演ばかりなので、大阪までクルマで2時間半かかる片田舎に住む私は地団駄を踏むばかりです(笑)。感想のブログへのup、期待しております。

Posted by: おかか1968 | 2006.12.22 at 13:32

こんばんは。
ここで紹介されたマイセンベルクが来シーズンの大フィルの定期に登場しますので、
彼の紹介がてらこちらの記事にリンク貼らせてもらいました。おおきにです。
大フィル定期は4月20・21日の両日、指揮は大植英次で、ラフマニノフの3番です。
おかかさんの評価を見ると、俄然楽しみになってきますね。

Posted by: J.D. | 2006.12.21 at 23:33

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