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2006.12.12

アラーニャ スカラ座「アイーダ」上演中に自ら舞台を降板

Alagna_radames 既に「読売新聞」やブログ「オペラキャスト」でも報じていますが、無責任な第三者から見て実に面白いニュースなので、私も取り上げたいと思います。テノール歌手のロベルト・アラーニャ(写真)が今月10日、スカラ座06/07シーズンの最初の演目「アイーダ」の上演中、観客席から湧き上がったブーイングに逆上してしまい、そのまま舞台を下りてしまったそうです。まあ一流歌劇場では「万が一」に備えて代役がスタンバイしているもので、スカラ座もアントネッロ・パロンビをすぐさま代役として舞台に送りました。しかし衣装のスペアが急には用意できなかったため、(あろうことか)パロンビは黒のジーンズと黒のTシャツ姿で舞台に上がる羽目になりました。しかしいくら急の出来事とはいえ、絢爛豪華な衣装のキャスト陣と、めいいっぱいオシャレした観客で埋め尽くされたスカラ座でその格好は無いでしょう(苦笑)。「ヲイヲイあのラダメス、正装してないぞ!」という野次が飛んだかどうかは定かではありませんが(苦笑)。

Palombi_radames その後パロンビは幕間にスカラ座の用意した衣装に着替え、後半は左の写真のような「正しい」ラダメスのいでたちで舞台に上がることができました。というかこの衣装はどこから出したものでしょうか?以前のプロダクションのものを使いまわしたのでしょうか。まさかアラーニャのものをそのまま着たとは思えないのですが(大体体格が違うし)。
 さてスカラ座といえば1964年の「椿姫」公演でミレッラ・フレーニが野次に散々苦しめられたことでも知られていますが、この日「恥を知れ!」「ここはスカラ座だぞ!」といった叱責を受けたアラーニャ本人のコメントが上がっています(参照);

"The audience didn’t understand, that’s why I left. I’m displeased, embittered, stunned: I sang all over the world, but standing in front of tonight’s audience, I felt like I was in another world. True audiences — audiences with fire and blood — were not at La Scala tonight. I sang beautifully, I was bravissimo. Too bad for those who didn’t understand. I shall never come back to La Scala: This is not a theatre, it’s a Roman Arena.... I sing with heart, with my blood...."

 「この日の観客はスカラ座の観客じゃない」「この日の自分の歌唱は良かった。ブラビッシモだ」などと真っ向から反論しています。
 さてこのスキャンダルはすでに世界中を駆け巡っていて、イタリア人と思われる「職人さん」が今回の事件を揶揄した作品を作っています(参照)。題して「Panico Alla Scala」(「スカラ座のパニック」でいいんですか?)。

(12/13追記)詳細な情報を元に若干記事を修正いたしました。

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Comments

情報追加です。
結局スカラ座の「アイーダ」のラダメス役は、パロンビと、もう一人のテノール、ワルター・フラッカートが交互に歌うことになったそうです。
それからパロンビの衣装についてですが、なにやら現地からは面白い情報が伝わってきています。追ってブログにupする予定ですので、今しばらくお待ちください。

Posted by: おかか1968 | 2006.12.14 20:05

dognorah様こん○○は。
>自分の体型に合わせて作られたものを着用したと思われます
恐らくそうでしょうね。
それから例のニュース映像、私も見ました。
http://multimedia.repubblica.it/home/503086
http://www.youtube.com/watch?v=ghuuJTGNVqA
確かに黒の上下でしたね(カジュアルな服装ですけど)。それからパロンビが舞台袖から登場する、まさにその時のアムネリス役の表情といったら…。驚いたようにも見えますし、ホッと安堵したようにも見えるし、なんとも複雑な表情ですね。

Posted by: おかか1968 | 2006.12.14 11:26

るー様こんにちは。
>これからあとはバロンビがやるんでしょうかね
恐らくパロンビがずっとやることになるんでしょう。また話題になるでしょうから、今後の動向に注目しましょう。

Posted by: おかか1968 | 2006.12.14 11:21

こんにちは。今回の記事を書くにあたって、一部参考にさせていただきました~! あわせてTBも。

それにしても…今回指揮がリカルド・シャイーだったらしいんですが、大変だったろうなあ、と心中お察しします。
今回のアイーダ、全公演完売だそうですが、これからあとはバロンビがやるんでしょうかね、やはり。

Posted by: るー | 2006.12.14 10:05

追加ですが、衣装は最初からアンダースタディのために用意しておくのが普通で、彼は従って自分の体型に合わせて作られたものを着用したと思われます。

Posted by: dognorah | 2006.12.14 07:56

こちらのTVニュースでその場面を見ました。アリアの後、普通に拍手が起こったのですが少し間を置いて天井桟敷から強烈なブーが発せられ、床に横たわっていたアラーニャがこぶしを上げて退場。
代役の衣装はジーンズでもTシャツでもなくよれよれの黒い上下でした。着替える時間がなかったから当然ですね。

Posted by: dognorah | 2006.12.14 07:51

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【その後ちょっと追記しました。】 だんなさんへ。 昨日気にしてた記事、調べてみたよ。 まったくいい嫁だね、あたしゃ。(←この発言にブーイングじゃねえか?) 「アイーダ」公演中に主役歌手退場 観客のブーイングで(cnn.co.jp) ミラノ・スカラ座で7日から公演が始まったヴェルディのオペラ、「アイーダ」の舞台で10日、主役を演じていたフランス人テノール歌手、ロベルト・アラーニャ(43)が、観客�... [Read More]

Tracked on 2006.12.14 09:57

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