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2006.11.05

ラッパの付いた弦楽器 再び

Stroh_violin01  このタイトルを見て「ああ、大昔にレコーディングで使われてたシュトローヴァイオリン(写真上)の事ね」と思われた方も多いと思います。ご存知でない方のために改めてご説明いたしますと、「シュトローヴァイオリン」(または「ストローヴァイオリン」)は19世紀後半にシュトロー氏によって考案された楽器で、胴体の代わりにラッパが付いた独特の外観をしています。このラッパはより大きな音を出すためのもので、20世紀初頭のアコースティック録音期には「普通のヴァイオリンよりもより豊かな音が拾える」ということでレコーディングに好んで用いられました。当時ハイフェッツやイザイも録音のときにはシュトローヴァイオリンを弾いていましたが、やがて録音技術の発達に伴い表舞台からは姿を消してしまいました。しかしそんな「幻の楽器」が再び日の目を見る機会に恵まれた、と11月3日付の「ガーディアン」紙が報じています。

Stroh_violoncello01  今月3日、英国・ケンブリッジでシュトローヴァイオリン、そしてヴァイオリン同様ラッパが付いた「シュトローヴィオラ」と「シュトローチェロ」(写真下)を加えた「シュトロー弦楽四重奏」(Stroh String Quartet)のコンサートが開かれました(参照)。この演奏会のために作品を提供したAleks Kolkowski氏は、今回の「復活劇」の仕掛け人でもあります。彼は1998年にブダペストでシュトローヴァイオリンと初めて出会います。その「ヴァイオリンとサックスが合わさったような」奇妙なスタイルに惹かれた彼は即決で楽器を購入しました。その後もネットオークションなどを通じてシュトローヴィオラやシュトローチェロまでも手に入れた彼は、世界にたった一つの「ラッパ付き弦楽四重奏団」を実現させました。「良質の蓄音機時代の録音を思い出す」というこの楽器のサウンドにKolkowski氏はぞっこん惚れ込んでる様子です。
 ところで上記「ガーディアン」紙の記事によると、今でもシュトローヴァイオリンが立派に活躍している地域が二つあるそうです。一つはトランシルヴァニア地方。そしてもう一つの国は(意外なことに)ミャンマー。この国では現在もシュトローヴァイオリンが製作されているらしいです。この楽器が欲しい!という方は是非ミャンマーまで足を運んでみては如何でしょうか(笑)。ツアーもありますよ(笑)。

(追記)
Kagel_1898 この記事をupしたあとで、アルゼンチン生まれの作曲家マウリシオ・カーゲルが1973年に作曲した「1898」というタイトルの作品で、シュトローヴァイオリンが用いられていることを知りました。この作品はドイツ・グラモフォン(DG)の創立75周年の委嘱作品ということで、当然レコーディングもDGによって行われていて、現在はCDで聴くことができます。ただ録音当時はシュトローヴァイオリンがなかなか見つからず、やむなく新たにヴァイオリンにラッパを取り付けたものを作製してそれをレコーディングに用いたということです(参照記事)。このジャケ写にあるヴァイオリンがその楽器でしょうか。でもこれは胴体が原型をとどめているので、厳密には「シュトローヴァイオリン」とは言えないような気がします。
 それからこれもググって判ったことなのですが、名古屋を中心に活躍されているヴァイオリン奏者の黒田かなえさんが、シュトローヴァイオリンをライブで盛んに用いているようです。彼女のヴァイオリン演奏の模様はこのブログで見ることが出来ます。

(関連記事)
Wikipedia - Stroh Violin
まるまがじん-我侭楽器学 「ストロー・ヴァイオリン」

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