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2006.11.23

タイ暫定政権が「バンコク・オペラ」の上演内容修正を要求

Bangkok_opera_02 モーツァルトやヴェルディ、そして「ニーベルングの指輪」などの名作オペラの数々を大胆にタイ風にアレンジして上演するというユニークな趣向が話題の(というか「人力車に乗った3人の童」で当ダイアリーの読者にお馴染みの:笑)「バンコク・オペラ」ですが、この自由な気風の歌劇場にも今年9月に起ったタイのクーデターの影が忍び寄っています。つい先日、暫定政権当局者が「バンコク・オペラ」の座付作曲家であるソムトウ・スチャリトクル(53)の新作オペラ「Ayodhya」の上演内容を修正するよう要請していたことが明らかになりました。

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2006.11.20

【レビュー】ハチャトゥリアンのショスタコーヴィチ

Kchachaturian_dds01_1

(曲目)
1.ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第1番Op.77(Op.99)
2.同:同第2番Op.129
(演奏)
セルゲイ・ハチャトゥリアン(ヴァイオリン)クルト・マズア指揮フランス国立管
(2006年7月収録)

 アルメニア出身の俊英、セルゲイ・ハチャトゥリアンによるショスタコーヴィチの協奏曲録音です(→@TOWER.JPHMV.co.jpamazon.fr)。私がこのCDを聴く前に気になっていた点が2つありました。一つはハチャトゥリアンがライブで見せる「燃焼度の高さ」を商業録音でも示すことができるか。もう一つは共演する指揮者のクオリティです。私はハチャトゥリアンの「ヴァイオリン協奏曲第1番」を二度ウェブラジオで聴きましたが、そのときの指揮者たち(ワシリー・シナイスキー&エリアフ・インバル)はソリストに比肩する好演を聞かせていました。このCDでのパートナーはクルト・マズアです。知名度では前者二人に勝りますが、この録音ではどうでしょうか…。

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2006.11.19

【演奏会レポ】アーノンクールの「メサイア」

(演奏)
ユリア・グライダー(ソプラノ)
ベルナルダ・フィンク(アルト)
ヴェルナー・ギューラー(テノール)
ルーベン・ドローレ(バス=バリトン)
ニコラウス・アーノンクール指揮ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス
アーノルド・シェーンベルク合唱団

(2006.11.18 京都コンサートホール・大ホール)

 3時間の長丁場だったので、後半になるとお尻の辺りが少し痛くなりましたが(笑)、「生アーノンクール」、良かったです。

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2006.11.16

今日は趣向を変えて

 私が最近車の中で好んで聴く音盤を紹介します。ご覧の通り、クラシック音楽以外のジャンルのものばかりですが、クラシックはDレンジが広すぎて車中では弱音が聞こえないので、自ずとクラシック以外の洋楽を聴く機会が多くなってしまうのです。

Joao_gilberto_legendary01「ジョアン・ジルベルトの伝説」
 いま日本で「ジョアンの伝説」といえば、開演時間になっても楽屋入りしてなかったりとか、「嫌いだから」と会場のエアコンが切られるなどの振る舞いのことを指すようだが(苦笑)、本来は彼の声が伝説なのだ。スピーカーから聞こえてる筈なのに耳元で甘く囁いているように聞こえる彼独特の歌唱は、まさに唯一無二のものだ。このCDではそんな彼の歌声(今より声のトーンは高いけど)にたっぷりと浸ることができる。
(EMI Korea, EKJD-0155)

Rsla_live01「LIVE - Ricardo Silveira Luiz Avellar/Play the Music of Milton Nascimento」
 ギターとピアノの二重奏が虚飾の無い音楽を紡いでいる。このデュオからはクラシックの上質な室内楽に通じるような、そんな親密さと濃密さが味わえる。
(Adventure Music, AM1014 2)

Shinonome_sora01「シノノメソラ」(シノノメソラ)
 数十年前の軽音楽のようなシンプルなビートの上に、日本の古い歌謡曲を連想させるシンプルな旋律が乗っかってる。この独特の音楽世界はエスニックというべきか、ナチュラルテイストというべきか、はたまたノスタルジアと言うべきか。ともかくどこかで聴いたことがあるようで、実はどんな所でも聴いたことがない音楽だ。このバンドの中心人物でもある黒田かなでさんによる、感情過多に陥らないヴァイオリン演奏も良い。洋食が続いた後にうどんを食べたときのような、そんな安心感とぬくもりが感じられるアルバムだ。
(ミディクリエイティブ,CXCA-1165)

Dalindeo01「オープン・シーンズ」(ダリンデオ)
 上述のシノノメソラが「町のうどん屋さん」なら、これは間違いなくモダンなカフェのような音楽だ。コード進行やベースの動きはジャズ的だが、ポップでダンサブルな音楽はシンプルで親しみやすい。難しいことを考えずに素直に楽しめるサウンドに仕上がっていて、これはこれで見事な職人芸だ。ところでダリンデオのメンバーは6人ともヘルシンキはシベリウス音楽院の出身らしい。なんか最近この音大出身のジャズマンて増えてないか。
(コロムビアミュージックエンタテインメント,COCB-53575)

(関連サイト)
ほぼ日刊イトイ新聞-ボサノバをつくった男。ジョアン・ジルベルトが日本にやってくる!
Ricardo Silveira Official Site
Luiz Avellar Official Site
シノノメソラ 公式サイト
Dalindèo Official Site

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2006.11.15

【演奏会レポ】歌って踊って跳んではねて

(曲目)
1.ブラームス:大学祝典序曲Op.80
2.エルガー:チェロ協奏曲ホ短調Op.85
3.(アンコール)ヴァスクス:ドルチッシモ
4.ブラームス:ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op.77
5.(アンコール)同:ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲イ短調Op.102から 第3楽章

(演奏)
ソル・ガベッタ(チェロ,2,3,5)パトリツィア・コパチンスカヤ(ヴァイオリン4,5)金聖響指揮関西フィルハーモニー管弦楽団(1,2,4,5)
(2006.11.12 いずみホール)

 「演奏会を聴きに行った」のではない。「ライブを見に行った」のだ。そう言い切ってしまいたくなるようなコンサートでした。

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2006.11.10

YouTubeで見る「ロシアピアニズム」2

 以前当ダイアリーで、ロシアのピアニストたちのYouTube動画を取り上げたところ、複数の方々から「はてなブックマーク」して頂いたりして、結構大きな反響がありました。というわけで今回は大好評企画の第2弾をお送りします(笑)。

【スヴャトスラフ・リヒテル】
ブラームス「ピアノ協奏曲第2番」リハーサル

【ラザール・ベルマン】
●リスト「タランテラ」(その1その2
●同「ダンテ・ソナタ」(その1その2その3

【ミハイル・プレトニョフ】
●ラフマニノフ「パガニーニの主題による狂詩曲」(その1その2その3

【スタニスラフ・ブーニン】
●ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」(第1楽章:その1第1楽章:その2第2楽章:その1第2楽章:その2第3楽章:その1第3楽章:その2

【ボリス・ベレゾフスキー】
リスト「マゼッパ」

【イリーナ・メジェーエワ】
ショパン「ポロネーズ第1番嬰ハ短調」

【アルカディ・ヴォロドス】
●ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」(その1その2その3その4

【アレクサンダー・コブリン】
●ショパン「前奏曲集」(その1その2その3その4その5

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2006.11.07

何か最近ベー7ばっかり聴いてるような気がするな

Bohm_1980_1 先日ベームの指揮としては最後となったウィーン・フィル来日公演のDVD(写真)が発売されました。このライブは公演後間もなくNHKでオンエアされ、それをまだ坊主だったころの私も見ていました。しかし交響曲を聴くには幼すぎた私には、彼らがどんな演奏をしたかについての記憶は殆どありません。ただ一箇所を除いては。

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2006.11.05

ラッパの付いた弦楽器 再び

Stroh_violin01  このタイトルを見て「ああ、大昔にレコーディングで使われてたシュトローヴァイオリン(写真上)の事ね」と思われた方も多いと思います。ご存知でない方のために改めてご説明いたしますと、「シュトローヴァイオリン」(または「ストローヴァイオリン」)は19世紀後半にシュトロー氏によって考案された楽器で、胴体の代わりにラッパが付いた独特の外観をしています。このラッパはより大きな音を出すためのもので、20世紀初頭のアコースティック録音期には「普通のヴァイオリンよりもより豊かな音が拾える」ということでレコーディングに好んで用いられました。当時ハイフェッツやイザイも録音のときにはシュトローヴァイオリンを弾いていましたが、やがて録音技術の発達に伴い表舞台からは姿を消してしまいました。しかしそんな「幻の楽器」が再び日の目を見る機会に恵まれた、と11月3日付の「ガーディアン」紙が報じています。

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2006.11.04

副指揮者は20歳

Lionelbringuier01 ダニエル・ハーディング(31)、アラン・ブリバエフ(27)、そしてグスターボ・ドゥダメル(25)と、私(1968年生まれ)より若い指揮者が続々と登場している昨今ですが、彼らよりもさらに若い、若干20歳の指揮者がこのたびロサンゼルス・フィルの副指揮者に任命されました(→PlaybillArts)。180倍の難関を突破したその指揮者の名はリオネル・ブランギエ(Lionel Bringuier)。去年の「第49回ブザンソン指揮者コンクール」で優勝したことでご存知の方もおられるのではないでしょうか。同楽団の音楽監督のエサ・ペッカ・サロネンが「若い世代で最も優れた才能の持ち主であることは間違いない」と惚れ込むほどのタレントのブランギエには、既に欧州各地のオーケストラを指揮した実績があります。今後さらにヘルシンキ・フィル、スウェーデン放送響、そしてあのシュターツカペレ・ドレスデンと共演する予定だといいます。Wikipediaのフランス語版にすでに「Lionel Bringuier」の項目が出来ちゃてるところを見ると、母国フランスでは既に有名人なのでしょうか。ともあれ何だかすごい時代になっちゃいましたね。

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2006.11.03

【演奏会レポ】ラデク・バボラーク ホルン・エレガンス

(曲目)
1.プント:ホルン協奏曲第5番ヘ長調
2.モーツァルト:交響曲第32番ト長調 K.318
3.同:断章変ホ長調 K.370b
4.レスピーギ:リュートのための古風な舞曲とアリア 第3組曲
5.ロータ:カステル・デル・モンテ(ホルンとオーケストラのためのバラード)(1974)
6.モーツァルト:ロンド変ホ長調 K.371
7.ブラームス(ボク編):ホルン三重奏曲変ホ長調 Op.40(ホルン、ヴァイオリンと管弦楽のための編曲版)

(演奏)
ラデク・バボラーク(ホルン;1,3,5-7)豊嶋泰嗣(ヴァイオリン;7)広上淳一指揮新日本フィルハーモニー交響楽団
(2006.10.29 すみだトリフォニーホール)

 今回の上京のもう一つのお目当ては、チェコ出身で現在ベルリン・フィルの首席ホルン奏者を務めるバボラークが協奏作品を5曲も披露するという、滅多とないプログラミングのコンサートでした。彼の演奏はこれまでもオーケストラの一員として、またソリストとしてCD、ラジオ、そしてテレビなどのメディアを通じて何度か耳にしたことがあるので、アーティストとしておおよそイメージは掴んでいたつもりでした。しかしこれほどまでホルンの「音」そのもので酔わせてくれるとは思いませんでした。ホントに彼の出す音全てが、今まで聴いたことのないような高品位のサウンドだったもので…。「ホルンでこんな柔らかくてスムーズな音が出せるんだぁ」「なんでこんなに音がクリアで粒が揃ってるんだろう…」と、演奏会のあいだずっと聴き惚れていました。

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