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2006.09.20

【レビュー】セペク&シュタイアーのベートーヴェン「ヴァイオリンソナタ集」

<曲目>
1.ベートーヴェン:ヴァイオリンソナタ第7番ハ短調 Op.30-2
2.同:モーツァルトの歌劇「フィガロの結婚」の「伯爵様が踊るなら」の主題による12の変奏曲 WoO40
3.同:ヴァイオリンソナタ第4番イ短調 Op.23
<演奏>
ダニエル・セペク(ヴァイオリン)アンドレアス・シュタイアー(ハンマーフリューゲル)

 「ベートーヴェンが生前所有していた楽器を用いている」ということで発売前から各種メディアで話題になったCDです。しかし話題性だけでなく、演奏の「質」においても注目されるべきアルバムです。一般的にベートーヴェンの音楽は「暴力的」と言われることもありますが、セペクとシュタイアーのデュオは(それとは真逆の)デリケートな優しさに溢れています。彼らの演奏に耳を傾けていると、どこか心の奥を愛撫されているような気分にさせられます。

 ドイツ室内管の首席奏者でもあるセペクのヴァイオリン演奏は実に魅力的です。「第7番」の冒頭部から、伸びやかでしなやかなヴァイオリンの音色に耳を奪われます。寄せては返す波のように自然なフレージングも印象的です。そしてフォルテピアノのシュタイアーもいつもながらに素晴らしいです。「『伯爵様が~』の主題による変奏曲」の出だしの、まるでハープを模したような美しい響きには驚かされますが、ここでシュタイアーは「ピアノでは出せない」「フォルテピアノでないと出せない」音を実に効果的に使用しているのです。これぞ古楽演奏の醍醐味ではないでしょうか。実はこの曲では、もう一箇所びっくりする様な音が収録されているのですが、「それは聴いてのお楽しみ」ということにしておきます。
 最後の「第4番」は私の好きな曲なのですが(笑)、シンプルで歌謡的な旋律か親しみやすく、劇的な「第7番」とは正反対の性格を持っています。この曲でも2人の奏者たちは実に柔和な演奏を聴かせています。ここでもセペクのしなやかな弓さばきが旋律の魅力を引き立てています。ともあれCD全般を通じ、古楽演奏の美点を前面に押し出した、名手たちによる素晴らしい演奏です。録音も優秀です

(※:このCDはHMV.co.jp@TOWER.JPで購入可能です。amazon.co.jpよりも安いです:笑)

(Harminia Mundi France HMC 901919, ASIN:B000G7EYK4)

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