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2006.09.05

テロ未遂事件のクラシック音楽界への影響(その3)

 ロンドン旅客機爆破テロ未遂事件の発覚から25日が経過しましたが、現在も北米あるいは英国を発着する旅客機では、機内に持ち込める手荷物の大きさが厳しく制限されています。そのため楽器を手荷物として持ち込まないように指示する各航空会社と、到着ロビーで粉々になった楽器と対面する事態を恐れる演奏家たちとの間の葛藤は今なお続いています。これまで当ダイアリーでは、リスクを避けるため現地で楽器を借りる演奏家や、演奏旅行自体を断念したオーケストラの話題を取り上げました(→参考:8/18付のエントリ)が、今日紹介するのは、敢えてリスクに果敢に挑んだ結果、演奏活動を(文字通り)打ち砕かれてしまった若手演奏家のお話です。
 オタワ大学の学生のPaul Caseyさん(20)は、所属するユース・オーケストラの演奏旅行のためにベルギーに行く際、自ら所有するヴィオラを航空会社の指示に従い搭乗口で預けました。13,800カナダドル(約144万円)もする楽器には「割れ物注意」の札が付いていたのですが、ベルギーで持ち主に返却された楽器はネックが折れ、背板が割れ、胴にも十数か所の傷がついていました(写真)。「海のもくず」ならぬ「空のもくず」となった楽器に対する補償額が最高1,500カナダドル(約156,000円)だと知ったCasey氏は航空会社に対し修理費用の全ての弁済を主張しています。
 Caseyさんの二の舞になることを恐れ、極東での演奏ツアーをどうすべきか思案している演奏家もいます。当ダイアリーでお馴染みのヴァイオリニスト、ニコラ・ベネデッティです。来週中国へと旅立つ予定の彼女は、父より譲り受けた50万ポンド(約1億1000万円)のガルネリのヴァイオリンを無傷で輸送できるかどうか、心配でなりません。「私は預けた荷物がどう扱われてるか、普段から見てきています。私のヴァイオリンがあのように扱われてしまうのかと思うと、『外国に行かない方がマシかな』と思ってしまいます」と彼女はコメントしています。所属事務所は現在、航空会社に特例を認めてもらうよう交渉中です。

(参考)
Ottawa Citizen. Airline destroys $13,800 viola.(September 1, 2006)
PlaybillArts. The Nightmare Comes True: Musician's Instrument Destroyed While Checked as Baggage on Plane.(Semtember 1, 2006)
Times Online. Flight rules ground violinist.(September 3, 2006)

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Comments

電波系ピクト様こんばんは。
ベネデッティは今週末から来月にかけてのツアーが「来日2度目」になりますね。
実は今度の土曜日に彼女の演奏会に行くつもりなので個人的に気を揉んでいた、という事情もあります(笑)。今のところ会場(兵庫県立芸術文化センター)のサイトでは「来日中止」の掲示を見かけませんので、彼女が無事来日してくれることを私は信じてます。

Posted by: おかか1968 | 2006.09.26 at 22:01

http://www.nhk.or.jp/city/bkn/060429_special.html

 御存知かもしれませんが、ベネデッティさんは、4月27日にトッパンホールでのリサイタルで日本デビューを飾りました。(本来予定されていたユリア・フィッシャーさんの代役として、トッパンホールの招聘に応えてリサイタルを開催した模様。)そして、29日にはNHKのBSの番組でも演奏を披露された模様です。 

 4月のトッパンホールでのリサイタル評が数ヶ月前の「音楽の友」、「音楽現代」に、またインタビュー記事が「サラサーテ」前号、「音楽の友」(何月号かは失念)に出ていました。

Posted by: 電波系ピクトさん | 2006.09.26 at 21:25

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