2006.09.29
昨日付の「ニューヨーク・タイムズ」紙で、テロが横行するバグダッドで音楽活動を続けるオーケストラと、その団員達についての記事を見つけました(参照)。イラクで60余年の歴史を誇るオーケストラはいま、テロへの恐怖だけでなく、度重なる停電を始めとする貧弱なインフラ、そして「音楽はイスラムの教えに反する」とする原理主義者たちに囲まれての音楽活動を余儀なくされています。スンニ派、シーア派、クルド人、キリスト教徒、そして(グノーシス主義の一派である)マンダ教徒と、宗教も人種も異なる59名の演奏家たちで構成されるオーケストラの演奏は、決して立派なものとはいえません(※1)。それでも数々の障害にもめげず音楽に打ち込む彼らの姿には感じ入るものがあります。今後イラク国立響、そしてイラクの楽壇が無事発展することを祈らずにいられません。
(※1)彼らの演奏はこのリンク先の左側にある「Multimedia」をクリックすれば聴くことができます。
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2006.09.26
メトロポリタン歌劇場の2006/7シーズンが昨日、「蝶々夫人」のオープニング・ガラ公演で幕を開けました。ピーター・ゲルプ支配人にとって最初のシーズンとなる今年は、メトのシーズン開幕を広く大衆にアピールするべく様々な「仕掛け」が施されました。まずエイベリー・フィッシャー・ホールのエントランスには映画祭よろしくレッド・カーペットが敷かれ、その上をジュード・ロウ、メグ・ライアン、ナオミ・ワッツ、デイヴィット・ボウイ、ジューリアーニ・前ニューヨーク市長らのセレブ達がカメラのフラッシュを浴びながら歌劇場へと入っていきました。そしてホール外壁には「蝶々夫人」と漢字で大書きされた横断幕の下に巨大TVモニターが掲げられ、舞台公演を中継で映し出していました。
この「オペラのパブリック・ビューイング」はリンカーン・センターだけでなく、ニューヨーク中心部のタイムズ・スクエアでも行われました。繁華街の巨大なネオン広告に交じって映し出されるオペラの中継映像を、650席の特設シート(無料!)に腰をおろした観客だけでなく、お勤め帰りの通行人たちも足を止めて見入っていました。
それにしてもタイムズ・スクエアのモニターでオペラを映すとは恐れ入りました。日本でいえば渋谷の「109」で流すようなものですからね。
あと余計な一言かもしれませんが、
「蝶々夫人」のダンマク大き過ぎ(笑)。
日本人としてちょっと違和感があります…。
(参考)
PlaybillArts. Metropolitan Opera Opens Season with Madama Butterfly - Onstage, On Screen and On the Radio. (September 25, 2006)
New York Times. Among the Stars, the Met Opera Brings a Little Punch to Its Puccini. (September 26, 2006)
New York Times. Among the Stars, the Met Opera Brings a Little Punch to Its Puccini. (September 26, 2006)
New York Sun. On Stage and Screen, ‘Butterfly' Spreads Its Wings. (September 26, 2006)
CBS News. 'Madama Butterfly' Shown in Times Square. (September 26, 2006)
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2006.09.24
山尾敦史様のブログでイギリスの作曲家、サー・マルコム・アーノルドが亡くなったことを知りました。享年84歳。心からご冥福をお祈りいたします。
報道によると直接の死因は「胸部の感染症」ということですが、彼は長年病気療養中で(※1)、最近は目立った音楽活動はありませんでした。それでも来月迎えるはずだった彼の満85歳の誕生日に合わせて、英デッカより「マルコム・アーノルド・エディション」(写真:※2)、そして英国音楽専門の「Lyrita」レーベルから彼の自作自演レコーディングが相次いで再発売されていました。今日は「イギリス音楽の典型例」といえる舞曲集のCD(→amazon.co.jp
)を聴いて彼を偲びたいと思います。
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2006.09.23
忘れた頃にやってくる「役に立たない」ガイドです(笑)。前回はソフロニツキーでしたが、今回はゲンリヒ・ネイガウスです。
「リヒテルの師」として紹介されることの多いネイガウスですが、生前の彼は旧ソ連楽壇においてまさに「重鎮」的存在でした。リヒテルだけでなくザーク、ギレリス、ルプーらをモスクワ音楽院で指導する一方、流刑の後遺症である右手の障害を押して、演奏活動も続けました。
音楽家一家に生まれ、シマノフスキとも親戚同士という、音楽家の血筋としても申し分のない彼は、幅広い音楽知識を持つことでも知られていました。彼の古今東西の音楽や演奏家に対する関心には尋常ならざるものがありました。以前当ダイアリーでも少し触れた「モスクワの前衛音楽家」(カレトニコフ著、ISBN:4794803265)では、ウェーベルンの作品を理解しようと1ヶ月間毎日テープで繰り返し聴き続けたというエピソードが紹介されています。
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2006.09.22
先日、イギリスの指揮者マーク・エルダーは「来年はノートパソコンと管弦楽のための協奏曲が演奏されるかも」と述べましたが、こんどは本当に、ホントーに、「携帯電話と管弦楽のためのコンチェルティーノ(小協奏曲)」が来月シカゴで演奏される、というニュースです。
この「協奏曲」はシカゴ・シンフォニエッタの20周年記念作として、デイヴィット・ベイカー氏が作曲したものです。15分の演奏時間のあいだ、観客は会場内にある赤いライトや緑色のライトを凝視しなければいけません。これらのライトが点灯すれば、それが携帯電話のスイッチをオン(またはオフ)する合図なのです。そして観客はケータイの着信音を出来るだけ大きくするように指示されます。恐らくケータイが「on」状態のときハプニング的にホールに鳴り響く着信音を楽しむ、というのがこの曲の趣旨なのでしょう。ベイカー氏はホールのあちこちで鳴り響く着信音とオーケストラとのコントラストが生み出す効果に期待しています。彼は「1000台の携帯電話が一斉に鳴り響く光景は、きっとどんなものにもたとえようがない経験となるでしょう」と述べています。
(参照)
Reuters. Cell phone concerto may be music to your ears. (September 21, 2006)
BBC NEWS. Mobile phones to make sweet music. (September 22. 2006)
(関連記事)
「ケータイの着信音で演奏会をやり直し」 (当ダイアリーの2004年12月2日のエントリ)
「続・ケータイの着信音問題」 (当ダイアリーの2004年12月3日のエントリ)
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先日開幕した「リーズ国際ピアノコンクール」(→公式サイト)ですが、準決勝の模様をBBCのサイトからストリーミングで聴くことが出来ます(→ここ)。
(9/26追記)準決勝で実に素晴らしいリストの「ロ短調ソナタ」を披露したキム・ソヌク(韓国:18)が、コンクールの「第1位」に選ばれましたね(公式)。
(10/8追記)9/26日付の「朝鮮日報」紙に彼の詳しい情報が載ってますね。しかし「韓国って18歳でタバコもお酒もOKなんですか!?」と、ピアノと全く関係ないところで気になる情報が…。まあ彼のリストのソナタはまさに「大人の風格」でしたが、プライヴェートでも「オトナ」ということでしょう(笑)。
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2006.09.20

<曲目>
1.ベートーヴェン:ヴァイオリンソナタ第7番ハ短調 Op.30-2
2.同:モーツァルトの歌劇「フィガロの結婚」の「伯爵様が踊るなら」の主題による12の変奏曲 WoO40
3.同:ヴァイオリンソナタ第4番イ短調 Op.23
<演奏>
ダニエル・セペク(ヴァイオリン)アンドレアス・シュタイアー(ハンマーフリューゲル)
「ベートーヴェンが生前所有していた楽器を用いている」ということで発売前から各種メディアで話題になったCDです。しかし話題性だけでなく、演奏の「質」においても注目されるべきアルバムです。一般的にベートーヴェンの音楽は「暴力的」と言われることもありますが、セペクとシュタイアーのデュオは(それとは真逆の)デリケートな優しさに溢れています。彼らの演奏に耳を傾けていると、どこか心の奥を愛撫されているような気分にさせられます。
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2006.09.17
2006.09.16

先日一人の女性が、ホラー映画でおなじみのアノ道具を使って「戦慄」のパフォーマンスを行いました。
レベッカ・カニングハム(24:写真)はオーストラリア・ブリスベンで開催された「Flux-Us」というイベントで「アップライト・ピアノをチェーンソーで破壊する」という内容のパフォーマンスを披露しました。ピアノは1分もしないあいだに真っ二つにされ、このあと更に分解されたあとピアノの鍵盤は、「解体ショー」を見物したオーディエンスたちに配られたといいます。この模様を伝える記事では、破壊されたピアノの画像を見ることができますが、ピアノに愛情を持っている方は見ないほうが賢明かもしれません。
ところでこのパフォーマンス、地元自治体から補助金の助成を受けていた、いうことで一部から「税金を使ってこんなことをするとはケシカラン!」という声も上がっているのですが、カニングハムは自らの行為を「アートだ」と主張し、補助金を受けたことに感謝の意を表明しています。更に「私はピアノを破壊したのではありません。ピアノの形を変えただけです」「ピアノは子供の学習用には最適の道具ですが、私にとっては切り刻むのに丁度良いものなのです」とコメントしています。
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2006.09.12
今年の「BBCプロムズ」は、まあ例年になく色々な事件がありましたが、何はともあれ今年も恒例の「ラスト・ナイト」にこぎつけることが出来ました。この演奏会では、途中で指揮者がスピーチをする習わしがありますが、今回登場したマーク・エルダーは、昨今イギリスの音楽家たちの頭を悩ませている、楽器の飛行機内への持込制限について言及しました。以下勝手に原文を引用します;
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2006.09.09
最近1枚のクラシックCDが発売されました。曲目はベートーヴェンの「運命」と「交響曲第7番」(→amazon.co.jp
)。演奏はシモン・ボリバル・ユース・オーケストラ、指揮はグスターボ・ドゥダメル(写真上)です。ドゥダメルはベネズエラ出身で、2004年にマーラー指揮者コンクールで第1位を獲得し、昨年巨匠ネーメ・ヤルヴィの代役としてロンドンの夏の音楽祭「BBCプロムズ」にデビューを果たしています。まさに指揮者としてスター街道を走ろうとするドゥダメルのデビュー盤なのですが、私はこのCDで彼が指揮している「シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ」について昨日まで何の知識もありませんでした。正直若手育成を目的に結成されたユース・オーケストラくらいにしか思っていなかったのです。
さて昨日「高松宮殿下記念世界文化賞」が発表されましたが、受賞の栄誉に浴した5名のプロフィールを伝える産経新聞の紙面の片隅に、『「ベネズエラ青少年・児童オーケストラ全国制度財団」(Fundación del Estado para el Sistema de Orquesta Juvenil e Infantil de Venezuela:以下FESNOJIV)(写真中)が「若手芸術家奨励制度」の対象団体に選ばれた』とありました。「どんな財団なのかな」とプロフィールを読んで私は驚きました。ベネズエラでは30年以上前からFESNOJIVを中心に国家レベルで児童や青少年に対するクラシック音楽教育に本腰を入れていること、しかもそこで教育を受けている生徒の大半が貧困地域の出身者たちだというのです(紙面と同一内容の記事は「世界文化賞」の公式サイトで読むことができます)。
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2006.09.07
<曲目>
バッハ:平均律クラヴィーア曲集第2巻 BWV870~893 <全曲>
(その前後に小品が1曲づつ演奏された)
<演奏>大井浩明(クラヴィコード)
(2006.9.3 芦屋・山村サロン)
去年行われた「平均律クラヴィーア曲集第1巻」演奏会の続編です。去年はホールにかすかに響くクラヴィコードを聴衆が息を潜めて聞き入っていました。今回は前回よりかなり小さいスペースでのコンサートでしたが、それでも一音一音を聞き逃すまいと静かに耳を傾ける観客たちは、会場内に格別の緊張感を醸し出していました。
それにしても大井さんのクラヴィコード演奏は去年と較べてより優しく、より伸びやかで、そしてより繊細なものになっていました。慎重な運指が生み出すスムーズなフレージングと、流れるように滑らかな旋律の表現は、大バッハのバロック音楽的な側面をより濃く映し出していたと思います。そして今回は前回より楽器に近い位置で聴けたことも相まって、クラヴィコードの持つ繊細な「響き」を十分に感じることができました。アルペジオの箇所では、楽音の中からかすかに聞こえてくる様々な倍音が混ざり合って、まるで楽器から色んな音がふんわりと立ち上がって漂っているかのような、何ともいえない趣のあるサウンドを生み出していました。
もっとも幾つかの楽曲では「スケール感をクラヴィコードで表現するのはさすがにキツイな」と感じたのも事実ですが、この企画自体「クラヴィコードでどこまでやれるか」という実験的意味合いが強いものなので、今回は「その心意気や良し」とすべきでしょう。
(写真)今回のライブで使用されたクラヴィコード(ジャン・トゥルネイ製作)。
(参考サイト)
●【演奏会レポ】大井浩明 クラヴィコードで「平均律」 (当ダイアリーの昨年3月12日のエントリ)
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2006.09.06
6日前に公式サイトを通じてオーダーしたCDが本日無事到着しました。正直オーダー画面に一通り入力して「Place the Order」のボタンをポチッと押しても、アマゾンみたいに「オーダー承りました」的なメールがやって来ないからすごく心配してたんだけど、無事品物が到着してほっとしました。実は私は写真のCDをオーダーする前日に、別の商品を同じサイトから注文していて、その商品がまだ手許に届かないんで、今はそっちの方が若干気がかりです…。なんかオーダー直後に相手からのレスポンスが無いと、ものすごく不安になるわけですが、これって一昔前FAXで海外通販をしてた時代の「大丈夫かな…」「ちゃんとAcceptされたかな…」「いつ届くのかな…」という緊張感を思い起こさせます(笑)。
あと直接関係ないですけど、今日現在「Lyrita」でググると当ダイアリーがトップに来るので恥ずかしい限りです(笑)。
(9/30追記)結局CD5枚で代金が2万円以上かかってしまいました…。少々時間がかかっても、もう少し安く入手できるところでオーダーした方が良かったです。
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2006.09.05
ロンドン旅客機爆破テロ未遂事件の発覚から25日が経過しましたが、現在も北米あるいは英国を発着する旅客機では、機内に持ち込める手荷物の大きさが厳しく制限されています。そのため楽器を手荷物として持ち込まないように指示する各航空会社と、到着ロビーで粉々になった楽器と対面する事態を恐れる演奏家たちとの間の葛藤は今なお続いています。これまで当ダイアリーでは、リスクを避けるため現地で楽器を借りる演奏家や、演奏旅行自体を断念したオーケストラの話題を取り上げました(→参考:8/18付のエントリ)が、今日紹介するのは、敢えてリスクに果敢に挑んだ結果、演奏活動を(文字通り)打ち砕かれてしまった若手演奏家のお話です。
オタワ大学の学生のPaul Caseyさん(20)は、所属するユース・オーケストラの演奏旅行のためにベルギーに行く際、自ら所有するヴィオラを航空会社の指示に従い搭乗口で預けました。13,800カナダドル(約144万円)もする楽器には「割れ物注意」の札が付いていたのですが、ベルギーで持ち主に返却された楽器はネックが折れ、背板が割れ、胴にも十数か所の傷がついていました(写真)。「海のもくず」ならぬ「空のもくず」となった楽器に対する補償額が最高1,500カナダドル(約156,000円)だと知ったCasey氏は航空会社に対し修理費用の全ての弁済を主張しています。
Caseyさんの二の舞になることを恐れ、極東での演奏ツアーをどうすべきか思案している演奏家もいます。当ダイアリーでお馴染みのヴァイオリニスト、ニコラ・ベネデッティです。来週中国へと旅立つ予定の彼女は、父より譲り受けた50万ポンド(約1億1000万円)のガルネリのヴァイオリンを無傷で輸送できるかどうか、心配でなりません。「私は預けた荷物がどう扱われてるか、普段から見てきています。私のヴァイオリンがあのように扱われてしまうのかと思うと、『外国に行かない方がマシかな』と思ってしまいます」と彼女はコメントしています。所属事務所は現在、航空会社に特例を認めてもらうよう交渉中です。
(参考)
Ottawa Citizen. Airline destroys $13,800 viola.(September 1, 2006)
PlaybillArts. The Nightmare Comes True: Musician's Instrument Destroyed While Checked as Baggage on Plane.(Semtember 1, 2006)
Times Online. Flight rules ground violinist.(September 3, 2006)
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2006.09.04
昨日夜(現地時間)ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで楽屋のバーから出火し、消防隊が出動する騒ぎになりました(参考)。火災は小規模に終わり、けが人はありませんでしたが、出火した箇所の周辺には一時煙が立ち込めたそうです。このボヤのため同日に予定されていた「BBCプロムズ」のコンサート(クリストフ・エッシェンバッハ指揮フィラデルフィア管)は、開始直前に中止となりました。BBCとホールは「ボヤの影響で電力供給不足に陥ったため、本日の演奏会は中止のやむなきに至りました。われわれは早急に対処し可能な限り早期の復旧に努めます」と言う内容の共同声明を出しました。
今日以降のプロムズについて詳細不明なのは気がかりですが、それにしてもけが人が出なくて良かったですね。
(追記)今(日本時間午後11時)公式サイトを覗いたら「今日は予定通りのプログラムで公演を行います」と書かれてました。電力問題は解決したようです。
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2006.09.03
<曲目>
1.雅楽「調子」
2.タレルガ:アンハンブラの思い出
3.モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタニ長調 K.7
4.同:幻想曲ニ短調 K.397
5.同:「ああ、ママに言うわ」による12の変奏曲ハ長調(キラキラ星変奏曲)K.265
6.細川俊夫:光に満ちた息のように
7.同:アルトフルート独奏のための「黒田節」
8.バッハ:シャコンヌ
9.(アンコール)ヘンデル(細川俊夫編):私を泣かせてください(涙のアリア)
<演奏>
宮田まゆみ(笙)(1,6)ティモ・コルホネン(ギター:2)千々岩英一(ヴァイオリン)(3)山本純子(3)伊藤恵(5)(ピアノ)吉野直子(ハープ:4)ロバート・エイトケン(アルトフルート)(6)今井信子(8,9)
(2006.9.2 越前市文化センター 大ホール)
ふと思い立って、武生まで車を飛ばして演奏会に出かけてみました。「確かこの辺だったかな…」とホールの前までやってきて真っ先に目に飛び込んできたのは、写真の観覧車です(笑)。確かにホールの横は公園だったのですが、遊園地があるわけでもないのにドーンとそびえ立ってるので「どうして?ここに?」という感じです。
で開演時間より結構早めに会場に着いたので「喫茶店で時間をつぶそうかな…」と辺りを見回したのですが、ホール内のカフェはどうやら音楽祭関係のイベントに使用されるみたいで、部外者が中に入ることができません。会場の周辺も見渡してみましたが、道路を挟んだ向かい側には「うどん」の看板を掛けたお店が…。昼食は自宅でナポリタンのスパゲティを作って食べたので、正直麺類の連荘はキツい…。そもそも武生といえば「越前そば」なのに何故「うどん」…。まあとりあえずコーヒーが飲みたかったので会場近くのローソンでダイドーブレンドコーヒー買って一服した後、会場入口が開くまで敷地内のベンチに座って本を読んでました。
と若干茶化して書いてしまいましたが、演奏会自体は面白かったですよ。だって次々と登場する世界的名手たちが皆、短い登場時間のなかで着実に聴き手の心に残る好演奏を繰り広げてくれたのですから。特に吉野直子さんのモーツァルトは、ハープという楽器の特性を考えると演奏するのは結構至難の技と思われるクロマティック(半音階的)な作品だったのですが、楽器のハンデを感じさせない自然なフレージングが実に素晴らしかったです。このコンサートでMCを担当していた細川俊夫氏も「奇跡的な演奏だ」とコメントしていました。エイトケンの「黒田節」も、最初は「なんだこの宴会芸みたいな曲は!」(失礼!)と思ったのですが、後半部に技巧を凝らした箇所が用意されていて、そこで彼のテクニックの確かさを味わうことができました。今井さんは「シャコンヌ」の堂に入った演奏も良かったのですが、個人的にはアンコールで演奏されたヘンデルのアリアの方が印象に残りました。この曲は今回が「世界初演」との事ですが、これはアンコールピースとして実に「使える」楽曲だと思います。コルホネンは「カエデ製」の風変わりなギターを持参していました。胴が普通のギターよりも小さくて、音も小さかったのですが、繊細で愛すべき音色でした。
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2006.09.02
先日ミネソタ管弦楽団(→公式サイト)はサラ・ハツコ・ヒックス(35)を9月1日付で副指揮者に任命した、と発表しました(参照)。今後彼女は教育プログラムなどで同楽団を指揮するほか、定期演奏会の指揮者がキャンセルした際の代役としても登場する可能性があるとのことです。今年11月6日のファミリー・コンサートが、同楽団との最初の公開演奏会になります。
最初彼女の名前を見て「あっ、アメリカ生まれの日系人指揮者かな?」と思ったのですが、プロフィールを見ると、「1971年1月14日、東京生まれ」とありました。その後ハワイに移住し、ハーバードで作曲、ジュリアードでピアノ、そしてカーティス音楽院で指揮を学んだ後、世界各地で指揮活動を行っているようです(「東京フィルを指揮」というのは、このことでしょうか)。
今回の人事について、音楽監督のオスモ・ヴァンスカは「ヒックスを選んだのは(副指揮者を選ぶ)オーディションの審査員と団員双方からの強い推薦があったからだ。審査員が注目したのは、団員とコミュニケーションする能力に長けているところで、指揮台での落ち着いた態度も好印象を与えた。彼女をミネソタ管のファミリーに迎え入れることを嬉しく思う」とコメントしています。随分期待されているようですが、ともかく彼女は「これから」のアーティストですので、今後の活躍を太平洋の向こう側から応援したいと思います。
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2006.09.01
あまりにも唐突だったのでびっくりしたんですが、「タイムズ」紙の今日付のエントリで批評家Richard Morrison氏による「英国の管弦楽団トップ10」が発表されています。取り急ぎベスト10のリストを紹介しますが、皆さん覚悟はいいですかぁ。びっくりしないでくださいね(笑)。
1位:ハレ管弦楽団
2位:ロンドン交響楽団
3位:ノーザン・シンフォニア
4位:BBC交響楽団
5位:フィルハーモニア管弦楽団
6位:BBCフィルハーモニック
7位:ロンドン・フィル
8位:バーミンガム市響
9位:ボーンマス交響楽団
10位:スコットランド・ナショナル管
英国内での音楽業界関係者やファンのリアクションが愉しみなランキングとなっております(苦笑)。
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