Lyritaレーベル 復活
英国音楽の愛好家にとって間違いなく朗報です。英Lyritaレーベル(※)は先日、同社の保有する全ての録音をCD化すると発表しました。公式サイトによると、今後18ヶ月間でCD130枚以上もの分量に上る録音の数々が次々に発売されます。これらはほどんどが「初CD化」ということになります。またデジタル録音による新譜のリリースが15タイトル予定されています。そして(ここからが私にとって重要なのですが)、Lyritaは公式サイトで音楽配信も行い、ダウンロード購入も可能にするということです。
1959年に創立されたLyritaレーベルは、当初イギリス人作曲家による室内楽やピアノ作品を中心に手がけていました。しかし'70年代になると交響曲などの管弦楽作品のリリースにも積極的になります。CD期に幾つかのアルバムを再発したあとLyritaは倒産の憂き目にあい、その後はロンドンの一小売店である「Harold Moores Records」(→ここ)でしか手に入らない(しかも限られたタイトルのみ)という状態でした。今回(Nimbusレーベルの販売権を持つ会社でもある)Wyastone Estateと契約を交わしたレーベル創始者のRichard Itter氏は、「私はLyritaを誇りに思います。私は優れたオーケストラ、指揮者、ソリストたち、そして献身的なプロデューサーや技師たちと仕事をするという栄誉に浴することができました。スタッフたちは見過ごされたり、忘れられたりしていた未知の作品に熱心に取り組み、それらに新たな生命を吹き込んでくれました。今回の契約によって、より多くの人々がそのことに気づいてくれるでしょう。皆さんに楽しんでいただけるように祈っています」とコメントしています。
Lyritaといえばバックスの一連の録音(ノーマン・デル・マー指揮による「交響曲第6番」は名盤の誉れ高い)やティペットの「真夏の結婚」(コリン・デイヴィス指揮)が有名ですが、個人的にはやはりボールトでしょう。エルガーやラッブラ、そして珍曲として知られるホルストの「日本組曲」などが入手しやすくなるのは非常に有難いです。それからヨー・ヨー・マが初めて出したレコードが実はLyritaレーベルからだった(フィンジの「チェロ協奏曲」。共演はハンドリー指揮ロイヤル・フィル)というのは隠れた事実です。
(追記)山尾敦史様のサイトでは、ここよりもずっと詳しくレーベルの歴史や名録音などが紹介されています。山尾様のエントリにも触れられてるように、Lyritaは録音にも定評がありましたね。
(※)日本では「リリタ」、または「リリータ」と呼ばれています。
(参考)
BBC Music Magazine. Legendary British recording label returns. (July 19, 2006)
PlaybillArts. Lyrita Catalogue to be Re-Released via Nimbus. (July 21. 2006)
The Library of Congress. Musician Biographies - Yo Yo Ma..
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Comments
山尾様こんにちは。
>こちらはカタログのリストアップをしていく予定
これからもどんどんリリタ情報を発信してくださいね。よろしくお願いします。それにしてもホントに嬉しいニュースですね。
Posted by: おかか1968 | 2006.07.23 10:46
TBありがとうございます。
相変わらず情報収集が早いですねー。
こちらはカタログのリストアップをしていく予定です。
Posted by: at.yamao | 2006.07.22 23:40