「モーツァルトを聴くと目が良くなる」のは本当かもしれない
当ダイアリーでは以前からモーツァルトを用いた民間療法について紹介してきました(参照<1>、<2>)が、生誕250年のモーツァルト・イヤーとなった今年は「モーツァルトで健康になろう!」「モーツァルトで頭を良くしよう!」というムーブメントがますます盛んです。最近も某公共放送で「モーツァルトのツボ」なる特集をやっていました。この番組の独自調査によると、カイワレ大根の種にモーツァルトを聞かせて1週間発育させると、音楽を聞かせない種よりも明らかに発育が良かったそうです(参照)。尤も同じ実験ではダンス(ディスコ)・ミュージックを聞かせた種も結構伸びているので、音楽の発信源となったスピーカーの振動が発育に影響した可能性は否定できません。スピーカーの振動が良い影響を及ぼすとすれば、打楽器サウンドなどが植物の発育を促すのかもしれません。
カイワレ大根にガムランを聞かせたらモーツァルトの100倍伸びたりして。
そもそもこの手の「モーツァルト効果」は、「2台のピアノのためのソナタ(K.488)のCDを聴かせたらIQが上昇した」という1993年の論文が基になっているのですが、このことは別の研究者たちにより1999年に否定されています(参照)。それでも人々は「モーツァルトならそんなことがあっても不思議じゃない」「むしろそうであってほしい」と信じて疑わないのでしょう。でもこれじゃあまるで徳川埋蔵金と同じですね(苦笑)。そんな中、ブラジルの研究者たちが「緑内障で目の障害のある患者たちにモーツァルトを聴かせたら目が良く見えるようになった」という内容の論文を発表し、話題になっています。
Santa Casa of Sao Pauloの眼科学教室に所属するVenessa Macedo Fiorelli氏らが「British Journal of Ophthalmology」誌に発表した論文(→「PubMed」内の要約はこちら)によると、被験者30人にモーツァルト「2台のピアノのためのソナタ」(←またかいな…)を10分間聴かせたところ、10分間何も聴かせずに放置した30人のグループよりも視野が改善したといいます。さらに興味深いことに、この視覚の「モーツァルト効果」は10分程度しか効果が持続しなかったそうです。
このニュースを伝えるBBCの記事(参照)には、2名の眼科の専門家のコメントが添えられていますが、彼らは揃って今回の結果には懐疑的です。このあたりは「それ見たことか!モーツァルトは体にいいんだよ!」と声高に叫ぶ日本のマスコミと違い、所謂「メディア・リテラシー」がきちんとしていて好感が持てますね。
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Comments
TBさせて頂きます。うちにもこの2台のCDがあります。偏差値あがるというのは違っていたんですね。どおりで聞いても・・(笑)
Posted by: kokoni | 2006.06.07 22:10