九十分間リング一周
ワーグナーの「ニーベルンクの指輪」といえば全作上演に丸々4日間かかる大作ですが、フランスのブラスバンド「グルーム」(Les Grooms:公式サイト)はこれを演奏時間約90分のシアターピースに仕立て上げて欧州各地で上演しています。タイトルはその名もズバリ「三文リング」(La Tétralogie de Quat'sous)。この作品はオペラハウスではなく仮設テントで上演され、ワーグナー・チューバを含む小編成のブラスアンサンブル、ハーモニカ、オーストラリアの民族楽器のディジェリドゥ、ミュージカル・ソウ、パーカッション、そして数人の歌手たちによって演奏されます。ただしブラスアンサンブルは上演中ピットに篭っているわけではなく、会場を楽器を担いで動き回ったり歌ったり、ときにはお客さんの前で仰向けになることもあります(写真:笑)。そして動き回るのは団員だけではありません。最後の「ジークフリートの葬送行進曲」の場面では観客も葬列に加わるように促され、そのまま会場を後にすることになります。
このプロダクションは、BBCを含む幾つかのレビューでは好意的に迎えられています。それらを読む限りどうやら単なる「さわりで聞くナントカ」系の代物ではなさそうです。彼らの演奏は公式サイトでほんのさわりだけですが試聴することができます。音声ファイルにたどりつくまでの手順を以下に記します;
①公式サイトでユニオンジャックをクリック→②立ち上がったウィンドウの上の列にある「Our Shows」をクリック→③右から2番目のところにある「La Tétralogie de Quat'sous」をクリック以上の操作を行うと以下の画面が見えるはずです。
上の画像の白線部のところにあるボタンをクリックすればサンプル音声ファイルを聴くことができます。「ワルキューレの騎行」などはなかなか良い感じです。
(参考)
Wagner Society in NSW Inc. Les Grooms - The Threepenny Ring - Perth Festival Golden Anniversary. (May, 2003)
The British Theater Guide. The Threepenny Ring Cycle. (2004)
Open. Les Grooms - The Threepenny Ring Cycle. (May 11, 2006)
On An Overgrown Path. The challenge of lighting Wagner's Ring. (May 18, 2006)
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