2006.05.30

「First Violin of Vienna - Arnold Rosé」
(曲目の詳細は、@TOWER.JPをご覧ください。また左記リンク先でこのCDを購入することもできます)
演奏:アーノルト・ロゼー(ヴァイオリン・指揮)ロゼー弦楽四重奏団 他
(録音:1909年~1936年)
ウィーン宮廷歌劇場(当時)のコンサートマスターだったアーノルト・ロゼー(1863-1946)は、「聴かれる」よりも「語られる」ことの方が多いヴァイオリニストのような気がします。ウジューヌ・イザイ(1858-1931)と同世代にあたるロゼーは、一つ下の世代にあたるフリッツ・クライスラー(1875-1962)やジャック・ティボー(1880-1953)と比べて遺された録音は多くありません。その一方で公私ともにマーラーや新ウィーン楽派と密接な関係を持っていた彼は、「世紀末ウィーン」の担い手の一人として語られることもありますし、最近ではピリオド・アプローチで知られる指揮者ロジャー・ノリントンが事あるごとにロゼーを「ヴィヴラートを多用しないヴァイオリニストの代表」として取り上げ(※1)、その是非について論争が起こったりしています(※2)。私はこのCDをヴィヴラートの有無の確認のために購入したことを否定しませんが、聴き込んでいくうちにそのことに囚われず純粋な気持ちで100年前の名手の演奏を楽しむことができました。
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2006.05.21
いい天気の日は掃除に限る。自宅の窓という窓を全開にして掃除機をかけたり、布団を干したり、果てには車の掃除をする。それらが一段落したあとラジオ局「WUOT」のサイトにアクセスして「ヴォルピ支配人退任記念ガラコンサート」をパソコンのスピーカーから流す。ニューヨークの饗宴をネットを通じて日本海に面した片田舎で聴くというのは、まさにIT時代の最大幸福。それにしても何という豪華な顔ぶれだろう!メトは10年前にも「レヴァインMETデビュー25周年ガラ」をやってるけど、今回もそのときに引けをとらない。これでもかこれでもかと主役級の歌手たちが登場する派手なガラ・コンサートはメトならでは、というかメトしかやりませんし出来ないよねこんなこと(※)。
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2006.05.20

ワーグナーの「ニーベルンクの指輪」といえば全作上演に丸々4日間かかる大作ですが、フランスのブラスバンド「グルーム」(Les Grooms:公式サイト)はこれを演奏時間約90分のシアターピースに仕立て上げて欧州各地で上演しています。タイトルはその名もズバリ「三文リング」(La Tétralogie de Quat'sous)。この作品はオペラハウスではなく仮設テントで上演され、ワーグナー・チューバを含む小編成のブラスアンサンブル、ハーモニカ、オーストラリアの民族楽器のディジェリドゥ、ミュージカル・ソウ、パーカッション、そして数人の歌手たちによって演奏されます。ただしブラスアンサンブルは上演中ピットに篭っているわけではなく、会場を楽器を担いで動き回ったり歌ったり、ときにはお客さんの前で仰向けになることもあります(写真:笑)。そして動き回るのは団員だけではありません。最後の「ジークフリートの葬送行進曲」の場面では観客も葬列に加わるように促され、そのまま会場を後にすることになります。
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2006.05.18
先日当ダイアリーでも取り上げた(→参照)ストラディバリウス・ヴァイオリン「ハンメル」のオークションがニューヨークの「クリスティーズ」で行われ、電話による入札で匿名の人物が354万ドル(約3億9000万円)で落札しました。「クリスティーズ」によると楽器の落札額としては史上最高額とのことです。この楽器を貸与され、12年ものあいだ実際に演奏会で用いていたヴァイオリニストの竹澤恭子氏によると「甘い音色を持っているが、一方で大ホールを貫かんばかりの力強さ、集中力を併せ持っている」というこの楽器、実際に耳にすることはできるのでしょうか。その日を待ちたいと思います。
またポーランド・ポズナニで開かれた「第11回ヴィエニャフスキ国際ヴァイオリン製作コンクール」では、クレモナに工房を持つ楽器職人、菊田浩氏(44)の製作した楽器が第1位を獲得しました。またこの楽器は同時に「最優秀音響賞」も受賞しました。このニュースについては、国内外のどのメディアよりも菊田様自身のブログが一番詳しいですね。拙ブログからも菊田様に心からお祝いを申し上げます。これからも良い楽器で私たちの耳を愉しませてください。
(参考)
神戸新聞. 名器3億9000万円で落札(May 17, 2006)
Bloomberg.com. Stradivari Violin Fetches a Record $3.5 Mln at Christie's N.Y. (May 16, 2006)
デイリースポーツ. 菊田さんのバイオリンが優勝. (May 16, 2006)
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2006.05.16
唐突ですが、「東京に8つあるオーケストラのなかで優秀なオケを3つ挙げよ」と尋ねられたら皆さんはどう答えますか?私は東京在住でないもので、この質問にはお答えできませんが(といって逃げてるんですけど:苦笑)、日本の英語紙「Daily Yomiuri」のHiroshi Miyashita氏によると東京の「ビッグ3」はNHK交響楽団、東京都交響楽団、そして読売日本交響楽団らしいです(参照)。
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2006.05.13
イタリア出身の指揮者カルロ・マリア・ジュリーニが亡くなって、もうすぐ一年になりますが、米国の音楽評論家Timothy Mangan氏のブログ「Classical life」で、生前の彼に関する興味深いエピソード(参照)を見つけました。
ジュリーニがロサンゼルス・フィルの音楽監督時代にコンサートマスターを務めたSidney Weiss氏によると、彼はリハーサルのあいだは常に温和で、感情を露わにすることは滅多になかったそうです。しかしある日の練習で、初めてロス・フィルの練習に参加したある若い女性ヴァイオリン奏者を名指しで批判しはじめました。
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2006.05.07

今年の「熱狂の日」音楽祭は去年のようなチケット売り場前の長蛇の列こそ見られなかったものの、展示ホールや屋台村前は昨年と変わらない賑わいを見せていました。所狭しと軒を連ねる屋台の前をロココ風(?)の衣装を身にまとったスタッフが行きかう様は、まさに巨大テーマパークさながらの非日常的な異空間です。この場所に居るあいだは日常の煩わしさから開放されて音楽に没頭できる、そんな思いで東京国際フォーラムに連日通った人も少なからず居るのではないでしょうか。ともあれ去年の成功の勢いをそのまま持続できたのは良いことでしたし、事故も無く無事終了し、スタッフの方々は今頃胸をなでおろしているでしょう。「熱狂の日」音楽祭関係者の皆様にはこの場をお借りして「お疲れ様でした」と申し上げます。
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今回の「熱狂の日」音楽祭は演奏会だけでなくトークイベントも充実していました。今日先ず訪れたのは、相田みつを美術館で行われた「ウラ・ラ・フォ」という催し。出演されたのは鈴木淳史と許光俊の両氏。他会場での演奏会のため始まって20分ほどで中座しましたが、何が一番印象的って許光俊さんの声がすごく「いい声」なんですよ。深い低音の響きが耳に心地よくて、これなら少々キツイことを仰っても全然聞いてる方は苦にならないです。逆に「もっとその声で刺激的なことを話して…」て思ってしまう(笑)。こんなこと思うのは私だけかもしれないですが。
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2006.05.06
あぁ~っ、何ということでしょう!速い!速すぎる!たった今、モーツァルトの「ピアノ協奏曲第21番」の演奏時間の、世界最短記録が出ました!ロシアのビック・ベアー、ボリス・ベレゾフスキーがモーツァルトをノックアウトしました!記録は約23分(推定)!この記録は今後破られることはないでしょう!
ベレゾフスキー!ベレゾフスキー!!ベレゾフスキ~~~!!!
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昨日の演奏会で聴いたイェルジ・セムコフは噂通りすばらしい指揮者でした。彼の指揮動作はなかなか特徴的で、弧を描くように手を動かす一般的な指揮者の動作とはちょっと違って、彼のは針がピクピク動いてるみたいに見えるんです。30代、40代以上の方なら解っていただけるかもしれませんが、オーディオのパワーアンプのアナログメーターみたいに棒が動くんです。彼は長めの指揮棒を持ってるので余計そう見えるのかもしれません。
しかしそんな棒の動きに合わせて音は見事に造形され、変化していきます。モーツァルトの「交響曲第29番」はマーラーやブルックナーの交響曲と比べるとずっとシンプルな構造の作品ですが、セムコフの演奏は随所に芸の細かさを聴かせてくれました。例えば第1楽章で突然ヴィオラだけが音を出す箇所があるのですが、そこでのヴィオラの音を一瞬強調させたかと思うとすぐに音を弱め、「あれっ」と思うと他の弦楽器が音楽に加わります。そのあたりに聴衆を一瞬トリックに掛けたかのような手際のよさを見せました。この箇所以外にも普段なら聞き流してしまうようなところにも配慮した演奏全体に指揮者の意思を感じました。
(参考)
Mozart. Piano Concerto No.9 in E flat major K.271 "Jeunehomme" / Symphony No.29 in A major K.201 ; Nicolai Lugansky(Piano) Jerzy Semkov & Sinfonia Varsovia. Tokyo International Forum. Hall A. (May 5, 2006)
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下のエントリで誤解を与える表現がありました。展示ホールの入場は無料ですが、「熱狂の日」音楽祭のチケットがないと入れません。ニューヨークスタインウェイを聴きたい方は「熱狂の日」音楽祭のチケットをご持参ください。以上おわびと訂正でした。
(追記)1つ前のエントリの内容も若干訂正いたしました。
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今日会場に着いて何気なく地下1階の展示ホールに来たらピアノオタクの私にサプライズが待っていました。何とタカギクラヴィア所有の「あの」ニューヨークスタインウェイ(写真)の演奏会があるじぁあないですか!演奏するのはこの歴史的スタインウェイを弾いたCD(→参照:当ダイアリーの去年2月1日のエントリ)も出している江口玲さんです。これが無料(ただし「熱狂の日」音楽祭のチケット半券が必要)で聴けるんだから、ルネ・マルタン超太っ腹(笑)。これはもう聴くしかないでしょ。コンサートは12時半からと午後8時からの二回、曲目はメヌエットK.1、ピアノソナタハ長調K.330など。「熱狂の日」にお立ち寄りの際は、ホロヴィッツも愛したピアノを聴きにいらしては如何でしょうか。
(追記)12時半からのコンサートを聴きました。ニューヨークスタインウェイ独特の、弱音の柔らかさが印象に残りました。しかしスタインウェイが鳴っているあいだ、会場は実に静かでしたよ。ブーズの方から聴こえるビニール袋の音や空調の音が気になるほどでしたから。こんどはもっと良い条件で聞いてみたいですね。
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2006.05.05

今日最初に聴いたのはデッセーとヴィラソン。といってもモーツァルトではなくて映画「戦場のアリア」ですが。この二人の歌手が歌の部分の吹き替えという格好で出演していたのですが、ヴィラソンの「きよしこの夜」はなかなかの美声でしたよ。しかしせっかくこの二人を起用したんなら、オリジナル曲でなくオペラアリアの1曲でも披露してほしかったなぁ。せっかく歌劇場のシーンもあったのに。それに今朝映画評論家のおすぎもテレビで言ってたけど、どうしてクリスマス映画なのに5月公開なんでしょ。
有楽町の「熱狂の日」会場に入ったのは午後7時。その段階で発売されてたのは写真の通り。セムコフとルガンスキーの公演がまだあったのですかさずゲット。私の「熱狂の日」は今から始まります(笑)。
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2006.05.04

今年はどうしようかと迷ってたんですが、結局来ちゃいましたよ有楽町は東京国際フォーラムに。当然目的は「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャボン」。東京駅から直接「今日聴けるコンサートは無いか」と思いチケットカウンターへ立ち寄るも、5/4の午後5時現在購入可能なチケットは9公演11公演(←ケアレスミスでした。謹んで訂正いたします)のみでした(写真)…。仕方ないので今からホテルへ退散します(トボトボ)。
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2006.05.02
なる特集を「芸術新潮」誌が組んでいた(→amazon.co.jp
)ので購入してみました。武満氏が猫を抱いて(まるでムツゴロウさんみたいに)人懐っこい笑顔を浮かべている表紙イラスト(和田誠・作)を見て、「現代音楽の巨匠トオル・タケミツに対するイメージもずいぶん大衆化したものだ」という印象を強く持ちました。
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