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2006.04.19

今バンコク・オペラが面白い!?

 ベルリン・ドイツ・オペラによる「ニーベルングの指輪」(以下「リング」)の日本初演は1987年のことでした。それから19年を経た今年、東南アジア初となる「リング」上演プロジェクトがタイで始まりました。バンコク・オペラ(→公式サイト)では今年2月の「ラインの黄金」を皮切りに、「リング」4部作が毎年一作づつ上演の予定です。
 さて「ライン~」の演出ならびに管弦楽の指揮を担当したソムトウ・スチャリトクル氏(→公式サイト)は、5年前にバンコク・オペラを立ち上げた人物でもあります。かつてのタイ王室の皇后を親族に持ち、イギリスはケンブリッジ大学で教育を受けた彼は、若い頃にはシュトックハウゼン、ブーレーズらの影響下にある作品を発表していましたが、やがてアメリカに移り住むと約20年間は音楽から離れ、SF小説作家「S・P・ソムトウ」として活躍します(この時期の代表作に「スターシップと俳句」があります)。そんな彼の音楽活動再開後最初の作品が、タイのおとぎ話を下敷きにしたオペラ「マダーナ」です。このタイ人として初めての本格的オペラは、セリエリズムを放棄した分かりやすい曲想と相まって、地元で大評判となりました。「マダーナ」の成功を受けて2001年に発表した彼のオペラ第2作で、タイでは誰もが知っているという怪談話を題材にした「メーナーク」も大当たりを取りました。
 バンコク・オペラを創設後、ソムトウ氏は自作に加え「魔笛」「ねじの回転」「アイーダ」「トゥーランドット」「ドン・ジョヴァンニ」などを次々と発表します。ステージの様子は公式サイトから伺い知ることが出来ますが、バンコクの舞台風景はエキゾシズムあふれるもので、かなりのカルチャーショックを見るものに与えてくれます。

Thai_opera01

演目不明ですが、三人の童たちが人力車にのって登場するという、あまりにタイっぽい趣向ゆえに紹介させて頂きました(笑)。

Thai_opera02
 
「魔笛」から、白鳥(?)のおもちゃを持った鳥刺しパパゲーノ。これまでのどのプロダクションよりも馬鹿っぽく見えます(笑)。

Thai_opera03

「ドン・ジョヴァンニ」から。バンコクの歓楽街を思わせる舞台装置。女性も心なしか街頭で「シャチョーサン!」と声を掛けている人っぽい雰囲気が漂っています。

 そして今年2月に上演された「ラインの黄金」です。

Thai_opera04

 登場人物はタイ民族舞踊風の装束に身を包んでいます。このようにヨーロッパ産のオペラを徹底的にタイ風に翻案するところがソムトウ氏の演出、ひいてはバンコク・オペラの特徴となっているようです。政府の補助金が貰えず、寄付を募ったりするなど経済的には結構大変とのことですが、「輪廻」「執着」「悟り」といった仏教的世界観を反映させたというタイ式「リング」の上演継続のためにも、バンコク・オペラには是非ともがんばっていただきたいと思います。

(後記)以上のエントリを書き上げたあと、タイ在住の山崎幸恵様による「魔笛」の紹介記事を見つけました。私の記事よりもずっと詳しくて、参考になります。

(4/21追記)「CLASSICA」のiio様のエントリで「スターシップと俳句」のあらすじが紹介されていますが、荒唐無稽というかなんというか…。ソムトウ氏のマルチ・タレントぶりをみるにつけ、彼のことを「タイの筒井康隆」と呼んでみたくなりますね。

(参考)
New York Times. Bangkok Opera Presents Wagner's 'Ring' With a Difference. (April 18, 2006)
The Wagner Society in Queensland Inc. Das Rheingold in Bangkok(「ラインの黄金」のレビュー)

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●「今バンコク・オペラが面白い!?」(「おかか1968」ダイアリー)を読んでいて懐かしい名前に。バンコク・オペラで東南アジア初となるワーグナー「ニーベルングの指環」プロジェクトが開始、まずは「ラインの黄金」がソムトウ・スチャリトクルの指揮と演出で上演されたという。ぐはっ、スチャリトクル。どうやらスチャリトクルは現在のタイのクラシック音楽界のキー・パーソンとして活躍しているようではないか。若い頃にはシュトックハウゼンやブーレーズの影響を受けた作品を作曲していたという。 ●が、ワタシの知ってる(そしてお... [Read More]

Tracked on 2006.04.21 at 04:46

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