ジョシュア・ベル コンサートで楽器にアクシデント発生
ヴァイオリンやチェロを始めとする弦楽器は、演奏中に弦が切れてしまうことがあります。デビューしたての五嶋みどりさんが、コンサート中2度も弦が切れてしまったとき間近のオーケストラ奏者の楽器を借りて難局を乗り切ったエピソードはご本人の公式サイトでも紹介されていますが、今月20日のシカゴ交響楽団の演奏会でソリストのジョシュア・ベル(写真)がチャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲」の第1楽章を演奏中、ストラディバリウス製バイオリンの駒(胴体の真ん中、2つのF字孔の間で弦を支える木製の部品)が不意に動いてしまい、その結果演奏が中断するというアクシデントがありました。ベル本人によると「弓を大きく<up>の方向に動かしたところ、弓が駒に当たってしまい、位置が1センチほどずれてしまって演奏不能になった」ということです。
楽器の変化に気づいた彼は指揮者のデイヴィット・ジンマンのところに近づき事情を説明すると、ヴァイオリンを演奏可能な状態に戻すため舞台袖へと急ぎました。舞台でソリストの登場を待っている間ジンマンは客席に向かって話しかけたりして場を繋ぎました。数分後彼がステージに戻ると中断した箇所から演奏を再開し、第1楽章終了後ホールは拍手喝采に包まれました。終演後のベルはアクシデントを無事乗り切ったせいか「駒の位置を直すのは、まるでスポーツ選手が脱臼した肩の関節を戻すようなものかな」と冗談交じりで語っています。
(参考)
Chicago Tribune. Violinist Bell goes a bridge too far. (April 21, 2006)