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2006.04.23

ジョシュア・ベル コンサートで楽器にアクシデント発生

Joshua_bell ヴァイオリンやチェロを始めとする弦楽器は、演奏中に弦が切れてしまうことがあります。デビューしたての五嶋みどりさんが、コンサート中2度も弦が切れてしまったとき間近のオーケストラ奏者の楽器を借りて難局を乗り切ったエピソードはご本人の公式サイトでも紹介されていますが、今月20日のシカゴ交響楽団の演奏会でソリストのジョシュア・ベル(写真)がチャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲」の第1楽章を演奏中、ストラディバリウス製バイオリンの駒(胴体の真ん中、2つのF字孔の間で弦を支える木製の部品)が不意に動いてしまい、その結果演奏が中断するというアクシデントがありました。ベル本人によると「弓を大きく<up>の方向に動かしたところ、弓が駒に当たってしまい、位置が1センチほどずれてしまって演奏不能になった」ということです。
 楽器の変化に気づいた彼は指揮者のデイヴィット・ジンマンのところに近づき事情を説明すると、ヴァイオリンを演奏可能な状態に戻すため舞台袖へと急ぎました。舞台でソリストの登場を待っている間ジンマンは客席に向かって話しかけたりして場を繋ぎました。数分後彼がステージに戻ると中断した箇所から演奏を再開し、第1楽章終了後ホールは拍手喝采に包まれました。終演後のベルはアクシデントを無事乗り切ったせいか「駒の位置を直すのは、まるでスポーツ選手が脱臼した肩の関節を戻すようなものかな」と冗談交じりで語っています。
(参考)
Chicago Tribune. Violinist Bell goes a bridge too far. (April 21, 2006)

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2006.04.19

今バンコク・オペラが面白い!?

 ベルリン・ドイツ・オペラによる「ニーベルングの指輪」(以下「リング」)の日本初演は1987年のことでした。それから19年を経た今年、東南アジア初となる「リング」上演プロジェクトがタイで始まりました。バンコク・オペラ(→公式サイト)では今年2月の「ラインの黄金」を皮切りに、「リング」4部作が毎年一作づつ上演の予定です。
 さて「ライン~」の演出ならびに管弦楽の指揮を担当したソムトウ・スチャリトクル氏(→公式サイト)は、5年前にバンコク・オペラを立ち上げた人物でもあります。かつてのタイ王室の皇后を親族に持ち、イギリスはケンブリッジ大学で教育を受けた彼は、若い頃にはシュトックハウゼン、ブーレーズらの影響下にある作品を発表していましたが、やがてアメリカに移り住むと約20年間は音楽から離れ、SF小説作家「S・P・ソムトウ」として活躍します(この時期の代表作に「スターシップと俳句」があります)。そんな彼の音楽活動再開後最初の作品が、タイのおとぎ話を下敷きにしたオペラ「マダーナ」です。このタイ人として初めての本格的オペラは、セリエリズムを放棄した分かりやすい曲想と相まって、地元で大評判となりました。「マダーナ」の成功を受けて2001年に発表した彼のオペラ第2作で、タイでは誰もが知っているという怪談話を題材にした「メーナーク」も大当たりを取りました。
 バンコク・オペラを創設後、ソムトウ氏は自作に加え「魔笛」「ねじの回転」「アイーダ」「トゥーランドット」「ドン・ジョヴァンニ」などを次々と発表します。ステージの様子は公式サイトから伺い知ることが出来ますが、バンコクの舞台風景はエキゾシズムあふれるもので、かなりのカルチャーショックを見るものに与えてくれます。

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2006.04.09

ロストロポーヴィチ チェロ奏者としての活動から引退

 チェリストのムスティスラフ・ロストロポーヴィチが、今後チェロ奏者としての演奏活動を行わないことを表明しました。
 先日行われた週刊誌「Die Zeit」誌とのインタビューでロストロポーヴィチ氏は、去年6月ウィーンでのペンデレツキ「ラルゴ」の世界初演が「私が行う初演作品として最後のものであり、これがチェリストとして公の場で演奏する最後の機会になるだろう」と述べました。今後は「自分のために」チェロを弾くことはあっても、演奏会で聴衆の前で披露することはないそうです。

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2006.04.06

ヨー・ヨー・マ 米議会でビザ発給問題について証言

 イギリスのハレ管弦楽団が米国のビザ手続きの煩雑化を理由にアメリカ公演を断念した、というニュースを先日お伝えしましたが、厳格なビザ発給手続きはハレ管関係者だけではなく米国内外のビジネスマンたちを悩ませているようです。就労ビザ発行には現在大使館員による面接が必要ですが、今では入国を希望する外国人は面接まで待たされるのが当たり前になりました。現在の「待ち時間」はパリでも116日、インドのマドラスでは実に211日の長きに渡ります。マイクロソフト研究所の重役の一人はこの問題について「大きなソフトウェアの開発には外国から優れた技術者を一同に集める必要があるが、ビザ発給の遅れ(そして場合によっては発行拒否)によって業務に支障を来たしている」と懸念を表しています。もしかして新OS「Windows Vista」の発売が延び延びになっているのはこのせいかも、と邪推してしまうのですが、ともあれそんな中今月4日に開かれた米下院政府改革委員会の公聴会で、世界的チェリストのヨー・ヨー・マ(50)が外国人演奏家の入国手続きの簡素化を訴えました。

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2006.04.03

ボストン・レッドソックス ファウルボールで破損したチェロを弁償

 唐突ですが盛り上がりましたねえ、ワールド・ベースボール・クラシック(以下WBC)。プロレスラーもさぞやという位のハイテンションだったイチローに国民一同つられちゃった感もありますが(笑)、うちのカミさんのような普段野球を見ない人も、WBCに限っては日本に不利な判定が出ると「今日の審判デイビットソンなの?」と言いながらテレビの前から離れませんでしたからね。連日ワイドショーで盛んに取り上げていたせいもあるかもしれませんが、普段スポーツに興味を持たない女性たちにも訴えるものがWBCにはあったのでしょう。さてWBCで盛り上がったアメリカのボールパークでこんなことがありました。

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