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2006.02.10

クラシック音楽 ネット界での明暗

 クラシック音楽ポータル「Andante」の消滅、そして米国でのクラシックの音楽配信の躍進という、まさに対照的な2つのニュースについて一言。
 まずは暗いニュースから。2001年3月に発足したクラシック音楽のポータルサイト「Andante」が、今月1日にサービスを終了しました。今ではブラウザに「http://www.andante.com」と入力しクリックしても何にも表示されない状態です。(2/17追記)現在は再び閲覧可能です。最盛期には月間で5万~9万アクセスを誇ったという「Andante」ですが、現在管理運営に当たっている仏「Naive」レーベルは、採算ベースに合わない現状でのサイトの維持は困難だと判断し閉鎖を決断しました。月額1000円程度の会費で有名オーケストラのライブ録音を聴くことができたりと、音楽配信にも積極的だったのですが、会費だけではサイト運営は難しかったのでしょう。このニュースには「残念だけど仕方ないな」というのが正直な感想です。
 一方でこんなニュースもあります。

 米国での2005年のクラシック音楽のアルバムセールスが前年度と比較して15%減少したのに対し、ダウンロードによるクラシックの売り上げは前年比で93.9%と急上昇しました。これだけなら「こんなものか」で済まされそうなデータですが、米国では音楽セールスに占めるダウンロード音楽配信の割合も増えているようです。ヨー・ヨー・マの「シルク・ロード」はダウンロードでのセールスが全体の10.7%、ヒラリー・ハーンのモーツァルト「ヴァイオリン・ソナタ集」は19.7%、ジャニーヌ・ヤンセンの「四季」(→参照:当ダイアリーの去年2月9日のエントリ)に至っては実に売り上げ全体の73%がダウンロードによるものだそうです。ジャニーヌの場合は「iTunes Music Store」(iTMS)US版でかなりキャンペーンを張った効果もあったようですが、それにしても「73%」というのはすごいですね。つまり消費者の3/4がジャニーヌのお色気ムンムン写真満載のブックレット(←ある意味「袋とじ」:笑)付きのCDよりも「音楽そのもの」を購入することを選択したわけで、この結果には興味深いものがあります。
 そのような音楽配信ビジネスへの流れを更に加速させる動きも起きています。「オペラキャスト」でも紹介されていましたが、ニューヨーク・フィルのライブ録音をiTMSなどの音楽配信サイトを通じて販売する、というニュースが伝えられています。ロサンゼルス・フィルでも同様の計画があるということで、既にiTMSで販売をスタートさせているロンドン交響楽団の「LSO Live」、ミルウォーキー交響楽団の「MSO Classics」と合わせて、欧米ではコンサート・ライブのダウンロード販売が広まりつつあるようです。
(参考)
Los Angels Times. At andante.com, the finale (February 3, 2006)
New York Times. Classics on the Internet: A Promising Prognosis (February 8, 2006)
Billboard/Reuters. Classical music takes digital leap (January 20, 2006)
new York Times. New York Philharmonic to Make Concerts Available for Digital Downloading (February 9, 2006)

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Comments

焼きそうせいじ様こんにちは。貴重な情報ありがとうございます。
>どうもまだ完全復活には至っていない模様。
確かに。ニュースの更新も最近はありませんし。音楽配信も、課金するのならもう少し高音質の方が望ましいですし。

Posted by: おかか1968 | 2006.09.24 at 10:26

はじめまして。御存知とも思いますが、半年近く途絶状態だったandante.comが、8月ごろから復活しています。ところが96kbsで配信していたのが、ここのところ32kbsに落ちています。どうもまだ完全復活には至っていない模様。

Posted by: 焼きそうせいじ | 2006.09.24 at 03:46

ばってん様こんにちは。
「Andante」の復旧、ご教示頂き誠にありがとうございました。
それにしても結構あっけなく復旧しましたね。世界のメディアが騒いだせいでしょうか。ともあれ以前のニュースのアーカイヴがまた読めるようになったのは良かったです。ただ今後更新を続けるか否かは未定のようですね。

Posted by: 「坂本くん」 | 2006.02.17 at 15:19

andante.com また復帰したようです。
でも繋がりにくい時もあるようで。
http://www.playbillarts.com/news/article/3927.html

Posted by: ばってん | 2006.02.17 at 02:07

Naiveのお返事、お約束というかありがとうございます、、、
なかなか話題になるならないは難しいですね。iTMSでの配信も、各オーケストラの取り組みがあっても、(音楽配信としては)膨大な楽曲に埋もれてしまうような印象があります。この辺りの今後の動向、まだよく分からないですね。

Posted by: maruta | 2006.02.12 at 23:05

丸田様こんばんは。
naiveレーベルの今後については私もナイーブになっています…(冗談言ってる場合ではありませんが)。
音楽配信ですが、以前も東京フィルのライブを配信していたサイトがあったりと、各所で色々な努力はしているみたいですね。でも人が沢山集まるところ(具体的にはiTMS)でやらないと大きな動きにはなり得ないのではないかと思ってます。

Posted by: 「坂本くん」 | 2006.02.11 at 21:06

ご無沙汰です。andante.comのニュースはちょっと残念ですね。都内の量販店へ行くと、Naiveの旧タイトルが叩き売りされていますので、このニュースとあわせると、Naiveレーベル自体の存続についても、ちょっと不安があります。
一方の米国のオケの動きですけど、我が国の場合、着うたとして配信しているオケはいくつかありますね。レーベルという枠を通さずに直に音源を売るという発想はあまりなさそうなのが残念。「ぶらあぼ」で朝比奈・大フィル欧州ツアーのブルックナー7番が配信されていますけど、このダウンロード数の状況でどうなんでしょう。恐らく試金石としてやっているんでしょうけど、これが好調であれば、今後もネット上に音源がでてくるでしょうから、さてどうなることやら。私は早速ダウンロードしてCDに焼いてみましたけど、なかなか聴けました。

Posted by: maruta | 2006.02.11 at 18:55

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