ナイジェル・ケネディ考
最近何年ぶりかでナイジェル・ケネディ(写真はヴィヴァルディ「四季」のDVDジャケット)をウェブラジオで聴いたのですが、そこでの彼のパフォーマンスは隅々まで独創的なものでした。マイクを持ったケネディが舞台袖から登場するといきなり「Ladies...and ladies...」と呼びかけて聴衆の笑いを誘います。1曲弾き終えたら「今から調弦するけど、これを聴いて『フィリップ・グラスへのオマージュ』だと勘違いしないで」。ここでまた爆笑。そして彼の贔屓のチーム、アストン・ヴィラの話を始めたかと思うと、サッカーボールを取り出して客席に向かってシュートしたりと、まあこんな調子で曲間は彼のトークとパフォーマンスで盛りだくさんです。型破りなのはMCだけではありません。プログラム後半のヴィヴァルディの「春」(「四季」より)では楽譜よりも多くの鳥の鳴き声や犬の遠吠えが聞こえ、果てには第3楽章では楽団全員による掛け声を挟んだりと、まあ好き放題。またバロック音楽ばかりのコンサートの最後を飾ったのは「パープル・ヘイズ」。全ての面で破天荒な彼のコンサートは完全にクラシックのカテゴリーから大きく逸脱したものでした。