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2006.02.28

ナイジェル・ケネディ考

kennedy_Vivaldi  最近何年ぶりかでナイジェル・ケネディ(写真はヴィヴァルディ「四季」のDVDジャケット)をウェブラジオで聴いたのですが、そこでの彼のパフォーマンスは隅々まで独創的なものでした。マイクを持ったケネディが舞台袖から登場するといきなり「Ladies...and ladies...」と呼びかけて聴衆の笑いを誘います。1曲弾き終えたら「今から調弦するけど、これを聴いて『フィリップ・グラスへのオマージュ』だと勘違いしないで」。ここでまた爆笑。そして彼の贔屓のチーム、アストン・ヴィラの話を始めたかと思うと、サッカーボールを取り出して客席に向かってシュートしたりと、まあこんな調子で曲間は彼のトークとパフォーマンスで盛りだくさんです。型破りなのはMCだけではありません。プログラム後半のヴィヴァルディの「春」(「四季」より)では楽譜よりも多くの鳥の鳴き声や犬の遠吠えが聞こえ、果てには第3楽章では楽団全員による掛け声を挟んだりと、まあ好き放題。またバロック音楽ばかりのコンサートの最後を飾ったのは「パープル・ヘイズ」。全ての面で破天荒な彼のコンサートは完全にクラシックのカテゴリーから大きく逸脱したものでした。

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2006.02.21

五輪、そしてウェブラジオで聴くモーツァルト

inoue_baldwin あー最近更新が滞り気味でしたね。なにしろ五輪ばかり見てるもので。しかし日本国籍の選手のメダル獲得数が少ないのに毎日観戦してるなんて、よほどスポーツ鑑賞が好きなんでしょうね。それはそうとフィギュアスケートでのボールドウィン・井上怜奈組(写真)のフリー演技、皆さん気になりませんでしたか?曲はショスタコーヴィチ「交響曲第5番」の最終楽章だったのですが、あの曲は数小節毎にギアチェンジの如くテンポが速くなっていくので、滑る方が音楽の進行に合わせてステップを踏めばどんどん早足になって終いには足が追いつかずに両足がもつれてしまうんじゃないかないと心配したのは私だけですかそうですか。
 あと家では五輪の合間にネットラジオを聴いてますね。今年に入って本格的に聴き始めたのですが、聴き方のコツさえ掴めればこれほど便利なものはありませんね。なにしろ毎日コンサートのライブ録音が何種類も楽しめるのですから。番組内容のチェックにはこの番組表wikiを参考にしているのですが、この番組表がライブ放送の全てというわけではなくて、リストから漏れてるものも沢山あります(特に古楽系)。なので最近は各放送局公式サイトの番組表を言葉の壁と闘いながら眺めるのが日課になりました(苦笑)。さて今後折に触れてネットラジオを聴きながら感じたことをを気が向いたときにでもだらだらと書いてみたいと思うのですが、まずはモーツァルトから。

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2006.02.11

トリノ五輪とクラシック

Italyart  皆様はトリノ五輪開幕式のTV中継をご覧になりましたか?私はどうもひねくれ者らしく「どうしてNHKの実況アナはF1マシンのメーカー名を言うのを一瞬躊躇した(ように聞こえた)んだろう」とか「あの聖火はホントにアテネから運ばれた炎をちゃんと受け継いでるんだろうか(タイミングを合わせて点火させたように見えたもので…)」などとツッコミを入れていました。きっと今日から2週間こんな具合にテレビの前でツッコミ続けるんでしょうね。良いツッコミを思いついたら「ほぼ日」に投稿してみましょうか…。
 でそんなオリンピックの開催地のトリノでは「Cultural Olympiads」(文化五輪)の一環として様々な演奏会が開かれます(→公式サイト)。主なものではダニエル・ハーディング指揮マーラー室内管の演奏会(明日12日は「第九」、19日はシベリウス「交響曲第3番」とベートーヴェン「交響曲第5番」)、俳優ジャン・レノの初演出が話題の「マノン・レスコー」、聖骸布にインスパイアされたというアルヴォ・ペルトの新作「La tela traslata」の初演などがあります。現地で観戦される方はコンサートでも「五輪」を楽しまれてはいかがでしょうか(もっとも残席があればですが…)。

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2006.02.10

クラシック音楽 ネット界での明暗

 クラシック音楽ポータル「Andante」の消滅、そして米国でのクラシックの音楽配信の躍進という、まさに対照的な2つのニュースについて一言。
 まずは暗いニュースから。2001年3月に発足したクラシック音楽のポータルサイト「Andante」が、今月1日にサービスを終了しました。今ではブラウザに「http://www.andante.com」と入力しクリックしても何にも表示されない状態です。(2/17追記)現在は再び閲覧可能です。最盛期には月間で5万~9万アクセスを誇ったという「Andante」ですが、現在管理運営に当たっている仏「Naive」レーベルは、採算ベースに合わない現状でのサイトの維持は困難だと判断し閉鎖を決断しました。月額1000円程度の会費で有名オーケストラのライブ録音を聴くことができたりと、音楽配信にも積極的だったのですが、会費だけではサイト運営は難しかったのでしょう。このニュースには「残念だけど仕方ないな」というのが正直な感想です。
 一方でこんなニュースもあります。

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2006.02.08

コンサートの模様を即日CD化してお持ち帰り

gardiner 演奏会の会場のロビーなどでCDが売られているのはよく見かけますが、「それよりも今さっき聴いたばかりのライブをさっさとCD-Rに焼いて売ってくれないかな~」と思ったことはありませんか?吹奏楽のコンクールの会場で、演奏の数時間後にライブ録音のカセットが並んでるのを見ると、まあ私も大人ですので実現はなかなか難しいかなとは思いつつ、「どうしてクラシックのコンサートでやらないのかな~」とずっと思ってました。
 この夢をクラシック界で(恐らく)最初に実現させるのはイギリスの指揮者サー・ジョン・エリオット・ガーディナー(写真)です。今週木曜日にロンドンで行われる彼とイングリッシュ・バロック・ソロイスツのコンサートで、前半のプログラム(モーツァルトの交響曲第39番&第41番)を収めたCDを演奏会の間に1000枚作成して、コンサート後の会場で聴衆に10ポンドで販売する予定です。これを聞いて疑り深い(私のような)ファンは「実はリハの演奏を前もって用意して、それを売るんじゃないの~」と思うかもしれません。しかし2月7日付の「ガーディアン」紙の記事(英語)によると、どうやらコンサート本番を無修正でCD化するのは間違いなさそうです。「プレッシャーは相当なものだが、スリリングなことでもある」と語るガーディナーは「失敗は許されないが、私はオーケストラのメンバーを信じてるし、彼らには全幅の信頼を置いている」とコメントしています。
 なおこのライブ録音はガーディナーの独自レーベル「SDG」の公式サイトでも限定2000枚が販売されます。
(参考)
「SDG」サイトのニュースリリース

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2006.02.07

「巨匠」って何?

great_master_logo 先日テレビ番組を見てたら指揮者が2人並んで登場し、公開リハーサルをしていました。番組MCによると一人は「巨匠」風解釈、もう一人は「気鋭の若手」風の演奏にするべくステージ上のオーケストラを指導していく、ということでした。どないな事になるんかいな、と思いながら眺めていましたが、見ているうちに訳がわからなくなってしまいました。

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2006.02.03

クラシック音楽は犬をも黙らせる

violin_dog03 イングランド南西部のトーントン近郊の町ウエスト・ハッチにある犬の飼育施設でこのたび、RSPCA(王立動物虐待防止協会)が開発した「犬を静かにさせる」ためのサウンド・システムが導入されました。これは施設内にスピーカーを設置してBGMを流すというもので、上記の施設では鯨の鳴き声、葦笛の音、そしてバッハ、モーツァルト、ベートーヴェンなどのクラシック音楽を流しています。以前は一匹が吠えはじめると周囲の仲間がそれにつられてワンワンワンと一斉に吠えてしまってたそうですが、システム導入後はそれがピタリと止み、犬は皆静かにクラシック音楽に耳を傾けているということです。

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